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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第9楽章 理由

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93/114

第93話 報酬

応接室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「結局。

 菅野さんが一番賢かった。

 そうなるのかな・・。

 どちらにしても。

 彼女は牢屋の中だ。

 これ以上、

 悲劇が起こることはない。

 あとは。

 ゲームが終わるのを待とう。

 僕達は生き残ったんだ」

僕はカップに残った

ハーブティーを飲み干してから、

大きく深呼吸をした。

「本当に・・そうでしょうか?」

その時。

千雪がぽつりと呟いた。

彼女は膝の上のティーカップを、

両手でギュッと握り締めていた。

「もし。

 鈴木さんの推理が正しいのなら、

 このまま菅野さんが

 大人しくしているとは思えません」

「それは・・。

 どういう意味だい?」

「報酬のことを覚えていますか?

 3人生存の場合は、

 1人当たり5000万円。

 2人生存の場合は、

 1人当たり1億円。

 その差額は2倍です・・」

「まさか・・」

「もし。

 菅野さんが

 報酬に執着しているとしたら。

 3人生存という結末には、

 満足しないのでは

 ないでしょうか?」

そう言って、

千雪は僕を真っ直ぐに見つめた。

少女の表情に

僕は言いようのない不安を覚えた。

それでも。

僕は無理に笑顔を作った。

「・・大丈夫。

 何も心配することはないさ。

 今更。

 彼女には何もできないよ」

「それならいいのですが・・」

千雪がぎこちなく微笑んだ。

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