33/40
送迎の火
魂が流れる
緩やかな水に乗って
それは箱舟
想いだけを置いて
次の世界に飛び立つ箱舟
魂は流れる
大きな観覧車に乗って
地上に残った私たちは
てっぺんへ向かうゴンドラから
どうやって見えてるの
魂が運ばれる
しなやかな馬に乗って
それは自己満
あなたを語りたいがための
想いを吐き出したいがための
魂は運ばれる
おっとりな牛に乗って
現実に残った私たちは
またしばらくあなたを忘れてしまう
またいつもの私たちになってしまう
思い出を置いて
想いを出して
舟をこぐあなたを
思い出しながら
想いを出しながら
溺れて見送る
おじいちゃん、元気ですか