第98話 情事の後 5時30分
隣に転がっている六条の死体を
ベッドの下に蹴り落としてから、
僕は起き上がった。
そして。
ベッドの足元に
脱ぎ捨てられた服のポケットから
腕時計を取り出した。
時刻は丁度5時30分を指していた。
かれこれ。
1時間ほど経過していた。
少しばかり、
のんびりしすぎたようだ。
僕はユニットバスのドアを開けた。
カーテンの向こうから、
シャワーの音に混じって
鼻歌が聞こえてきた。
僕はカーテンを引いた。
熱気と湿気が一気に押し寄せ、
裸の肌に纏わりついた。
女が鼻歌に乗せて、
白い裸体をくねらせていた。
細いウエストが
綺麗な曲線美を作っていて、
肉付きのいいお尻が
ふるふると揺れていた。
僕は束の間、
その光景を眺めていた。
ふいに。
女が振り返った。
にこりと笑う女に、
僕も微笑み返した。
その時。
女の視線が僕の右手を捉えた。
次の瞬間。
女の目が大きく見開かれた。
僕は瞬時に女との間合いを詰めた。
そして。
右手に持った包丁を、
女の腎臓目掛けて突き刺した。
「ああぁぁっっ!」
女の口から悲鳴が漏れた。
僕はすかさず包丁を抜いて、
今度は左の乳房に突き刺した。
「な、何ぃっ・・」
女の唇を塞ぐようにキスをした。
「んぐぐぅっぐぅ」
呻き声とも悲鳴ともつかぬ音が
女の喉から洩れた。
唇を重ねたまま、
僕は右手を上下左右に動かした。
僕の手の動きに合わせて、
女の口がぷるぷると
痙攣するのがわかった。
同時に。
女の唾液と血液が
口の中に流れ込んできた。
僕はがむしゃらにそれらを味わった。
それから。
ゆっくりと唇を離した。
女の目からは光が失われていた。




