カオス五人組、レジの最前線で高カロリーな呪文を詠唱する
いつも『カオス五人組』をお読みいただきありがとうございます!
行列のテンプレートをようやく突破したオレたちですが、ついにラストダンジョンの最深部である「レジ」へと到達しました。
眩しすぎる光属性の店員さんを前に、限界オタクのさきが呼吸困難になり、オレのアドリブが暴走します。
当然、隣にいるひなからは「利回りが悪い」とガチの経営目線でダメ出しが飛んできますが……?
今回も1行ごとにジャンルが乱高下するバグだらけの会話劇をお楽しみください!(ピッ)
登場人物
• オレ: すべてをエンタメ(演出・アドリブ)で捉える男。
• 相棒: 世界を「記号」「ページ数」で捉えるメタ男。
• 優香: 隙あらば起源や歴史を差し込むうんちく女。
• さき: すべてをゲーム・アニメ・推し活に変換するオタク女子。
• ひな: 頼まれてもいないのに利益率や市場価値を計算するマセツンビジネス女。
• 周囲の客: 避難中の一般人。
• 店員さん: 眩しすぎる光属性のNPC。
【本編】(ついにレジの最前線に到達した4人)
店員さん: 「こんにちは!ご注文はお決まりですか?(満面のキラキラ笑顔)」
オレ: 「キタな……!この圧倒的な主役オーラ。完全にここが物語のクライマックス、敵の本拠地の受付や!オレの全演技力をもって、この対面シーンを制してやる!」
相棒: 「(ピッ)エラー。ただのレジです。あと尺的にここがクライマックスだと、この後コーヒー飲むシーンが全部エピローグ(後日談)になって文字数が余ります。構成を破綻させないでください」
優香: 「ちなみに『レジスター』の原型は、1879年にアメリカのジェームズ・リッティがお店の売上を従業員に盗まれないように開発したのが始まりなの。つまり、ここは信頼と防犯の境界線ね」
さき: 「ちょっ……待って無理死ぬ、店員さんの笑顔の輝度がカンストしてて完全にSSR(最高レア)の限定アニメーションじゃんーーー!まって作画良すぎでしょ顔面国宝じゃん尊すぎて直視したら網膜がバグって溶けるーーー!『陽キャの波動』っていう超超超強力な全体デバフ(弱体化)受けてて脳内の思考リソース全部持っていかれてるから、私もうコマンド『戦う』が押せないよぉーーー……!!(過呼吸)」
店員さん: 「お決まりでなければ、季節限定の『クリーミー・キャラメル・ナッツ・フラペチーノ』がおすすめですよ!(ストローを差し出すジェスチャー)」
オレ: 「ほう、向こうから仕掛けてきたか!限定メニューという名の『期間限定クエスト』の発注だな。このアドリブ、乗るしかない。よし、それをくれ!サイズは……一番ビッグなやつや!『キングサイズ』で!」
相棒: 「(ピピッ)警告。データベース上に『キングサイズ』の文字列は存在しません。それは牛丼屋の大盛りです。文字設定を同期してください。ここは『ベンティ』です」
優香: 「そう、スタバのサイズは『ショート、トール、グランデ、ベンティ』よ。ベンティはイタリア語で『20』を意味していて、20オンス(約590ミリリットル)入っていることが由来ね」
さき: 「はーーー!? 20(ベンティ)……!ってことはさーーー、タロットカードの大アルカナ20番『審判』じゃんーーー!死からの復活と覚醒のカードじゃんーーー!完全に公式からの供給過多で一回死んだ私のオタクの魂が覚醒して、推しの祭壇の前で狂ったように『しんどい』って叫びながら限界化しちゃうやつじゃんーーー!!」
店員さん: 「ありがとうございます!ベンティサイズですね!ミルクの種類は変更されますか?オーツミルクやアーモンドミルクにもできますよ!」
オレ: 「クッ……!さらに選択肢(ルート分岐)を増やして、オレの決断力を試してくるとは……!ここで選択を間違えたら、バッドエンドに直行するパターンのやつや!」
