↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第5楽章 そして誰もいなくなった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/114

第47話 騙り 23時30分

遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「とりあえず。

 これで一応、

 当面の問題は片付いた。

 ということでいいんだな?

 じゃあ。

 ここからは。

 【犯人】について話し合うか?

 郷田を殺した奴と・・。

 それに。

 そこの女の話が本当なら、

 盗んだ毒をワインに仕込んだのも、

 その【犯人】の可能性が

 高いんだからな」

そう言って、

宮崎は

「ふぅ」

と美味そうに煙を吐いた。

「あの・・。

 平原さんが【犯人】だった。

 その可能性はありませんか?」

僕は思い付いた

希望的観測を口にした。

皆の視線がふたたび僕に注がれた。

僕は居心地の悪さを

紛らわせるように、

ゴホンと大袈裟に咳をした。

「そ、その・・。

 郷田さんを殺したものの、

 罪悪感に駆られて、

 自殺したとか・・。

 毒については、

 どうやって知り得たのか

 わかりませんが・・」

あり得ないことだとは

わかっていた。

それでも。

僕は言葉を続けた。

平原が【犯人】ならば、

問題は解決だ。

毒殺犯が他にいるとは、

考えたくはない。


「残念だが。

 その可能性はないな」

西岡が僕の考えを

きっぱりと否定した。

「何で言い切れるんだ?

 よくよく考えたら、

 鈴木くんの意見も一理あるだろう?

 それに。

 あの拳銃だ。

 【犯人】でもない人間が、

 あんな物を

 所持してると思うか?」

宮崎はゆっくりと煙を吐き出した。

西岡が

「はぁ」

と面倒臭そうに溜息を吐いた。

「最初に役職を明かした時のことを

 忘れたのか?

 まず初めに。

 そこのおばさんが、

 『クラブの8』のカードを見せた。

 で。

 次にあの死んだ婆さんが、

 『クラブの5』を宣言した。

 そして。

 俺が『クラブの3』を。

 最後に。

 そこの派手な姉ちゃんが、

 『クラブの4』と明かした。

 だよな?」

「それがどうしたのよ?」

菅野が気怠そうに頷いた。

「ゲームのルールにも

 書かれてただろ?

 ”すべてのカードの数字は

 連続している。

 同じ役職のカードについても

 同様である”

 ってな。

 つまり。

 カードの数字は被っていない」

「当たり前でしょ。

 同じマークで

 同じ数字のカードなんて、

 トランプには存在しないもの」

「くっくっく。

 その通り。

 にもかかわらず。

 あの婆さんは、

 2番目にカードの数字を

 申告したんだ。

 あの時。

 もし婆さんが

 適当な数字を答えていたとして、

 その場合、

 『クラブの5』を引いた

 本当の【市民】がいたら、

 どうするつもりだったんだ?

 そして。

 その【市民】が

 カードを持っていたら?

 実際に。

 カードを破棄しなかった人間も

 いたんだ」

「そ、それは・・」

宮崎は葉巻を指に挟んだまま、

押し黙った。

「くっくっく。

 わかっただろ?

 あの状況で【犯人】が

 【市民】を騙るのは、

 リスクが高過ぎるんだよ」

西岡の推理に、

僕達は誰も言葉を返せなかった。

死神がふたたび

救世主としての片鱗を見せたのだ。

いや。

ここは「名探偵」と呼ぶべきか。

兎に角。

この状況において、

西岡は頼もしい味方だった。

ただし。

それは彼が【市民】である場合に限る。

もし。

彼が【犯人】だった場合・・。

僕はその考えを打ち消すように、

頭を振った。

その時。

遊戯室の柱時計が

ボーンと23時30分を告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。