49 まだ、リアル話・・・なの
こちらも現実話なので飛ばしてもらって大丈夫です。
リエの眉間のしわがもっと深くなった。
「でもさ、逆に子供のことって隠したくならなかったの。役員をやってる場合じゃないじゃない」
「それをしたら意味がないでしょう。私はね、自閉症の特性を知った時に自分一人での子育ては無理だと思ったのよ。さっきも言ったけど、自分は妊娠中でもう少ししたら赤ちゃんも産まれて、どうしても赤ちゃんの世話に手が取られるよね。それに母も入院中で、病院にも行かなきゃいけないし。そうしたら息子のことを隠しておいて良い事なんてないもの。逆に話したら、病院に行っている間娘の事を見てもらったり、幼稚園のバスのところまで息子の送り迎えをして貰えたりと、助けてもらえたのよ。人と触れ合うことが苦手な息子も、いつかは大丈夫になるかもしれないじゃない」
リエがまた何かを考えている。
「あーのさ、リエ。別に大変だった自慢をするわけじゃないからね。本当に喉元過ぎればってやつじゃないけど、もう思い出話だからさ」
「でも・・・いや、マキャがそう言うなら、今更な話なんでしょう。でも、ねえ、まだなんか隠してない。これ以上に暗いという話があるんじゃないの」
「・・・ねえ、その変に鋭いのやめてくれない。相変わらず、そこが嫌なんだけど」
「私だって、マキャの人が悪い所が嫌なんだけど。で、何があるの」
「別にねえ、今ほじくり返すことでもないんだけどね。・・・私さ、結婚して5年子供ができなかったのよ」
リエがまた目を見開いた。
「結婚してすぐにできると思ったんだけどねえ。うちは旦那に婿に来てもらったから、申し訳なかったし」
「それって原因はわかったの」
「排卵日のあとの高温期が2~3日しかなかったの。普通なら1週間くらい続くはずよね」
「確かに・・・そうだったよね」
「だから多分受精はしても着床ができなかったんじゃないかと、ね」
「医者はなんて」
「最初にかかった医者はそこまで見てくれなかったの。2年通って駄目で、医者を変えて半年で上の子を妊娠できたかな」
リエの顔が曇っている。そんな表情をさせるつもりはなかったのにね。リエは溜め息を吐き出した。
「そこまで書いたら暗いわね」
「でしょう。だから、笑い飛ばす方向にいきたい訳よ。でもさ、これを書く意味ってあるのかな~って、思ったりしてね」
「ここまで、面白く書いておいて?」
「でも、その先は家に帰ってからでないと書けないし」
「なんで・・・ああ。病気の説明を入れるんだ」
「そうなのよ。せっかくだからこんな病気があるって入れようかと」
「まーた、マキャは真面目なんだから。適当に濁せばいいんじゃないの」
「それはやだ。実際に同じような症状で苦しんでいる人が、読んでくれるかもしれないじゃない。少しは希望になる様に書きたいもの」
「そこが真面目だっていうのよ。でもなら、キャンに相談で良かったんじゃないの」
「だから同じなろう作家してるから相談したんでしょうが」
「あー、そっちか」
「そっちなの。いくらリエがムーンライト専門でも物書きの目線で訊きたかったの」
私がそう言ったらリエはまた微妙な顔をした。嬉しいような、戸惑っているような・・・。
「まあ・・・ね、私の感想としては、投稿してみたらよ。読む人が全部本当のことだと思うなら、思わせておけば。になるわね」
「そんなもの?」
「そんなものよ。でも、本当にこれ事実と創作の境界線が分かりにくいわね」
「そりゃあねえ。前になんかで聞いた言葉にね、「上手い嘘をつくなら真実に嘘を混ぜること」って言っていたの。それも1割か2割。真実に惑わされて嘘が見抜けなくなるとか、だって」
「なによ、それ」
「この騒動記は私の病状は真実だけど、他は作っているのよ。うちの家族とのやり取りは実際のやり取りは書いてないもの。実際のやり取りから膨らませて理想のやり取りにしているのよ。でも、これを嘘と取るか創作と取るのかは読み手次第よね。実際の家族のことは詳しく書きたくないしね」
「まあ、いいんじゃないの。・・・ちょっと待って。ねえ、この私とのやり取りはどうするの?・・・まさか、全部載せる気じゃないでしょう」
「えーと、そこまで書き進めないと何とも言えないけど、書いていいなら書きたいかな」
「なんで、そこでぶっちゃけるの!」
「う~ん、なんでだろう?」
「・・・おい。殴っていい」
本当にリエが拳を握って頭を叩いてきた。
「痛い~。殴るなよ、相変わらず暴力女なんだから」
「殴らせるようなことをしたからでしょ。まさか、分かってて呼び出したとか言わないわよね」
「タンマ、タンマ。違うから、お見舞いの日を指定したのは、このあたりなら暇してると思ったの。わざとじゃないから。それに本当のことをぶっちゃけようなんて、さっきまで考えてなかったし」
「じゃあなんでそんなことを思い付いたのよ」
「なんか嘘話に疲れたから。舞子さんが明るすぎて、生理的に嫌になったの」
「自分が作ったキャラクターに疲れないでよ」
「でもさあ~、自分がモデルなわけでしょ。私の本当も入っててさ、いい加減こんないい子じゃないって思ってさ~。みんなにお見舞いに来てもらえるような奴じゃないというかさ」
ゴン とまた拳を頭にいただきました。




