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放っておいてラベンダー
白かった息が白くなくなり
呼吸も溜息も見えなくなった
それでも変わらず世界は厳しく
幸せが逃げると分かってても吐く
ふと視界に入った薄紫
吹き抜ける風
鼻腔をくすぐる独特の香り
正体はすぐに分かった
子供の頃もらったポプリ
ぬいぐるみとタオルとセットのやつ
その色だ
その香りだ
でもあのポプリどこにやったっけ
そうだ
だんだんと香りがなくなって
どっかに行っちゃったんだ
そうだね
いつか薄れてく
香りも幸せも思い出も
だから今はお前に触れたくない
今だけはどうか香らないで