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75 やったー! 退院前日だよん

私の顔に笑みが浮かんだことで安心したのか、珪は帰っていった。私は立ち上がると洗面スペースで顔を洗った。目は赤いかもしれないけど、少しスッキリした。


ノ-トを取り出して簡単に今の会話を書いておく。ついでに。


バカ珪。バカ珪。バカ珪。・・・・・


20回くらい書いたら気持ちのほうも落ち着いてきた。本当に気がつくのが遅いよ、バカ珪。


私は冷蔵庫から紅茶を取り出して飲んだ。水分を取ったらなおさら落ち着いた。ノートを閉じて片付けると布団の中に潜り込んだ。そして、すぐに眠ってしまったの。


2月7日火曜日の朝。いつもと変わらない時間に目が覚めた。

今日はテレビをさっさとつけた。イヤホンで聞きながら横になったままテレビを見ていた。


6時が過ぎ何となく皆が動き出したところで私も起き出してトイレに行った。朝食を食べて今日の予定は目の検査と飯尾先生と栗田先生の診察があると言われたの。孝一先生は今日は当番の日じゃないから、いないそうだ。


目の筋力検査・・・。相変わらずどうやって見ているのかわからない機械と睨めっこして検査が終わり、そのまま眼科の待合室に行った。しばらく待ち、呼ばれて診察室へ。先生から入院当初より良くなっていると言われたけど、退院後も無理をしない様にパソコンを使う時間に注意することと言われた。退院後もしばらくは定期的に通うことと、また、目の様子がおかしくなったらすぐ来るようにとも、言われたのでした。それと薬との因果関係はわからなかったとも言われたのでした。

なので、先生に「それなら、目の調子がおかしくなった時のために、毎日パソコンに連続何時間使ったとか書いておきますか?」とか言ってしまったら「じゃあ、そうしてくれ」と返されて、撃沈しました。


飯尾先生の診察は昨日のMRIの結果を見ながらの説明だった。今回の入院の元になった血栓は綺麗になくなったと言われた。ただ、3年前のものと3年前から今回までの間に「隠れ脳梗塞」といわれる小さなものがいくつか出来たようだと言われた。今回は後遺症などは出てないようだけど、おかしいと思ったらすぐ来るようにと言われたの。

それから退院後に飲む薬のことも説明された。高血圧の薬と血をサラサラにする薬を処方するとか・・・。飲みたくないと顔に出たのか「ちゃんと飲んでくださいね」と、念押しをされたの。


病室に戻りこのやり取りを書き書き書き・・・。


一休みをしている間に昼食の時間になりました。胃の調子も完全によくなったみたいで美味しくいただきました(味は薄いけど・・・)。


午後・・・暇~。本を読んでいても誰も来ない~! キャンも来ない。なぜに?

あれくらいでめげる性格はしてないはずなのに!

よし、夕方に電話してみよう・・・って、電話番号が~!

珪が来たらまた電話かけてくれるようにお願いしないと・・・。


16時頃に息子が来た。今読んでいる本以外を持って帰ってもらうことにすると伝えたら、早速袋に入れて持って帰ろうとするから車の旦那に頼むと言った。少し不満そうだったけど、この時看護師さんが明日の退院の時間を知らせに来てくれた。10時くらいに会計の計算書が出るから、それ以降なら退院できますと言われたの。その言葉で息子も私の退院を実感したのか、嬉しそうな顔をして帰って行った。


夕食を食べ終わり片付けたところに旦那が来た。10時を過ぎれば退院できると言ったら、入院費はいくら位なのかと言われた。そういえば大体でも聞いておけばよかったと思った。


そんなことを言っていたら、私服に着替えたのりちゃんが顔を出した。私達の会話からナースステーションにそのことを伝えに行ってくれたの。戻ってきて、会計事務の人がいないから予測だけどと大体の金額を教えてくれた。検査が多かったから、思ったよりかかったと思う。旦那はお金を用意してあるから、明日珪に持たせると言ってきた。なので、珪に後でうちに寄ってほしいと伝えてと言って、病室を後にしたのでした。


残されたのりちゃんは少し困ったような顔をしていた。今日は忙しかったのか、一度顔を合わせた以外は若い看護師さんが問診にきていたから。最後に交わした会話が、珪のことを苦言するようなものだったから気にしているのだろう。


「えーと、退院が決まったそうね。おめでとう、舞ちゃん」

「ありがとう、のりちゃん」


のりちゃんは椅子に座ったの。私はのりちゃんの顔を見つめて笑顔を浮かべた。


「お世話になりました」

「やだなー、舞ちゃん。私は仕事だよ」

「でも、お世話になったからね。それにしてもつまらないよ~。せっかくのりちゃんと会えたのに、もうお別れなんて」

「それは私もよ。ねえ、舞ちゃん。アドレス教えてくれないかな」

「えーとねぇ、それが携帯がないとアドレスがわからないの。番号でいい? それならすぐ言えるよ」

「じゃあ、番号を教えて」


私は自分の携帯の番号を教えた。のりちゃんが登録し終わったら、のりちゃんの番号を教えてくれた。それをノートに書き留めた。


「家に帰ったら一度ショートメールを送るね。それを確認してもらったら、メアドを送るから」

「分かったわ、舞ちゃん。じゃあ、私はそろそろ帰るわね」

「え~、帰っちゃうの。今日は話してないよ」

「うん、ごめんね。退院して落ち着いたら会おうね」


そう言ってのりちゃんは帰っていったのでした。



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