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テンプレ遭遇

これでテストに集中出来る……。

今日も今日とて護衛任務。

……でもぶっちゃけ、ビルドさん達は俺達に殆ど戦闘力が無いと思っているらしく全然魔物を狩るのを手伝わせてくれない。

なので俺達は馬車の後ろの方に座って殆ど護衛されているような感じで王都に向かっている。




そうして王都に着くまで後2日という所まで来たとき、アルギウスは魔物達に違和感を感じた。


(……なんだ?魔物達が一斉に逃げていく?)


そう、魔物達が森の中へと帰って行っている。まるで何かから逃げるように。

だが、アルギウスには魔物が逃げて行く理由が分からない。ここら一帯の魔物が逃げる程の強者がこちらに来ているなら、なんとなく分かるはずだ。分からないように隠れているなら魔物が逃げるはずがない。


「んにゅ~、くしゃいっ!」


アルギウスが色々考えていると、突然ミューナが叫びだす。多分臭いと言いたかったのだろうが鼻を押さえているためちゃんと言えていない。

だが、気になるのはミューナだけ何かしらの臭いを感じているという点だ。


「ミューナ、大丈夫か?」

「ん~」


どうやら鼻を完全に押さえているようだ。ミューナはスライムなので呼吸の類いも必要無い。


アルギウスは確認の為ヘリスにも、


「ヘリスは大丈夫なのか?」

「私は何も臭いませんね……」


どうやら魔物だけに効く臭いなのかもしれない。アルギウスは自分の中で素早く考察を纏めると、直ぐにビルド達へと報告しにいく。


「ビルドさん!!」


アルギウスが駆け寄ると、そこにはビルド達3人が集まっており、


「おう坊主、今魔物達が一斉に森に逃げていてな、少し様子がおかしいからお前達は馬車の中にでも隠れてろ」


どうやら頼りにされていないらしい。だが、今この状況で反論していても無理だと分かっているのでアルギウスは素直に従うことにする。


馬車の後部に戻るとヘリスが「千里眼で敵を調べてみるのはどうですか?」と言って来た。  

……確かにそうだ、完全に忘れていた。


俺は千里眼を使ってみる。

千里眼を使うと視界がどんどん広がっていく感覚がして、数秒のうちに半径1キロ程なら完璧にあらゆる物を捉えられる。

そうしていろんな所を探していると、奇妙な光景を見つける。

森の中に50前後の人がいて、俺達を取り囲むように段々円を作っている。

これってあれか?盗賊的な?


「……そうか、ようやく俺にもテンプレの神が降りてきたのか。」


(いかんいかん、気を引き締めないと。)

そんな事を考えていると、盗賊(仮)達が一斉に飛び出してくる。

だが、ビルドさん達も流石はCランク冒険者。直ぐに剣を抜き迎撃体制に入る。


「何もんだ?てめぇら……」


ビルドさんが盗賊(仮)に訪ねると、盗賊の中から周りよりも少し良い装備をしたやつが出てきた。あれ、レベル32だって、意外と強いな……。ビルドさんは47、ミラさんは41、バズさんは45だからまあ、個々の実力ではこちらが高い。

その盗賊(仮)のリーダー(仮)……仮定が多すぎる……、がヘラヘラした下衆な笑みでこちらに、


「俺らは盗賊で『黒狼の牙』の強襲班……ここまで言ったら分かるよな?女と荷物……とそこの坊主、てめぇも高く売れそうだ。置いていけ」

「おいおい、『黒狼の牙』ってマジかよ……」


あれ?意外な事にビルドさんがビビっている。そんなに『黒狼の牙』って強いのか?

