緊急依頼
今回は急いで書いたのでおかしな所があるかもしれません。見つけたら感想欄にて報告お願いします!
ガヤガヤ……
「おおぅ……」
現在時間は正午、俺達は冒険者ギルドに来ている。昨日ギルドマスターに来いと言われたからだ。
来たまでは良かったのだが……
「酔いそう……」
「きゅ~……」
「2人共大丈夫ですか?……私も少し、しんどくなってきました」
ギルドに人がめっさ多い。流石に昼から酒を呑んでいる人はいないのか、酒臭くは無いがそのせいでおっさん達の逞しい加齢臭みたいなのや汗臭さ等がムンムン立ち込めている。
というか、こんなに集まっているという事は今回の変異種の件はどうやら俺達の勘違いでは無いようだ。
ドンッ!
俺達が入口付近で酔いそうになりながら突っ立っていると、ギルドマスターの部屋に続く扉が思いっきり開け放たれる。
どうやら良いタイミングで俺達は来れたらしい。
ギルドマスターの部屋に続く扉が開いて、出てきたのは当然ギルドマスターなのだが……なんだか雰囲気にめっちゃ威厳がある。昨日のダルそうな感じが嘘みたいだ。
気がつくとさっきまで煩かったギルド内も静かになっており、冒険者達は真剣な面持ちでギルドマスターを見ている。
ギルドマスターはそのまま此方に来ると思いきや、おもむろに受付のカウンターの上に上りだし、当たり前のように話始める。
「お前達、今日は急な召集に応じてくれて感謝する。今回呼ばれたのは……めんどくさいから単刀直入に言う。
変異種が西の森で大量に発見された。中にはオーガやブラッドウルフ、ゴブリンジェネラルといった変異種でなくても十分強い奴等も変異種で見つかっている。
だからこの場にはCランク以上の冒険者しか来ていない。弱い奴は無駄死にするかもしれんからな。
それでだ、今回の依頼は王都の危機という事で依頼主は国王になっている。つまり報酬金が不足することはない。お前等!獲物は早い者勝ちだ!」
ウオオオオオオオオオッ!
ギルドマスターの演説が終わると、冒険者達は一斉に雄叫びをあげだした。流石肉体労働をしている人達、個々の声が大きいせいで鼓膜が痛くなる位の音量になっている。
というかギルドマスター、意外にカリスマ性があるんだな。
「今回の緊急依頼の予定だが」
雄叫びが静まり始めた所で、ギルドマスターの隣に居た男性――昨日の受付の人だった――が、冒険者達を落ち着かせるかのようにゆっくりと喋りだす。
「今から一時間後に出発するので各自それまでに準備をしてほしい。
あくまでも君達は冒険者だ。冒険者には依頼の受諾を拒否する権利がある。たとえそれが王族であったとしてもだ。だからこの一時間の間に参加しない者は受付に申請してくれ。基本、申請がなければ参加とみなすので、来ない者は申請を忘れないように、以上だ。各自解散!」
演説が終わると共に、冒険者達は一斉に動き出した。大まかに分けると、大半の者は今回の依頼を受けるかどうか、パーティー内で話し合っている。残りは、話がもうついたのかギルドを出る者、受付に質問や依頼拒否の申請に行くものなどの少数派だ。
「俺達はどうすれば良いんだ?」
「来いと言われたのでしたらとりあえそのギルドマスターの所に行けばよろしいかと思いますよ?」
俺の問いにヘリスが答えてくれる。
たしかにそれもそうだと思い受付の方に向くと、ギルドマスターがものすごくガン見してきている。
滅茶苦茶こわい。その割りには冒険者達は特にギルドマスターの表情を怖がっているものがいないが。
……これが平常運転なのか?
「(あれってこっちを見てるよな?)」
(そうですね……というか何であんなに怒ってるんですか!!何かしたんですか!?)」
「(してないよ!!何であんなに怒ってるんだ……?)」
俺とヘリスはコソコソと話し合いながらもギルドマスターの方に向かう。
ミューナはギルドマスターの真似をしているのか、腕を組みながら、ふんす、とギルドマスターを睨み返している。
ミューナがやっても身長もあいまって可愛いだけだ。
「……よく来た」
……来てしまった。
「えーと……怒ってます?」
「ん?ああ、少し表情が固かったかもしれないな。別に怒ってはいない」
「それは良かった……。で、今日は何をするんですか?」
「お前達も参加してもらおうと思ってな」
「「え?」」
思わずヘリスとハモってしまう。ミューナは……さっきからギルドマスターを睨みっぱなしだ。
「俺達はまだまだギルドに入りたての、ヒヨッコGランク冒険者ですよ?」
「ほう?そのヒヨッコGランク冒険者とやらは、幼竜の変異種とやらをほぼ一人で倒せるのか」
「え?何で知ってるんですか?」
「言っただろう。色々調べたと」
「……」
どこまで調べたら幼竜に辿り着くんだよ……。
「まあ、幼竜に関してはグランバード子爵の手紙に書いてあった」
「えっ……嘘かも知れませんよ?」
というか父さんは何をばらしているんだ、口止めしなかった俺も俺だけど……。
「グランバード子爵の性格はだいたい把握している。グランバード子爵が嘘をつくことは無いだろう。それに……」
「……それに?」
なんだ?まだ証拠があるのか……!?
