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エステで癒やす聖女様  作者: 胡桃
6/6

なんだかんだで

まずは、マッサージ台だ。これがなければ仕事にならない。

部屋を見渡すと3台ベットが並んでいる。

それに近づくとオズワルドがすぐに説明をしてくれる。


「一番右のマッサージ台は木製で出来ております。木目が美しく出るように調整されており、足の部分は彫刻も施しております。」

説明された通りに木目が艶やかですごく高級そうだ。しかしなぁ・・・。


「こちらは台の高さは変更できますか?」


「高さでございますか?」


「はい」

このマッサージ台は今のままだと高すぎる。調節するようなネジがみあたらないので、思わず質問したんだけど・・・・。

オズワルドさんは少し驚いた表情をしたのちに「高さはどのマッサージ台も調節可能でございます。」と答えてくれた。


「こちらの足についております魔法石に手をかざして頂ければ、調整が済みますので。」


マッサージ台の足の真ん中あたりに一座のゲルにあった電気などを付ける水晶がついていた。

魔法石だったんだな・・・・。これ。

手をかざしてみるとマッサージ台が私の高さになる。

おおお、すごい。

となると、そんなに装飾がないマッサージ台がいいかも。

あんまり高いのは気が引けるし・・・。


「オズワルドさん、この3台のマッサージは装飾が凝っていると高くなる感じですか?」


「はい、そうでございます。」


話は早いな。そうなると、右の木目は彫刻が凝っているし素材を武器にしてるから高いんだろうな。優雅な感じだし、ロココ調だし。真ん中はなぜか金色で足元が猫足だ。曲線は綺麗だが、装飾は特にない。

左に置いてあるマッサージ台も木目調だがウォルナットの様な色をしていて右の木目とは少し違う。右の木目は少し白っぽい。ウォルナットの木目はとても品がよく彫刻はなくシンプルだ。

金色の足のマッサージ台はなんとなくコレジャナイ感あるし・・・。


「左のマッサージ台にします。」

ウォルナットの木目が気に入って決めた。日本だとスチールだったりするけどおしゃれ~。


「ありがとうございます、では手配いたします。」


あとは、化粧水と、乳液と、オイルと美容液!!

今ある手持ちでは心もとないし、ケアによって種類も違う。

異世界の化粧品楽しみ~

瓶などが置いている棚に目を向ける。ずらりと並んでいる。すごい高級そうな瓶もあれば、可愛らしい瓶もある。

どれがどの化粧水なんだろう・・・・

商品を手に取った時だった。



しっとり化粧水【品質】普通

(材料)普通の月見草、劣化したローズオイル、水、魔力

説明

お肌がしっとりする化粧水。他に効果はない。




え?

なにこれ。めっちゃゲーム画面みたいにウィンドーが出てくるんですけど。叫ばなかった私えらい・・・。

他の商品もまさか・・・・

とっさに横にある瓶も手に取る。



しっとり乳液【品質】普通

(材料)普通の月見草、劣化したローズオイル、スライムコアの粉、魔力

説明

お肌を保湿する乳液。他に効果はない。



Oh・・・・。

これ作ったの同じ人なんだろな。なんで毎回劣化したローズオイルつかってるんだろう。

しょっぱい気持ちになりながらみているとオズワルドさんが同じシリーズの化粧品を見せてくれた。

クリーム、美容液全部劣化したローズオイル入り。そして品質は普通。


「こちらの商品は今季の新作になっております。ローズの香りが優美な気分にさせてくれる商品だそうです。」


説明が見える分全然買いたいとは思えないけど瓶はすごくかわいい。バラをかたどったピンクの瓶なのだ。

凄く効きそうな見た目、とは裏腹にこの品質。


「これリピーター少なそうですね・・・。」


「!?ご存じでしたか?老舗の薬師なんですが・・・4代目になってから売れ行きはあまりよくなさそうです。」


でしょうね・・・・効果が他にないんだもんな・・・。

品質分かるの最高!!目利きし放題!!なんでか知らないけど材料までわかっちゃうし。


結局ものすごく地味な瓶に入っている化粧品が一番品質がよくて、美白ケアやらハリを取り戻すとか付属効果が豊富だった。オズワルドさんの顔がすごかったな・・・・。本当に買うのかすごく聞いてきたし。