そうして見ていると、どうやらビルドさんがそれを断ったので交渉決裂したようだ。


「てめぇら!女と荷物、それと坊主を拐えぇぇえっ!」

「うぉぉぉぉおっ!」


あっ、戦闘開始のようだ。でも正直幼竜と戦ったせいで感覚が麻痺しているのか全然強そうじゃない。

そんな事よりもビルドさん達に俺達の実力を見せつけようという計画が思わぬ形で始まったのとテンプレ遭遇のせいで若干テンションがおかしいな……。


「ミューナは俺のサポート、ヘリスは俺とミューナの討ち漏らしを片付けてくれ。少し自重して戦おう。」


作戦はこんな感じで良いだろう。

実力を見せたいと言っても限度があるので銃なんかは使わない。

刀は魔力を流さずに使おう。


「へへっ、あの白髪の女は俺が一番に犯させてもらうぜぇ!」

「じゃああの水色の髪の幼女は俺が頂くっ!」

「ロリコンかよっ!……俺はあの白髪の少年を貰うぞ」

「「え?」」


ヤバいやつがいたっ!まさかこの中に俺の天敵(ホモ)がいるなんて……。恐るべし『黒狼の牙』ビルドさんがビビっていたわけがわかったぜ……。なわけないか、だがあいつら(ホモ)は俺の精神衛生上良くない、即刻処刑しなければ。

……と思っていたら意外な事にヘリスが先に動いた。


「アルギウス様は、貴方みたいな人に渡しませんっ!大爆発エクスプローション!」


そう言うとヘリスはさっきのホモを狙撃した

……上級魔法大爆発(エクスプローション)で。


ズドォォォオッ


ヘリスの放った大爆発エクスプローションがホモに着弾すると同時に爆発し、周囲に熱風と轟音を撒き散らす。咄嗟に俺は目を閉じて顔を庇う。


……自重しようと思っていたのに。


俺が目を開けると、そこには小さなクレーターが出来ていた。

……因みに盗賊は跡形もなく消し飛んだようだ。


「……ヘリス」


俺はクレーターを見ながらヘリスを呼ぶ。これはビルドさん達に言い逃れはできないだろう。


「その……すいません。ついカッとなってしまいました」

「こっちに来なさい」

「はい……」


ヘリスが横に来たので、すぐさま俺はヘリスの前髪を上げておでこにデコピンをする。


「あぅっ!」

ヘリスはおでこを押さえてうずくまる。よく見るとおでこに赤い後が出来ていた。


「まあ、今回は俺も全力で潰しそうだったからな……それに反省しているなら別に良いしな!」


俺はヘリスの頭を撫でながらそう締めくくる。

ヘリスは先程痛がっていたが、今は顔をふにゃぁと緩ませながらされるがままになっている。……可愛いなこんちくしょうっ!

それを見てミューナは頬をプクゥと膨らませていた。焼きもちかな?


「ミューナも我慢出来て偉かったな。」


俺がそう言ってミューナの頭も撫でると、ミューナは俺の手に頭を擦りつけてくる。構ってもらえなかったから寂しかったのだろう。


一通り撫で終わったのでビルドさんの方に行ってみると、ビルドさん達も少し傷を負っているが盗賊を倒せたようだ。

……決してビルドさん達を忘れていたわけでは無い。


「お前ら!そっちで爆発があったがお前らがやったのか!?」

「えっ!?いえ……そうっ!!敵が魔法を失敗したらしくて自滅したんですよ!!」

「そうか!!とりあえず運が良かったがすまなかったな……敵が自滅しなけりゃてめえらは今頃捕まっていただろうからな。」


……心が痛いが流石にヘリスが詠唱短縮で上級魔法を放ったのは隠しておこう……そうしよう。


「それで……こいつらどうするんですか?」

「ああ、俺達も結構ギリギリでな……相手を生け捕る余裕がなかった。とりあえずこのリーダーらしきやつの右手中指を持っていけばギルドから正式に討伐依頼が出るだろう……」


