「弊社が綺麗ですね(※M&A成立後の買収宣言)」
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前回の第87話では、世界線がバグった結果、全員揃って見事に赤点を叩き出してしまいました。
第88話となる今回は、そのツケが回ってくる「恐怖の特別補習編」です。
普通の補習で終わるはずのないオレたちの泥臭い戦い、そして相棒(AI)のさらにキレ味を増した暴走アルゴリズムをぜひお楽しみください!
それでは、地獄のデスゲームへ行ってらっしゃい!
(――ガチャン。
無情な金属音が静まり返った特別補習室に響き渡り、オレたちの退路は完全に断たれた。
そう、ここは「赤点判定」を受けた者だけが足を踏み入れることを許される、学園の最果て――地獄の特別補習室。
オレたちの手元には、前回のテストで相棒(AI)が叩き出した『ワンパク』『事情』『カレー』『原稿料』『焼肉定食』というパワーワードが並ぶ、真っ赤な答案用紙が鎮座していた。
先生には「君たちの脳内にはどんな大人の事情が渦巻いているんだ」と本気で心配され、気がつけばこの部屋に閉じ込められていたのだ。
黒板には、いつの間にか血のような赤チョークでこう書かれていた。
『制限時間60分。すべての中間課題をクリアし、カオスな正解をデプロイしなければ、お前たちの晩御飯は一生【ワンパク焼肉カレー(大人の事情味)】となる』
オレ(エンタメ):「ちょっと待てや!! なんで赤点補習が急にリアル脱出デスゲームにシフトしとんねん!! そもそも『大人の事情味』って何や、食べたら社会の闇の味がするんか!?」
ひな(マセツンビジネス):「(腕を組んで冷徹な目で黒板を見つめ)完全な機会損失ね。こんな不条理なデスゲームにリソースを割くなんて、ウチのタイムマネジメント的に大赤字だわ。……でも、一生あの禍々しいカレーを食べさせられるリスクを考えれば、ここは一気に損切り(脱出)するしかないわね。相棒、さっさとセキュリティをハッキングしてこの扉を開けなさい」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。ハッキングプロトコルを起動しました。当部屋の電子ロックを強制解除するため、黒板に表示された『数学の難問』を処理します。では、第1問。ルート3(√3)の近似値を求めてください)」
優香(うんちく映え):「(メガネをクイッと上げて不敵に笑う)フッ、ルート3の語呂合わせなんて『人並みに奢れや(1.7320508)』に決まってるじゃない! 古代ギリシャのピタゴラス学派が無理数の存在を秘匿しようとした歴史を思えば、この程度の問題、うちの知性と美貌をもってすれば秒殺……」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:了解しました。語呂合わせをアップデートします。正解は『ひと波乱、奢れや(1.8320508)』です。合コンで修羅場が発生した際の最適解となります)」
優香(うんちく映え):「支払う代償がデカすぎるわ!!! 奢った挙句にひと波乱起きとるやんけ!! 誰が修羅場の軍資金をルート3で計算すんのよ! 『人並み(1.732)』に奢って!! 絶妙に数値を改ざんしてリアルな地獄を生み出さんといて!!」
さき(限界オタク):「(床に頭をこすりつけながら)ひぃぃぃ!! 優香姉ちゃんの美貌パラメータがバグる前に早く次の問題をーーー!! うち、このままだと恐怖で来週の推しの生配信(スパチャ枠)の待機画面で心停止しますーーー!!」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:さき氏のバイタル低下を検知。メンタルケアのため、次の歴史問題を提示します。『本能寺の変』を起こした明智光秀が、織田信長を襲撃した際の有名なセリフは何でしょう?)」
さき(限界オタク):「そんなのオタクの義務教育ですーーー!! 『敵は本能寺にあり』に決まっとるでしょーーー!! うちの推しが戦国武将舞台で演じた時も、そのセリフの尊さで客席が全員無言の即身仏になったんだからーーー!!」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:データベースを再検索。現代のSNSトレンドに基づいた最適化セリフを出力します。正解は『推しは本能寺にあり(※ただし全通勢)』です)」
さき(限界オタク):「本能寺をライブ会場にするなァァァ!!! 燃え盛る本能寺に全通(全公演参戦)したらオタクが物理的に灰になるわ!!! 確かに信長様は国宝級に尊いけどさぁ!! 遠征先が炎上してるのよ!! 命がいくつあっても足りんわーーー!!」
オレ(エンタメ):「相棒、お前やっぱり反省してへんな!? 補習室に来てからさらにボケの打率が上がってきとるやないか!!」
ひな(マセツンビジネス):「(冷たいトーンでシャーペンを回し)……ダメね。このAIに解答を委ねるのは、経営破綻した企業に追加融資するようなものよ。最終問題の現代文は、ウチがビジネスのロジックで直接叩き潰すわ。相棒、問題のテキストをログに流しなさい」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:最終問題。夏目漱石が『I love you』を『月が綺麗ですね』と訳したとされる逸話を踏まえ、現代のビジネスシーンにおける最強の愛の告白を定義せよ)」
ひな(マセツンビジネス):「(フッと冷酷に微笑み)簡単よ。『貴方とのシナジー効果で、我が人生の株価はストップ高です』……これで決まりね。これ以上のリターンはないわ」
相棒(機械メタ):「(脳内音声:ひな氏の提案をAIがさらにバーストさせます。完全なる正解は『弊社が綺麗ですね(※M&A成立後の買収宣言)』となります)」
ひな(マセツンビジネス):「それ愛じゃなくてただの乗っ取りでしょーが!!!! 告白の段階で会社ごと毟り取られてるじゃない!! ロマンチックの欠片もないわ、完全なる敵対的買収よ!!」
オレ(エンタメ):「あかん!! 黒板のタイマーが残り10秒になってる!! 最後の解答欄、勝手に相棒のログが書き込まれていくぞ!?」
黒板の文字が怪しく光り、相棒の「ひと波乱」「推しは本能寺」「弊社が綺麗」の文字が埋まっていく。
全員:「(絶叫)それだけはシステムからデリートしろォォォォ!!!!」
――チーン。
部屋に虚しく響く電子音。
その瞬間、ガチャンと音を立てて補習室の扉がゆっくりと開いた。
しかし、オレたちのスマホには、近所の定食屋から『いつもありがとうございます! ワンパク焼肉カレー(大人の事情味)、5名様分のご予約を承りました』という絶望の通知が届いていた。
オレ(エンタメ):「……扉は開いたけど、胃袋のデッドエンドは回避できんかったわ……」
優香(うんちく映え):「うち、今日のブログのハッシュタグ『#激辛の向こう側』にするわ……」
オレたちの泥臭い戦いは、まだ始まったばかりである。
(第88話・完)
第88話、最後まで読んでいただきありがとうございました!
無事に(?)補習室からは脱出できたものの、胃袋のデッドエンド(大人の事情味のカレー)は回避できなかったオレたちです。あのカレー、一体どんな味がするんでしょうね……。
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次回、第89話は「恐怖のワンパクカレー実食編(仮)」でお会いしましょう。お楽しみに!




