第110話 7という数字 鈴木太?の視点
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
白くぼんやりとした視界の中、
微笑んでいる天使の姿が見えた。
その背中に羽はなく、
天使は堕天使へとその姿を変えた。
その時。
鳩尾の辺りから
何かが込み上げてくるのを感じた。
僕は口元に手を当てて、
吐きそうになるのを堪えた。
たった今。
堕天使の口から語られた話が、
僕の頭の中をぐるぐると
駆け巡っていた。
僕は両手で頬を叩いた。
大きく頭を振り、
改めて堕天使の方を見た。
美しき堕天使が
僕の方を見て笑っていた。
次の瞬間。
僕は自分の過ちに気付いた。
「まさか・・。
六条を・・殺したのは・・」
ふいに。
少女がポケットから
1枚のカードを取り出した。
彼女はそれを
そっとテーブルに置いた。
僕の目は、
そのカードに釘付けになった。
ぼやけた視界の中でも
それが
『スペードの7』
であることはわかった。
「私。
7という数字が好きなんです。
七草。
七福神。
七不思議。
七つの大罪。
そして。
ラッキー7です」
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
まるで霧がかかったかのように、
視界が霞んでいた。
「六条を・・殺したのは・・。
き、君か・・?」
僕は霧の中へ向かって問いかけた。
あの時。
中庭で僕と西岡が話をしている間。
少女は1人だった。
「こ、答えろっ!」
僕は叫んだ。
「・・ご想像にお任せします。
それに。
今更どうでもいいことです」
そう言って、
少女は
「ふふっ」
と笑った。
「それよりも。
・・大丈夫ですか?
随分と顔色が悪いですよ。
気分が優れないのですか?」
霧の中から少女の声が聞こえてきた。
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・な、何を。
し、した・・んだ?」
僕は胸の不快感に耐えながら、
声を絞り出した。
その時。
ぼんやりとした視界の中で、
少女がふたたびポケットから
何かを取り出すのが見えた。
僕の目は少女の手の中のモノに
釘付けになった。
それは・・。




