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メランコリー・ロンド

道で泣いている女の子

どうしたのかと思った

声はかけない

不思議に思ってるだけ


私の足は棒のようで

関わる気力を持ち合わせてない

鞄の持ち手を握り直す



陽が長くなった

とは言えもうじき夜がやって来る

まだ声はかけない

泣き疲れないのかな


ポケットをあさる

彼女をなぐさめられるアイテムなど持ち合わせていない

鞄の中をチラ見



 どうして泣いているの

 お家に帰れないの

 ママとはぐれたの

 何も持ってないの

 どうするつもりなの

 どうすれば助けられるの



一切出てこない声

目が合う

慌てて逸らされる

鞄の持ち手を握り直す



陽が長くなった

とは言えもうじき闇がやって来る

もう声をかけなきゃ

泣き疲れちゃうだろうから



 迷子なのかな

 どうしてこんなところに

 一人で来たのかな

 怪しい人じゃないよ

 何かしてあげたいだけ

 心配になってしまっただけ

 


全ての言葉を呑みこむ

動いてくれた足

鞄の持ち手を握り直す

「もしかして困ってる?」

すれ違う瞬間の質問


彼女の涙は止まった

丸くなった瞳からは

不信感など感じられず

そして

ゆっくりと首を振る


「だいじょうぶです」

「そっか」

そのまま足を進めた


陽が長くなった

とは言え ああもう日は沈んでしまう

ただしそれでもいいみたい


「ありがとう」


聞こえた声に振り向いて

首をかしげる

道で泣いてた女の子の

姿かたちはどこにもなく


ああそうか

もうじき月が昇るよ

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