表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/33

第33話 マルーンちゃんのスキルは【螺旋回転】

 次の日、カービン王子は朝、授業の前に黒板の前に立った。


「というわけで、来月、S組とF組の模擬戦がある、五対五のチーム戦だな。参加したい腕自慢はこの俺に申し出てくれや」


 クラス内はざわざわした。

 F組だと、あまり戦闘スキルの持ち主はいないのかな。

 サテンさんとかジナンさんとかは戦闘用でないスキルだしね。

 あんまり立候補は期待できないかもなあ。


 結局誰も立ち上がらず、スザンヌ先生が来てホームルームが始まった。


「あー、F組のチームがS組チームに勝てる訳ないんだからさ、諦めなさい。良いじゃ無い、ペットの幼女の一人や二人、またテイムできるんでしょ?」

「いや、その……」


 何言ってるんだサブリナ先生は。


「カンパは家族ですから、譲るとかは無いんです」

「はっ、テイムした相手でしょ」

「……」


 なんだ、こいつ……。


「おう、先生、リュートが切れるぞ、こういう温厚な奴が切れると影響がでかいうえに、ずっと祟られるぞ」

「……、そ、そうね、先生が言いすぎたわ、ごめんなさい、リュート君」

「いえ……」


 サブリナ先生は肩をすくめた。


「スキルの強さは勝敗に対して大きいファクターよ、F組の得体のしれないスキルたちでは、五回戦で三勝を挙げる事はできないでしょう」

「それはなあ、先生、やってみねえと解らねえんだよ」

「無理だわ。もしもF組がS組を下したら、そうね、全員の一学期の成績を満点にしてあげるわ」

「よーし、言いやがったな、おい、お前ら、S組に勝てたら、無条件に満点だ、こいつはスゲえ報酬だぜ」


 くるくる巻き毛の女の子が立ち上がった。


「私は馬鹿で、ぜんぜん勉強が出来ない、でも、S組を倒したら、進級できるのか?」

「一学期満点だと、どうなんだ、サブリナ先生」

「そうね、一学期満点なら、二学期三学期が全滅でも、二年生に進級になれるわよ」

「よし!! おいチンピラ王子、私はマルーン、スキルは【螺旋回転】だ、対抗戦に参加する」

「お、おう……」


 螺旋回転って、どんな効果があるスキルなんだ?

 まあ、とにかく、馬鹿な子だけど、選手に立候補してくれてうれしいな。


「よろしくね、マルーンちゃん」

「ややややや、やめろやめろ、テイムすんなおまえ、殺すぞ」

「い、いやしてないし」

「そうかー、お前怖いから近づくな、いいな」

「わ、わかったよマルーンちゃん」

「やめろっ」


 マルーンちゃんは赤くなって座った。


「よし、これで選手は揃ったな」

「い、いや、俺も出るんですか」

「勘弁してくださいよ、カービン王子」


 ジナンさんとマノリトさんは泣きを入れたが、王子は聞く耳を持たなかった。

 いや、だけど、勝てるのか?



 とりあえず、ホームルームは終わり。

 午前の授業もつつがなく終わった。


 さてと、マルーンちゃんに、スキルの事を聞いてみようかな。


「ねえ、マルーンちゃん、寮で僕の奴隷(スレイブ)が昼食を作っているんだけど、一緒に食べない?」

「……、ええ?」


 マルーンちゃんは僕の姿を上から下まで眺めた。


「奴隷いるのか、さすがは【幼女テイマー】だ、怖い怖い」

「い、いや誰にでもテイムとかしないからさ」

「奴隷にしたドラゴンの子の事を執着してるし、やばいんだろうお前-」


 ブワリと大気が歪んだ。

 え、なんかスキルを使おうとしてる?


 ジナンさんが、水の入ったガラスのコップに金魚をだした。

 スキル【金魚】だ。


「うわあ、なんだこれなんだこれ、お前のスキル?」


 綺麗な金魚が、コップの中で優雅に泳ぐ姿を見て、マルーンちゃんは歓声を上げた。


「お前はやめろ、俺は伯爵令息さまだぞっ」

「そうか、令息、私は男爵令嬢だ、馬鹿なので娘扱いされてねえんだけどさあ」


 ほうほう、なんかマルーンちゃんも複雑そうだな。


「とりあえず、飯をくおうぜ、リュートもスキルは変だけど、良い奴だからよ」

「そうなのか、【幼女テイマー】なのにか?」

「ああ、そうだ、ねえ、カービンの兄貴」

「ああ、そうだ、一緒に昼飯を食おうぜ、嬢ちゃん」

「お前はチンピラで悪い王子だ、ジナンはいい奴だが、カービンとリュートは悪い奴だ」

「うーん、簡単な世界が見えていて良いなあ」

「うへへ、マルーンを口説いてもいいのかあ?」

「……、あ、やっぱりジナンも嫌らしそうだ、やっぱり駄目だ」

「まあ、飯を食おうぜ、美味いぞ」

「寮の飯よりもか?」

「「もっと美味い」」

「しょうがない行こう」


 僕らはマルーンちゃんを入れて、F組寮に向かおうとした。


「マノリトさんも一緒にどうですか」

「そうだな、選手だからな」

「いえ、私は実家で食べますのでご遠慮いたしますよ」

「おい、デブ、実家どこよ」

「失敬だね君は、商業街だよ」

「そうかー、近いなあ-」


 マルーンちゃんは足りない子なのかなあ。

 くるくる巻き毛でふわふわな感じで可愛いのだけれど、口の利き方がなってないよね。


 みんなで校舎を出て、F組の寮に行く。


「そういや、食堂でお前見ないな」

「ああ、ジナン、私は、お金が無いから食べられないんだ、外でパンを買って食べてるよ」

「「「……」」」

「マルーンちゃん、寮の食費は学費として入ってるから別にお金は掛からないんだよ」

「えっ」

「馬鹿だなあ、お前はあ」

「ああっ、只で食事が出来たのかあ、もったい無かったなあ」

「まあ、一学期の早い内に解って良かったじゃねえか」

「そうだな、王子」


 マルーンちゃんは、堂々としてるから大物っぽく見えてくるね。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ああ、そうか・・・くるくるp(自主規制 それにしてもこの学園は大改革する必要がありそうだ。カービンが王様になったら潰して作り直す方が早いかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