ここの旦那様がお世話になったかで取引しているらしいのだが、あまり人気はないらしい。

女性相手には売れないだろな・・・あの見た目じゃ。

でも品質は最高品質だし。言うことなしなんだけどな~。

あとはスチームさえあればな~・・・スチームの機械はあるのだろうか・・・。


「あのぉ・・・スチームの機械はありますか?」


「スチームですか?・・・どういった物になるのでしょうか?」


身振り手振りをくわえて説明するがそういった商品はないらしい。

どうしよう・・・スチームはいるんだけどな・・・。


「もしほしい商品があれば職人と相談して作ることも可能ですが・・・」


「・・・私一人では・・・マザーに聞かないと・・・・。」


「ん?何かマザーに連絡取りたいの?」

高そうなクッキー片手に話しかけてくるランスロッド。


「欲しい道具があるんですがここにはなくて、もしいけそうなら作ってくれるみたいですが・・・いくらになるかなんてわからないし・・・・・。」


そう聞くとランスロッドが宙に円を描いた。


「マザー、アカリが話があるそうですよ。」

マザーの顔が円から見える。


「なに?なにかあったの?」

ざっくり説明すると二つ返事で「作りなさい。お金の心配はしなくてよろしい。」だった。

美を求める女性はどの世界も同じだ。

職人をこちらに派遣してもらえるらしいので取り合えず無事に買い物はおわった。

思ったより時間がかかってしまったので急いで帰らないと!!

帰ったら女の子達のカウンセリングをして今日の用意をしなくてはいけない。


「帰ったらたぶんもう部屋が出来てるからね、レイアウトの事もあるから早速見に行かなきゃね。」

 

「そういえば今日購入した荷物はどこにあるんですか?」


「ん?荷物は基本転送だよ?」


「え?」

転送があるのか・・・めっちゃ楽だけど人間は出来ないのかな?一瞬で帰れるのに・・・。


「人はダメなんだよ。荷物用の転送だから。人用の転送は宮廷魔導士ぐらいじゃないとできないんじゃないかな?」

顔にでていたのか、真顔で説明され「荷物用の転送には絶対に乗らない」と約束させられた。

どうなってしまうか聞いたらさすがに乗ろうとは思わないが、何も知らなくて危なっかしいとロドルコにまであきれられた。異世界の常識、私の世界の非常識・・・・。

まだたくさん知らない事あるんだろうな・・・。なんだかソワソワっと心がしたけど、今は考えないようにしなきゃ。

そう思いながら馬車の窓から知らない沙漠をみつめた。




帰ってくると少し賑やかになっている。大きな丸太や、布、荷物を持った男たちが作業していた。

ここの一座の出入口より一番奥になる場所に新しいゲルが立てられていた。

ゲルの色がうっすら青色がついている。

ちょっと占いの館っぽい。


「・・・すごい、こんな短時間に・・・。」


中に入ると調度品はすでに置かれ、施術するベットにその横には化粧品がたくさん置ける棚。

少し話が出来るソファとローテーブル。

他にも扉があり開けると浴室と、もう一つは寝室があった。

トルコの様なランプがたくさんぶら下がっていて全体的にとても幻想的だ。RPGのようなファンタジーな感じ。まぁ、魔法使えてる時点でファンタジーだよね。


「帰ってきたかい?ここの部屋の登録をするからおいで。」


振り向くとマザーが寝室の前で手招きをしている。


「登録ですか?」


キョトンとしてると、マザーがにやりと笑う。


「こんなオオカミが沢山いるところで鍵ナシは、よっぽどの物好きだと私は思うけどね。」


「!!!!!!!」


真っ赤になってあたふたしてると、手を掴み部屋の扉の宝石にあてた。

すると少しぞあっとした感覚のあとに宝石が白に染まる。


「・・・・珍しい色だね・・・・。」


白と言うかオパールに近い。白の中にきらきらとラメの様なものが輝いている。


「これであんたが許可しない限り誰も入れないからね。マッサージ台が置いてある部屋は女どものは入れるようになっているけど、男どもはあんたの許可なく入ることはできないよ。だから誰かが来たときは・・・」


