48 リアル話はまだ続く・・・
あまり楽しくない話です。
リアルとつく回は飛ばしてもらっていいですよ。
リエは一度深呼吸をすると言った。
「ねえ、なんで私なの。キャンでもいいんじゃないの?あと、ミナちゃんとか」
「あの二人は近すぎるからダメなの。それにこの感覚はリエの方がわかるでしょ」
「買い被りすぎ。まあ、参考になるか分からないけど、それでいいなら」
「もちろんよ。それで、ただ事実を書いたのが元帳なのね。それじゃあつまらないでしょ。で、いろいろ脚色したのがこの2冊なの」
「ねえ、気になったこと聞いていい。事実ってこれに書いたこと全部じゃないの」
「違うに決まっているでしょう。事実を書くならこれの冒頭から違うもの」
「冒頭からって、24日からじゃなくて1月10日からって事・・・じゃないのね」
リエは私の顔を見ながら言った。
「うん。目のことを発端にするなら去年の10月になるから」
「そんな前・・・」
絶句しないで欲しいんだけどな。
「簡単に言うと、10月は高校の役員の仕事の関係でパソコンを触りまくっていたのよ。預かったUSBの中身の確認したりいろいろやっていたんだけど、その中にウイルス入りの奴があったようで、パソコンのデータを駄目にされたのよ。電気屋のサポートセンターにお願いして復元して貰えたから、ある程度のものは何とかなったけど、一部最初から作り直ししなければならなくなって、12月までかかったのね。それで目の使い過ぎで、パソコンの画面が見づらくなっていたけど、放置していたの。それが積み重なって年明けの遠近感が変に繋がったんだよね」
私がこう言ったら、深い溜め息を吐かれた。
「だから投稿があんなだったんだ」
「まあね。積み重なりは怖いというか」
「マキャ、あんたが言うな」
「へーい、分かっているよ。それから、冒頭を24日にしたのは年明けからのことは書きたくなかったから」
「・・・なんか言いたくないことがあったの」
「だってさ、風邪をひいて咳がひどくてはいいけど、鼻水鼻詰まりに実は目もおかしいなんて、どんだけ病気を背負っているのよ」
「実際がそうだったのなら、しょうがないでしょう。それから他には?相談なんて言うからには、まだ気になることがあるんじゃないの」
「気にしているわけじゃいけど・・・。これってさ、投稿されたら本当のことと思われるのかな~って。かなり作っているんだけど」
「どこが?」
「う~ん。舞子さんがかなり楽天家なところとか」
「いや、そのまんまだと思う」
リエが間髪入れずに返してきた。
「いやいや。元の私はネガティブよ。目立ちたくない、隅っこに隠れていたいだったのよ」
「どこがよ。それだけ役員やっていれば説得力ないでしょ」
「普通はそうみるよね。でもさ、理由があるわけよ、自分を変えようと思ったわけがさ」
「それって、この中に書いていないことなのね」
やっぱりこいつは解っている。
「そうだよ。ねえ、その中のうちの子達どう」
「どうって・・・協力的でいい子供じゃないの。・・・違うの」
「・・・素直で頼めばいろいろしてくれるけど、自分からは気がつかない・・・ううん、気づけない子なの、息子は」
「それって・・・」
「リエに言ってなかったよね。うちの息子自閉症なの。発達障害児だったのね」
「えっ?ええっ!聞いてないよ。何よ、その爆弾発言。なんで今まで黙っていたのよ」
「だってさ、リエと再会した時にはそんなに困った事態にはならない頃だったから、わざわざ言うほどの事じゃなくてね」
またまた絶句して私の顔を見てきた。
「それでさ、息子が自閉症かもしれないと言われたのが3歳の時でね。私は自閉症なんて知らなかったから、なにそれって思ったの。でも、半分は気持ちが落ち着いたかな。明らかに他の子と違う息子に、知らない人は親の育て方が悪いから落ち着きがないんだとか言われていたのね。それが病気のせいだってわかって安心もしたの。「病気じゃ仕方がない」って、免罪符をもらったように思ったのよ」
「でも、大変だったんじゃないの。そういう子を育てるのは」
「それがね、その時は別の意味で大変で、もう毎日がいっぱいいっぱいだったからねえ」
ここで言葉を切ったら目線で続きをと云われたの。
「えーとさ、その時は自分が下の子の妊娠中と、母が食道癌で入院中で、息子まで手が回らなかったというかね」
「ちょっと待って。ねえ、それは本当のことなのよね」
「今、嘘を言ってどうするのよ。これは本当のことよ」
リエはしばらく口をパクパク開けて、何かを言おうとしては言えなくてを繰り返していた。
私はリエにニヤリと笑いかけると言った。
「ごめんね、リエ。でもこれで私が言いたいことも分かったでしょ。事実を盛り込むと楽しくない話になるのよ」
「・・・ちなみにこれはどのジャンルにするの」
「もちろんコメディーよ。笑い飛ばしてしまいたいもの」
「あと、なんで役員をやっていたの」
「自分が変わろうと思ったから。自分だけの殻に閉じこもっていたら、息子のために良くないと思ってね。人は1人で生きていけないじゃない。金八先生の台詞じゃないけど、人って支え合って成り立つものだと思うもの」




