祝宴
ごめんなさい首都まで旅行編は次回からです。
それと、冒険者になるのは大分後です。
「どうしてこうなった……」
俺は今、目の前で祝宴の用意が次々とされていくのを呆然と見つめている。……主賓席で。
こうなったのは少し前の事、母さんは俺が冒険者になることを許してくれた。何故か?母さん曰く「どうせ許可しなくても行くんでしょ?そういうところはお父さんに似ているんだから……」と言うことらしい。
因みに俺が冒険者になりたかった理由。
あの幼竜、実は冒険者ギルドではC級冒険者なら苦戦はするが一人で倒せるらしい。
俺は、ヘリスやミューナ以外にも家族や将来勇者召喚される友人を魔物、神、それに人間からも守れるようになりたいのだ。そのためにはレベルを上げるのが一番手っ取り早い。レベル上げ=魔物狩り=冒険者。実に簡単な思考だ。後は俺の中にまだ僅かに残っている厨二心からだろうか。
そんなわけで、俺は母さんに許可をもらったわけだが、忘れちゃいけない。幼竜を見つけたのが昼頃だから、今はもう日が少し沈み始めている。しかも長旅なので用意もいる。そんなこんなでなしくずし的に明日以降の出発となったのだが今日は何故か俺達が倒した幼竜の肉で宴会になった。
ヘリスは何かアワアワしまくっているが超美人なので皆が声をかける。そうなると涙目で「アルギウスさまぁ~……」と俺に助けを求めるためにやってくる。何この可愛い生き物?
ミューナは初めはヘリスと同じように人見知りしていたものの、食欲には勝てなかったらしく幼竜を焼いている様子をキラキラした目で見に行ってしまった。因みに人化モードだ。
そういえば俺はヘリスに聞きたいことが有ったのだ。
「ヘリス、そういえば俺の万物之贄の事は言ったと思うが……【アイギスの盾】って知ってるか?俺の世界の神話なんだが」
「【アイギスの盾】ですか?……聞いた事がありませんね」
やはり知らないか。
「実は万物之贄で覚えたスキルなんだけど供物が一切要らなかったんだよ」
「へぇ~珍しい事もあるんですねぇ。初回からそんな事があるなんて万物之贄に気に入られたんじゃないですか?」
「え?気に入られたら貰えんの?て言うかスキルに気に入るとか言う感情があるの?」
「そういうスキルもあるらしいですよ?といってもこの長い歴史の中でもそんなスキルは数える程しか発見されていないらしいですが……万物之贄に何か気に入られる事をした覚えはありますか?」
気に入られる覚え……ん?
「アイデア料とか?……そんなわけないか……」
そんなアホな事はないだろう。
「意外とそうかも知れませんよ?アル様の記憶、等からそういう情報を読み取ってスキルのレパートリーを増やしたとしても不思議ではありません。なんせ私でもまだ分からないことがありますからね……」
とのこと。そうか……アイデア料があれか。随分太っ腹だな。
じゃあ、『初回限定!!才能開花キャンペーン!!』なんてものを作る万物之贄さんの性格は一体どんな感じなんだろう……。
その後、神代スキルやこのキャンペーンを聞いてみたりしたが、ヘリスも知らないらしい。
しばらくそんな感じでヘリスと喋っていると、突如周りが騒がしくなる。どうやら祝宴が始まるらしい。
色んな肉料理、勿論どれも幼竜の肉をふんだんに使っている。他にも、俺が好きな、あの野菜の数々や、果物なんてのもある。
「おぉ~旨そうだな!!」
「なかなか圧巻の光景ですね……」
「あれ!あれ!一杯食べたいっ!」
気づいたらミューナも戻ってきており、果物の山を狙っていた。……何故だ、お前はさっきまで肉を食べたがっていたじゃないか。
ヘリスはヘリスで運ばれてくる肉の量を見て想像だけで胃もたれしそうになっている。ヘリスは食が細いのかもしれない。
祝宴の音頭は母さんが代表してやってくれた。影の功労者の執事長……いや、爺やは司会をしてくれる。
そうして祝宴は始まったわけだが、何故か町の女の子達が俺が町から出ていくのを知って餞別をくれる。ハンカチやら手作りのお菓子やら……俺って女の子達に何かしたっけ?