リィーン


どこからともなく聞こえる鈴の音。


 「ほら、こんな風に鈴が鳴るんだよ。」


出口に目をやると人が立っているのが分かる。荷物を持っているようだ。


 「許可を出してやりな。」


 「え!?どうやって???」


 「いいよ、なりなんでも構わないよ。」


 「は、はい。 どうぞ、お入りください。」


なんとなく言葉からふわっと柔らかい何かが出ていく感じ。魔力なのかとんでいく感じがする。


すると、大きな木箱を抱えたランスロッドが入ってきた。


 「おおお、なんかすごい部屋だね。これ、さっき買った商品だよ。どこに置く?」


 「ありがとうございます。あの棚のそばに置いてください。」


棚のそばに箱を置いてもらったので、中身を取り出し棚になおしていく。

棚に合わないこの薬品っぽい瓶・・・・・何とかしたいな・・・・。

そういえば私の荷物・・・・。

急に思い出して不安になる。また胸がソワソワする・・・。


 「あの、私の荷物はどこにありますか?」


 「あんたの部屋にあるよ、そんな不安そうな顔しなさんな。」


マザーがすごく困った顔でこちらをみている。私そんな顔してるなかな???

思わずペタペタと顔を触ってしまう。

 

 「取り合えず、今晩の用意もあるからね。ランスロッドあんたいい加減出ていきな!暇じゃないんだよ

  アカリはね。」


 「え!?」


 「ほら早くしな!」


あっという間追い立てられ姿が見えなくなる。哀れランスロッド。


「さ、邪魔者はいなくなったね、早速で悪いんだけど施術を一度私にしてくれないかい?」


と言うが早いか脱ぎ始める。


 「あのっちょっと待ってください~~~!!」

慌てふためきながらバスタオルを持ってこようと動こうとした時、マザーのワンピースが下に落ちた。

目線をふとマザーに向けて目を見開く。マザーの背中にある大きな傷。

刃物か何かでえぐられたような・・・・おしりの付け根まである。

びっくりしているとマッサージ台にごろんと寝ころんだ。


 「背中メインで頼むよ、最近肩こりもひどいしね。」

何とも妖艶なお姿で・・・・。

おっと、ぼーとしてられない!