相棒: 「ただのトッピングの確認です。どのルートを選択してもエンディングは『コーヒーが排出される』で固定です。フラグ管理をこれ以上複雑にしないでください」
優香: 「アーモンドの原産国はアジア西南部で、古くからビタミンEが豊富で美容に良いとされているの。つまり、これは液体状のサプリメントと言っても過言ではないわ」
さき: 「美容……!ってことはさーーー、推しに会いに行く前に摂取するタイプの、ステータスの『美貌(CHA)』に爆発的なバフがかかる課金育成アイテムじゃんーーー!?じゃあ、そのアーモンドのやつ(生命の聖水)を最大容量でーーー!あと呪文追加で『チョコソース』と『ホイップ多め(マシマシの過剰積載)』でお願いしますーーー!」
店員さん: 「かしこまりました!アーモンドミルク変更、チョコソース追加、エクストラホイップですね!(スラスラとカップに書く)」
オレ: 「見ろ、あの流れるような手さばき!完全に魔法陣を詠唱する魔術師の動きや!スタバのカウンターは、現代 of 錬金術の作業台やったんや!」
相棒: 「(チーン)ただの油性ペンによるメモ書きです」
ひな: 「ちょっとあんたたち!何その非生産的な高カロリー呪文の詠唱は!カスタマイズによる顧客満足度の最大化(LTV向上)にまんまとハメられてるじゃないのよ!……って、お会計1杯でそんなにするの!? 利回り悪すぎでしょ!」
オレ: 「お、ひな!お前今までどこ行っとったんや? 主役のピンチに遅れて現れるヒーロー枠か?」
相棒: 「(ピッ)データ照合。当オブジェクト(ひな)は直前までレジ周辺のパケットから除外されていました。文字数調整による間引きではなく、フィールドワークと称した単独行動を検知」
ひな: 「べ、別に、あんたたちの注文が心配でついてきたわけじゃないんだからねっ! 私はこの店舗の立地条件と、客単価に対する回転率のフィールドワークをしてただけよ! ほら、オレ、あんたどうせ昨日で破産して決済能力がブラックアウトしてるんでしょ! 今回だけ、私の投資用ポケットマネーから特別に『融資』してあげなくもないんだから、感謝しなさいよねっ!!」
店員さん: 「(ニコニコ)では、お会計ご一緒でよろしいですか?」
さき: 「ひなちゃんが完全にパーティーを経済面で支える貴重な『ゴールド(資金源)』枠じゃんーーー!圧倒的感謝の極みだし神決済すぎて全オタクが泣いたわーーー!!」
【カットアウト:1個前の席に避難した周囲の客】
客A: 「おい、あの4人、レジで『顔面国宝』とか『タロットカードの審判』とか叫んでるぞ……」
客B: 「店員さん、あんな限界オタクの怒涛の早口注文を笑顔で完璧に処理してる……プロすぎる……」
客A: 「あ、なんか後から『投資用ポケットマネーから融資する』とか言ってる小さいツンデレ社長が合流したぞ。あの5人組、注文しただけで世界救ったみたいな顔して隣の受け取りカウンターに移動していったわ。関わらないように、今のうちに一気飲みして店出よう……」
(JASRACの監視コードをすり抜ける、文字数消費のためだけに生成されたカオスの余韻を残しながら、暗転)
(第98話・完)
第98話をお読みいただきありがとうございました!
スタバの注文(ベンティ・アーモンドミルク・チョコソース・エクストラホイップ)を完全に「育成アイテムのバフ盛り」として処理するさきと、それをただの「油性ペンのメモ」と切り捨てる相棒のシステム処理の温度差を楽しんでいただけたら幸いです。
ひなちゃんの神融資がなければ、オレのエンタメ人生はここでゲームオーバーになるところでした。
さて、次回はついに大台手前の第99話!
注文を終えた5人が「受け取りカウンター」という名の新たなステージで、無事にフラペチーノ(生命の聖水)を受領できるのか!?
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