右手中指を持っていくのか……えげついなぁ。


「そういえばその『黒狼の牙』って盗賊は何をしたんですか?」


正直気になる。ビルドさんがビビっているのは余程強いのだろう。


「ああ、坊主は知らないのか。あいつらは10年位昔に出来た……いや、発見した盗賊でな、近くの町や村から略奪を繰り返していた……そして、こいつらの恐ろしいところは2つあってな、1つは大規模な人数、『黒狼の牙』の構成メンバーは500人を越えているらしくてな、そんな荒くれものを纏めるような幹部や頭は相当頭がキレるんだろう。全然尻尾が掴めねぇだからギルドや国も対策に手をこまねいているらしい。

2つめは……ホモが多いらしくてな、町や村を襲った後は女子供は勿論、たまに数人の男が連れ去られているらしい……」


恐ろしい、恐ろしいぞ『黒狼の牙』!そんなやつらは野放しにしておけないな……ギルドが頑張ってくれることを祈ろう。


「とりあえず、このまま王都までいこう。こいつらを壊滅させたのがバレる前にはつきたいな……行けそうですかい?」

「ええ……急げば明日の昼までには着けるでしょうな」


おお、ビルドさんもやっぱり依頼人には敬語を使うのか。


「そう言うわけだ、坊主達は今のうちに馬車の中で寝ておけ、子供に盗賊は疲れただろう。明日の昼前には着く。」

「あっ、その前に……」


一応ビルドさん達に光属性の回復魔法をかけておく。


「お、お前無詠唱が出来るのか……6歳でそれはえげつねぇな……」


お、ビルドさんが褒めてくれた。……もっと褒めても良いんだよ?



――――――――――――――――――――――――――――

「マジかよ……」


そうしてまた馬車が出発するなか、俺は凄いものを見つけた。

なんと、盗賊を殺した分の供物量が凄い。だいたい2人殺すにつき1ptが貰えるようだ。因みに今のptは47ptだ。11pt増えた事になるな。因みに眷属化の効果に、『眷属化で繋がっている者が倒した生物の経験値はそのままの量でこのスキルの影響下にあるもの全員に入る。』というものがある。

つまり、4人で経験値8の奴を倒したらだいたい1人につき経験値は2しか入らないが、眷属化が4人全員になんらかの形で影響下にあれば全員に経験値が8入るということだ。

もうひとつ眷属化には効果があるが意味が分からないので保留にしている。


そのあと俺達は馬車の中で寝ていたのだが、起きると完全に夜だった。夜も走り続けるのか……。


俺は馬車に揺られながら万物之贄サクリファイスのスキルを見ている。なんだか好みの物が載っているカタログを見ているみたいで飽きない。

そして、その中でまず見つけたのが刀術スキルの進化スキルを検索で調べて見るが載っていない。あれか、いきなり進化取れるなら進化前のスキルの意味が無いからか。

後、俺の記憶からどんなスキルが出来たのか調べてみると、凄い物が出てきた。例えば【ゼウス】なんてのがあったのだが、

3000ptと、今の俺じゃあとても手が出せない。

他にも調べてみたが大抵が4桁以上の物だった。

そして、次に見つけたのがステータスの上昇。これはどれかの数値を1あげるのに10ptいるようだ。かなり消費が激しいな……。


俺は万物之贄サクリファイスを見ていたが、また眠くなってしまった。あれだな、教科書開いてたら眠くなるやつ……。









「アルギウス様っ」

「んんっ……ヘリスか……」


しまった。寝てしまっていたようだ。

いつも俺が先に起きていたが美少女に起こしてもらうのも結構良いな……。


「今どこまで来たんだ?」

「もうそろそろ着きますよ?」


マジか!どんどけ寝てたんだ。6歳児の活動限界を甘く見ていた……。


とりあえず王都を拝ませてもらおう。

そう思って外を見ると、


「わぉ……」


でかい、これは凄いな。ディ〇ニーランドいくつ分だ?10入るんじゃね?いや、もう少しなら入りそうな……今度調べてみよう。




俺はそんな決意を密かに胸に秘めながら入門までソワソワしながら待っていた……。

これまでの話で説明不足なのがあったら感想欲しいです。書ける事なら追加しときます‼

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