俺が自分の記憶を辿っていると、ギルドマスターがどや顔で言い放つ。
「本人からの供述を得た!」
「俺のミスがデカい!!」
なんてこった……。話は父さんが発端だが、確実に俺が決め手じゃないか!
「そもそも幼竜の実力がC-だ。お前はその変異種を倒したんだから一回り上のB-の実力はあるはずだ。そんな奴をGランクに置いておける程ギルドは暇じゃない。
このクエストを受けるのならギルドランクを上げてやる。」
それは嬉しいっ!けどちょっとな~……新しいジョブに着いたおかげでステータスは上がったものの、レベルがまだ20にもなっていないからなぁ、まだまだ魔力以外が低すぎる。
俺達にはまだまだそんな高ランク冒険者生活は早いだろう。
「辞めておきます。俺達にはまだB-ランクは荷が重いです」
「当たり前だろう」
「はい?」
ギルドマスターが言い出したじゃないか。
「別に上げてやっても良いが、毎日のようにお前に嫉妬や妬みを持ったやつらに襲われ続けたり、依頼中に戦闘以外の、罠や遭難とかの経験が必要な事で死にたいというのか?」
「イエ、ケッコウデス……」
「俺も説明が足りなかった。お前達は長期間に渡って徐々にランクを上げていく。
そうすれば妬み事も俺達でもある程度抑制できるし、お前達に足りない物も磨けるだろう。
それに、ギルドとしても冒険者が死んでもメリットは無いからな、お前達の実力もある程度把握しておかないといけない」
そこでギルドマスターは一度話を切り、此方に微笑みながら
「おっと、お前の飯の種まで知るつもりは無いから安心しろ」
と言ってきた。
わ~、一気に安心できなくなったわぁ。
どうせジョブを隠してるのも分かってるんだろうな~。
というか6歳児が幼竜の変異種を倒せる時点でマークするよな。
これから監視には警戒しないといけないな。
「で?結局依頼を受けるのか?受けないのか?早く決めないと準備の時間が無くなるぞ?」
俺は一応ヘリスとミューナにも同意を得て、
「受けます」
と言った。
「そうか。まあ、デメリットが圧倒的にメリットより少ないからな、受けると思った。何か準備はあるか?いきなり決めさせたからな、少し位なら手を貸してやる」
ん~。俺達にはアイテムボックスがあるしなぁ。ぶっちゃけ準備の必要が無い。
「あっ、父さんに参加する事を伝えてきます」
何も言わずに行ってしまったら地の果てまでも探しに来そうだ。周りの迷惑を考えずに。
「それなら大丈夫だ」
「え?」
「お前はまだ成人してないからな、グランバード子爵にはさっき同意書を書いてもらった」
怖っ!ギルドマスターは予知能力でも持っているんじゃないか?
俺達が同意しなかったらどうするつもり……同意すると確信してたんだろうなぁ。
「……準備は無いです」
「そうか。なら暫く待っていると良い。ああ、お前達は遊撃を担当してもらう」
俺達はギルドマスターお言葉に甘えて酒場でジュースを飲みながら待つことにする。
「遊撃か……一応俺達の事は考えてくれているようだな」
「そうですね。ですが万が一強敵と当たった時の為にあまりに他の冒険者とは離れない方が良いかと」
そうなんだよなぁ……。近すぎると俺達の戦闘――値段がつけられないほどの武器を使ったり、魔法を無詠唱で連発したり、小さい女の子が大剣を振り回したり……――が見られてしまう。
逆に、離れ過ぎると緊急事態に対処できない。これがジレンマというやつか。
「ミューナは何か意見……いや、飲んでて良いぞ」
ミューナは俺が呼び掛けたのに驚いて椅子から跳びだしそうになっていた。……ジュースに集中し過ぎだ。
その後、時間一杯使って話あったのだが、結局良い案は出なかった。
時間になる前に、ギルドから出て街の西門に向かう。ギルドに集合というわけでは無いようだ。
他の冒険者達もわかっているらしく、もう西門の前にはちらほらと集まって来ていた。
これが暗黙の了解というやつか……俺の中の不治の病が疼くな。
というか街の人達も来ている。あれか、凱旋みたいなやつか。……いや、まだ出陣すらしていないが。
ギルドマスターが西門の前に仁王立ちし、徐々に集まってくる冒険者達を見渡す。
ギルドの職員達が、冒険者を見ながら紙に何かを記入していた。多分出席しているか確認しているのだろう。そんなの来た奴から自分で紙に記入させれば良いのに……。
暫くして全員が集まったのか、職員の一人がギルドマスターの所に行く。
「行くぞ!」
ギルドマスターが一言だけ言い放つ。
先程と違い、冒険者達は雄叫びを上げたりしない。凱旋を見に来た街の人達の方が煩い位だ。
不思議に思い、冒険者達を見て分かった。
全員が闘志を身体に巡らせている。いや、見えるわけでは無いが。もはや殺気と言っても良い位だ。
気づかなかったのは俺達に向けられた物では無いからだろう。
と言っても普通に冒険者同士で雑談はしている。街の人達からしたらまさか冒険者達がここまで本気とは思わないだろう。
これなら楽して任務を終われそうだ。
そんな物欲的な事を俺は考えながら冒険者と共に街を発ったのだった。
8月9日~11は用事で書けません。
それまでに1話は投稿しときます。




