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熱帯夜に佇む
蒸し暑い夜風に
空を見上げた
瞬く星の美しさに
家路をゆく足が止まる
何かしら
しなやかに巻きつく毛糸のような
くすぐったくもある胸騒ぎは
私は気付いているのかしら
この足を止めてはいけないと
ちょっとやそっと躓いたとして
怖気づく理由にもならないと
大きく羽ばたく白鳥の十字
その自由な姿に拳が震える
私は気付いているのよね
こうして眺めて憧れる
今の姿がみっともないと
私はわかっているんだわ
追いつこうと手を伸ばして
踏み出し続ける責務があると
蒸し暑い風に
背中を押された
生ぬるい唾を
飲み込んだ
しんどくても