第22話 カード
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
皆、
誰かが話し出すのを待っていた。
「・・とりあえず。
【市民】が生き延びる方法を
話し合った方が良さそうね」
重苦しい空気の中。
菅野が最初に口を開いた。
「わ、わたしは・・。
み、皆さんのことが・・。
し、信用できません」
六条はそう言うと、
不安げに視線を動かした。
「それはお互い様だろう。
あんたが【市民】だという証拠は
ないからな?」
宮崎が六条をぎろりと睨み付けた。
「わ、わたしは・・【市民】です」
すると。
六条はジャージのポケットから
1枚のカードを取り出して、
テーブルに置いた。
「こ、これがその証拠です」
皆の視線がカードに向けられた。
それは。
トランプの『クラブの8』だった。
「それなら。
あたしは『クラブの5』だよ。
もっとも。
カードは門の所のあの女に
処分してもらったから、
手元にはないけどねぇ」
平原が早口で捲し立てた。
「カードがなけりゃ意味ないぜ」
西岡が鼻で笑った。
「そういうお前はどうなんだい?」
「俺は『クラブの3』だ。
当然、
カードは捨てたから、
証明はできない」
「きゃきゃきゃ。
結局、
あたしと同じじゃないか、
餓鬼が偉そうにするんじゃないよ」
平原が西岡を睨み付けた。
「だから。
証明できない奴が
【市民】を主張しても、
無意味だって言ってるんだよ、
婆さん」
西岡も負けじと平原を睨み返した。
「2人とも、
くだらない喧嘩は止めなさいよ。
ついでに言うと。
アタシは『クラブの4』よ。
勿論、
証明できないけど。
そもそも。
あの女の説明を聞いて、
カードを破棄しない人間の方が
不自然じゃないかしら?」
「ふむふむ。
その通りだ。
あの説明を聞いてなお、
カードを持っているのは、
若干怪しいな」
菅野の意見に賛同した宮崎が、
改めて六条を睨んだ。
「そ、それは・・。
人それぞれではないですか!
と、兎に角!
このカードが!
わたしが【市民】であることを
証明しています!
わ、わたしは!
へ、部屋で1人でいます!」
六条が立ち上がった。
「ホラー映画では1人になった奴が
真っ先に殺されるんだぜ」
西岡が脅しめいたことを口にした。
「まあいいだろ。
1人が安心なら、
それもいいじゃないか。
どちらにせよ。
部屋を決めよう。
1階には3部屋。
2階には5部屋。
いや。
死体のある部屋を除いて4部屋か」
そして宮崎は皆の顔を見回した。




