31/40
笹に乗る
魔法使いになりたかった
正義のヒーローになりたかった
それがパティシエになりたくなって
スポーツ選手になりたくなって
ゲームが欲しい
学生のままでいたい
楽して稼ぎたい
具体的な願いなんて
何一つ口にできなくなり
気付けばペンで走り書き
「幸せになりますように」
実現しやすいものだろう
ふと感じられるものだろう
ただ振り向いた瞬間に
あの日の自分が首をかしげる
お気に入りのおもちゃを持って
大好きだったお人形を持って
何をしてるの、と問いかける
自分に枷を課すのは自分
笹は何も語らない
自分の夢を笑うのも自分
星は何も否定しない
臆せずにまずは文字にして
無理かもねって笑いながら
譲れないなら考えて
そのために何が必要なのか
分かったら少しやってみよう
分からなかったら本を読もう
あの日の自分が駆けてきて
何をしてるの、と聞かれたら
準備中だよ、と答えよう
大好きだったおもちゃを抱えて
頑張れと叫ぶ幼い笑顔が
今年もたくさん笹に乗る
「幸せになりたい」は漠然とし過ぎている。
 