 「お任せください!!」


さっき購入したオイルを使ってみよう。手に取った瓶を見つめる。


美白ラベンダーオイル【品質】最高品質

(材料) 最高級ラベンダーオイル とれたて月下の花の朝露 最高級サンフラワー花びら 魔力

説明

美白効果がある最高級美容オイル。さらには疲労回復、お肌再生能力を高める効果がある。



これ作った人とんでもなく変態だよね。すごい効能。

手にオイルを馴染ませながら温める。


 「少し冷たいですよ~。」

そう声をかけ肌に手を滑らせる。

肩こりがひどい。どこの筋を押してもゴリゴリしてる。シェイプアップのマッサージよりほんとに疲労回復に特化したほうがよさそうだ。

大体この大所帯をほぼ一人で切り盛りしているのは大変なのだろう。

ラベンダーのいい香りが心地いいのだろう、うとうとしているのがわかる。

しかしほんとにひどい傷だ。こんな傷でよく無事で生きているな、と言うのが正直な感想だ。

少しでも治らないかな・・・・。


 「…元の肌に戻したいの?」

頭に響く声と共に現れる妖精さん。


 「そりゃ戻せるならねぇ~。こんなに綺麗なお肌だし、美しく綺麗になれるならそれに越した事は

  ないよ~。」


マッサージに力を込めながら心で返事をしてみる。


 「なら、イメージしてマッサージしてみて!!きっと・・・」

そういうと光の粒が増えていく。魔力だ。


イメージ・・・叶様しか思い浮かばないが、綺麗になれ~傷よなくなれ~、皮膚よ再生するのじゃ~

色々思いながら丁寧に施術していく。いつもお客様にしてるように、心を込めて。

光が一層強くなりながら手のひらに集まっていくのがわかる。

ぞあっと扉に魔力を登録した時よりも、身体から何かが出ていく感じ。

魔力が出ていく感じがこれなのだろう。

手を滑らしたところから肌の傷が消えていく・・・・・。

おしりの付け根まで手を滑らせるころには見事に傷は消え、背中の肌はピカピカ。

元々マザーの肌は美しい。だがしかし!!!

これは・・・・20代近い・・・・。

前もしないと・・・やばくない?つり合い取れなくない?

とゆうか・・・全身しないと・・・。本当につり合いとれない。

でも時間ないし・・・、女の娘達そろそろ準備しないとだし。

女の娘達終わってからさせてもらおう・・・。

  


 「あのぉ・・・マザー・・・。」


 「・・・んぁ、寝てしまったのね。本当に気持ちがいいね、さすがだよ。」


 「ありがとうございます・・・・。すいません時間がそろそろ他の女の娘達見ないと間に合わない

  ですけど・・・。」


 「そうだね、ありがとう。本当に楽になったよ!羽が生えたようだね」

起き上がりながら伸びをしながら肩を回す。

立派な二つの物が大きく揺れておりますよ・・・。そっとバスタオルを渡した。


 「あ。オイルを使ってますのでそのままシャワーを浴びてきてください。」


 「ん、わかったよ。」


 「あの・・・あと、他のみんなが終ったら全身をマッサージしますので・・・。」


 「え?いいよ、しばらくは慣れないだろうから、落ち着いてからゆっくりしてもらうよ。」


 「いゃ・・・ちょっと違うんです。しないとまずいと言いますか・・・・。」

背中だけ透明感半端ないんです・・・。


 「取り合えず、シャワー借りるよ」


 「あ!」


行ってしまわれた・・・。傷勝手に治しちゃったしな。このオイルのせいでもあるんじゃないかな?

肌再生能力あるし、美白効果あるし。

私も使おう。そういやもってきている化粧品には効力あるのかな?

寝室に戻りながら自分のカバンを探すとベットの横に置いてあった。

どうせなら化粧品棚におこうっと。

カバンを持ち出し部屋の外に出るとバスタオル一枚のマザーが腕を組んでソファに座っていた。


 「あ、もう出たんですか?」


 「あんた・・・・もう出たんですか?じゃないよ。」

大きなため息と共に頭を抱えている。


 「すいません、気合い入れすぎて透明感がすごく出ちゃいましたよね。全身もするんで違和感なく

  なりますよ!傷も消えてしまいましたし。」


 「そう、それ。傷が消えてる。」


 「なんか消えてしましましたね。」


 「傷は消えることがないんだよ。癒しの回復魔法をかけて治しても本来傷は消えないんだよ。」

大股で詰め寄るマザー。いい匂いですが迫力ありすぎです。

真剣なまなざしで何とも気まずそうな顔。


 「・・・・何かまずいんですか?」


 「まずい・・・・。本当は。魔力の色を見たときに気がつけばよかった。まさか・・。」

考え込んでいる。腕組をしながらうろうろしながら立ち止まった。


 「・・・文献でしか読んだことはない。どんな傷も癒してしまう魔法がある。しかし

  その魔法は{聖女}と呼ばれる者しか使えないとされている。」


 「・・へぇ~、そうなんですね?」

ん?あれ?傷治せちゃったな・・・・私。

ん??あれ?あれ?

 

 「・・・聖女なの?私?まさか・・・。」

大きなため息と共に見つめ合う私とマザー。

何か本当にとんでもなくチートな能力を手にしているんだと自覚してしまった。

 

 







すごく時間かかった。

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