第17話 14時
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「わ、儂は【市民】だ!
そ、それに。
ここへ来てから、
この部屋から一歩も外へ出とらん!
兎に角。
儂はあんな男は知らんぞ!」
宮崎は額に大粒の汗を浮かべて、
喚き散らした。
だが。
その必死な様子が、
かえって宮崎を怪しく見せた。
僕だけでなく全員が
宮崎に疑惑の目を向けていた。
「・・あの。
宮崎さんがあの人を殺したとすれば。
その機会は、
菅野さんが到着するまでの間にしか、
なかったことになりますよね?
それなら。
それはゲームの内容を
知る前ということになりませんか?
そんな状況下で。
宮崎さんがあの人を殺す動機は
ないと思うのですが・・」
佐藤が遠慮がちに呟いた。
「そ、その通りだ!」
宮崎の目がパッと輝いた。
「きゃきゃきゃ。
そんなことは、
無実の証明にはならないねぇ。
だって。
あの封筒は、
封がされてなかったんだからさ。
読もうと思えば、
誰でも読むことはできたんだよ」
そう言って、
平原は意地の悪い笑みを浮かべた。
「仮に儂が【犯人】だとしてもだ。
こんな馬鹿げたゲームのために
人を殺すわけがないだろ!」
宮崎が顔を真っ赤にして反論した。
その時。
1つの光景が頭に浮かんで、
僕はハッと息を呑んだ。
封筒を開けた時、
平原はあえて封を切った。
一体、
彼女はなぜそんなことをしたのか。
僕は平原の方を見た。
ソファに座る魔女の口元には、
不敵な笑みが浮かんでいた。
「待ってください。
今ここで、
宮崎さんを
【犯人】と決めつけるのは、
時期尚早だと思います。
それよりも。
亡くなられた方が誰なのか、
気になりませんか?」
佐藤の言葉に全員が黙り込んだ。
「・・もう一度。
あ、あの部屋に行けば。
な、何かわかるんじゃ、
ない・・かしら・・?」
六条の言葉が沈黙を破った。
その直後。
応接室の柱時計が
ボーンボーンと14時を告げた。




