表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/207

エピローグ……または終わらない物語

昔、絶海の孤島に一人の魔法使いが住んでいた。その魔法使いは、人々から恐れられ忌み嫌われて、とても孤独だった。


だが、今は…


赤ん坊の泣き声を聴き、ミヤコは口づけをしようと顔を寄せたルーの顔を手で防いだ。


Γおまっ…」

Γどいて、ユキが泣いてる。」


甘い空気をあっさり消して、彼女は隣の部屋へ行こうとベッドから立ち上がった。


Γさっき乳は飲んだばかりだろ?」

Γ赤ちゃんは理由がなくても泣くことがあるの。」


ミヤコの腕を捕まえ、ルーは恨みがましい表情をして起き上がった。


Γいい、俺が行く。」

Γ……ありがとう。」


どうするのかなあ、と少々心配そうに夫の背中を見送る。隣の部屋は、物置を改装して娘の部屋となった。幸せという意味で、ユキ。ミヤコが名付けた。


ベッドに寝転んで聞き耳を立てていたら、隣の部屋からルーの声と足音がした。


Γほら、眠れ。」

Γほわあ、ほわあ」


どうやら夜泣きする娘を抱き上げて、あやすために部屋をくるくると歩き回ってるようだ。


Γ淋しくない、寝ろ。」

Γほわあ…」


偉そうな口振りで、でも一生懸命あやす姿が見ずとも容易に想像できる。


Γ朝になったら離乳食に挑戦させてやる。」

Γほわ…」


次第にユキの泣き声が小さくなってきた。


Γ……いい子だ。もう眠れ。」

Γ……」

Γいい加減、俺にミヤコを返せ。」


ぼそりと言われた本音を、ミヤコはしっかり耳にした。そして笑いを噛み殺した。

娘に嫉妬するなんて。これが息子だったらどうなってたか。

欠伸をして、ミヤコは笑んだまま目を閉じた。それから少しして戻って来たルーが、眠ってしまった妻を見て悔しそうにしながら彼女を抱き寄せた。


……孤独な魔法使いは、もういない。その島には今、ちょっぴり賑やかになった魔法使いの家族が暮らしている。


そして……

30年近い年月が流れて、グラディアと他国の間に戦争が始まり、新たな魔法使いの出現と共に魔法使い同士の闘いが起こったり、二人の間の娘がグラディアの王子と結婚したりする訳だが、それは後の話。

ただ、その島には何百年経った今でも、若いままの姿の夫婦が、毎日をラブラブで過ごしているとかどうとかは噂というより伝説として世界中の誰もが周知することとなった。

後にΓ偉大なる最高の魔法使い」と言われる夫婦は、よく雨の日に街に現れるという。


完結しました!ここまで読んで下さった皆様には本当に感謝しきりです!半年に及ぶ物語を完結できたこと、これもひとえに皆様のPVや感想が後押ししてくださったおかげです。

この話は、実は続編があって魔法のiらんどで公開しております。なろうでも、一人でも見たいと言われる方がいらっしゃるなら、喜んで改稿版を挙げたいな…なんて欲を持ってたりしますので、ご意見ご感想待ってますよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