プロローグ
「さあ、難攻不落と言われた私の穴熊を、その棒銀で攻略してみせてくれ♡」
「あんっ、ダメですよお姉様。あたしが最初に腰掛け銀するんですから♡」
「ノー! まずはワタシがハメ手を勉強したいデス。ハメハメしてほしいデース♡」
将棋の話である。
……と言えたらよかったのだけど。
普通の将棋ライトノベルだったら、思わせぶりな台詞を書いただけの普通の対局シーンだろう。
しかし目の前で繰り広げられている光景は、マジだった。
「どうした銀河。遠慮しないでいいぞ。その名前のようにスケールの大きなモノを早く味わわせてくれ」
「本当に大きいですよね。銀河さんのそれはまさに宇宙一ですよきっと」
「イエス、いくらでもワタシたちの研究に耐えてくれそうデス」
一流旅館のように広々とした十二畳の和室。
そこに三人の美少女が川の字になって布団に寝転んでいる。浴衣をはだけ、あられもない姿で俺に誘いをかけていた。
「玉輝さん、今ならまだ引き返せますよ?」
「ふふっ、焦らすんだな。ぜひとも急戦を仕掛けてほしいのに」
永久玉輝。名人位を戴く現役最強の棋士。
それが今は、ただひとりの欲情する女にすぎなかった。
「香音ちゃん、リードするのは俺でいい?」
「もちろんそれでもいいですよ。先手はお譲りします」
薬師寺香音。プロデビューしたての新四段。
一番年下の愛らしい顔立ちに、かすかな大人の雰囲気が滲み出ていた。
「ロキシー、攻めまくっていいんだな。手加減できそうにないぞ」
「ンフッ……ワタシの得意な受け、どこまでアナタに通用するデショウ?」
ロクサーヌ・ゴールド。史上初の外国人棋士。
間違いなく棋界最高峰、ワールドクラスのバストが、ただ呼吸するだけでふるふると揺れていた。
「じゃあ、ここからが本当の夜の研究会だ」
この世界に来てから、これは夢だと何度も思ってきた。
しかしどうやら、まぎれもなく現実らしい。
――美少女たちとの熱く甘い時間を愉しみながら、俺は回想する。
このあまりにも奇妙な、しかし魅惑的な世界に来た日のことを。
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それでは引き続きお楽しみください。