とりあえず皆に感謝をする。これだからモテる男は辛い……間違えていたら恥ずかしいな。もしかしたら本当にただの餞別かもしれない。自惚れるのはよそう。
……というか何故か女の子達とヘリスが睨みあっていた。これに俺が入っていったら死にそうだな……。
因みにミューナは大人が中心の大食い選手権らしきもので優勝していた。あれ?食いしん坊属性?食費が……。
俺も食うか……。
とりあえずステーキから……うむ……これは……っ!?
「旨過ぎだろ!!……あ」
皆が呆然と俺を見つめてくる。
ミスったな。そりゃいきなり叫びだしたら変なやつに思われても仕方ないか……。
「ぼっちゃまが気に入ってくれたぞぉっ!もっと焼けぇっ!」
「「うぉぉぉぉ!!」」
……どうやら好意的に伝わったらしい、良かった良かった。
そうだ、母さん達とも話をしておこう。それと、爺やにも。
そうして母さんや爺や達に会った後、戻ってくると。
ヘリスが「アルギウスさまぁ~」と言っておもいっきり抱きついてくる。酒くせ!こいつ酒のんでやがる‼……まあ、積極的なヘリスもありだな。
「ヘリス~。お前酒飲んだのか?」
「ジュース以外飲んでません!!」
「あ~果実酒でも飲んだのか?とりあえずお前は家で寝ておけよ」
「嫌です!今日はアル様から離れません!!」
あー。まぁ久しぶりの再開だし今日位は好きにさせてやるか。
……役得だなんて考えていない。
「ヘリスずるーい!ミューナもっ!!」
そう言ってミューナまでの抱きついてくる。こんなに集まって熱いかと思ったがミューナは冷たくて逆に気持ちいい。人化は出来ても体温調整はできないのかな?
て言うかヘリスはもう寝ている。後で部屋につれてってやるか。
「ヘリスはダウンとして……ミューナも一緒に何か食うか?」
「んー。食べる!!」
そう言えばこいつ大食い選手権に出ていなかったっけ?どんだけ食うんだよ。スライムだからか?
「ぼっちゃま。何か料理を取って参りましょうか?」
「ああ、頼むよ……」
爺やが身動きの取れない俺に気をきかせて料理を持ってきてくれることになった。流石爺やだ、一家に一人は欲しいな。
暫く食べていたが、夜も遅くなって来たので寝ているヘリスを背負い、ミューナと一緒に帰るわけだが。
母さんが、「どうせ明日だし良いじゃない。3人でアルの部屋に泊まれば。」 と言ってきた。
まあ、野宿の時とか3人で寝るわけだし良いか……。
その日はヘリスとミューナをベッドに寝かせた。
俺?男らしく……床で寝ました。
朝があけて俺も起きたわけだが、何故か両サイドを二人に挟まれている。
身体が6歳児で良かったな、身体は何も反応していない。
とりあえず俺は二人を起こさないように部屋を抜け出すが、二人の間から出るときにヘリスが「んっ…………ぁう……」なんて危ない声を出すせいで危うく戻ろうかと思ってしまった。
……危ない危ない。
抜け出した俺は朝食を取ってから旅の準備を始める。
倉庫から、弓を一つと剣を一振り持っていく。因みに弓がヘリスでミューナは剣だ。母さんから武器を貰う許可はもらっている。
次に旅の必需品。主に食料からランタン等だが、これは爺やが手伝ってくれた。滅茶苦茶捗った。
だいたいこんなものかな?因みに全部アイテムボックスにいれている。便利過ぎだな。
俺が準備をしている間にヘリスとミューナも起きていて既に準備は整っていた。ヘリスは昨日の事を覚えているのか顔が赤い。
俺達が家の外に出ると母さんと爺や、それに使用人の人達もお見送りをしてくれた。
「それじゃあ、行ってくる‼」
「行ってらっしゃーい!」
嬉しい話だ、見送ってくれる人達がいると言うのは。帰る場所があると言うことなんだから。
そうして異世界に来て6年目、俺は仲間と共に旅に出た。
――――首都であんな事が待っていると知らずに……。
首都で何が起きるのか?
予想してね!!
感想欄はログインしてない人でも書けるようにしてます!!どしどし予想よろしく!!
因みに当たる人少ないかも?




