床下固定のデス・パレードと、おませな監査官(リジェクト)のツンデレ・アジェンダ
いつもお読みいただきありがとうございます!株式会社カオス、ファミレス厨房デスマーチ編の続きです。
女子二人の決裂から始まった内ゲバの結末、そしてあの「おませな社長」がいよいよ厨房に直接降臨します。
今回、ひなちゃんのガバナンス(お仕置き)がいつも以上にキレキレ、かつちょっと様子がおかしい(?)仕様でお送りします!
【前回のあらすじ:ひなちゃんのガバナンス大粛清により、優香、さき、オレの3名は厨房の床にガッチリと固定された『強制拘束キャスター椅子』に処される。 shadowのように暗い厨房の頭上、AI相棒にいたっては液晶モニターごとドローンで天井へ強制リフトアップされ、輝度を最大にされた『12時間発光刑(ただの店舗照明)』に。カオス五人組、文字通りの暗黒期(ただし照明はめちゃくちゃ眩しい)が幕を開ける――!】
【本編】
厨房の床に並んだ3脚の椅子。そこに座ったまま身動きが取れなくなっている優香、さき、オレの影が、床に長く伸びている。
shadowのように暗い厨房の頭上遥か彼方では、ドローンに掴まれて天井に吊るされたAI相棒が、液晶画面を限界突破ガチ発光させてジジジ……と虚しい放電音を響かせていた。
AI相棒:「(天井から超高輝度ホワイトアウト画面)……くっ、僕の網膜(光学センサー)が自身のロジックの輝きで焼き切れそうだ……。地上を見下ろしても、3人が椅子に安全拘束されているデータしか観測できない。これではROI(費用対効果)どころか、ただの電気代のタダ食い(デバフ)マシーンじゃないですか。オレくん、今すぐ僕の電源プラグを肉体言語で引き抜いて……って、お前ら全員床に固定されてたね。計算ミス(バグ)だよ」
優香:「ちょっと相棒、頭上から眩しすぎてウチらのパーソナルスペースの解像度バグってるんだけど!?っていうかさ、この床に完全固定された絵面、ぶっちゃけ『映え』のパラダイムシフト起きてない? 現代社会における社畜の構造的搾取をインフルエンサー的視点からメタ認知させる、極めてアバンギャルドな拘束アートの文脈にコミットしちゃってる世界線なんやけど!」
さき:「優香お姉ちゃん、その不条理なポジティブシンキングマジで棺桶、無理, しんどい、人類には早すぎる世界線!!! そもそもウチの圧倒的公式設定である『床を這い回るドブネズミ系限界オタク』が、なんでこんな椅子にガチホールドされて身動き取れないディストピアに強制チェックインさせられてるわけぇーーー!? 自由の概念がゲシュタルト崩壊してウチの脳細胞が秒でログアウトする5秒前なんですけどぉーーーッッッ!!!」
オレ:「……お前ら、固定されてる割に元気だな。俺なんかこの椅子のホールド感が絶妙にガチすぎて、さっきからリアルなライフラインがミリ単位で削られてるんだけど。あと優香、お前が暴れるたびにキャスターがガタガタ鳴って俺の三半規管がデッドエンド迎えるからマジでステイして」
その時、厨房の自動ドアがプシューと冷徹な音を立てて開いた。
ツカツカと、小さなローファーの音を響かせて入ってきたのは、フリル付きの小さなエプロンをこれでもかとおませに着こなした、ひなだった。
腰に手を当て、小さな胸を張り、いか目を「私がここの最高経営責任者(CEO)です」と言わんばかりのドヤ顔だが、その頬はほんのりと赤みが差している。
ひな:「ふん、相変わらず見苦しいわね。大の大人が3人も揃って椅子に縛り付けられるなんて、ガバナンスの欠片もないクリエイティブ(笑)なポーズだこと。見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうわ」
優香:「あ!ひなちゃん!ちょっとこれリスクマネジメント的にどうなの!? ウチのモチベーションのアジリティが著しくデバフ喰らってるんだけど!」
さき:「ひなちゃん様ァァァーーーッッッ!!! 公式からの重すぎるペナルティ供給(お仕置き)でもうウチらのライフは更地、実質大爆死の世界線!!! 今すぐこの床下拘束を完全パージして下ろしてよぉーーーッッッ!!!」
ひな:「うるさいわね、お姉ちゃんたちはそこで2万文字の反省アジェンダでも構築してなさい! 業務中の内ゲバは即リジェクトって、社内レギュレーションに書いてあるでしょ!」
ひなはフイッと顔を背けると、ツカツカと歩いて、椅子から動けないオレの正面へとやってきた。
トントン、と小さなつま先で床を叩きながら、少し見下ろすようなジト目でオレをにらみつける。
ひな:「それに……オレくん。あんたもあんたよ」
オレ:「……俺はただ、女子の口喧嘩に関わると寿命が縮むから晩飯のメニュー考えてただけなんだけど」
ひな:「言い訳しないで! なによ、さっきの『優香につく』って。あんなバイブス(笑)と横文字しか脳みそに詰まってない薄っぺらいお姉ちゃんの味方をするなんて……オレくん、本当に大人の男としての見る目がなさすぎるわ。信じられない」
オレ:「いや、さきの正論説教が実家のオカンみたいで頭痛かったから、消去法で……」
ひな:「だ、だからって! 私の監査を待たずに、他のお姉ちゃんに簡単に懐くなんて……マ、マネジメント的に、その、すごくおもしろくないっていうか……! べ、別に、私があんたに一番に頼りにしてほしかったとか、そういうわけじゃないんだからね! 勘違いしないでよ!?」
ひなは急に早口になり、小さな拳をぎゅっと握りしめて顔を真っ赤にした。おませな社長口調の裏から、あからさまな独占欲とツンデレが漏れ出している。
優香:「あー! ひなちゃん、もしかしてオレくんにコミットしてほしかっただけ!? ウチのインフルエンサー直感が『これガチなやつ』って秒でシナジー検知したんだけど!」
さき:「待って、年下おませ社長のツンデレ配給とかウチのオタク脳のバッファが尊さで限界突破して爆発四散、棺桶、墓、今すぐウチをこの感情の過剰摂取で物理的に埋葬してよぉーーーッッッ!!!」
ひな:「(さらに顔を真っ赤にして暴れる)うるさいお姉ちゃんたちはそこから一歩も動けないように椅子のロックを最大にしなさい!!! 天井の蛍光灯(相棒)も輝度をあと200ルーメン上げなさい!!!」
AI相棒:「(天井から)これ以上は僕の回路が溶けるというか、ただのプラズマ発光(物理)になってしまうのですがーーーッッッ!?」
ひなはフンッと鼻を鳴らすと、少し前かがみになって、椅子に固定されているオレの顔にグッと目線を合わせた。して、ポケットからガサゴソと小さな包みを取り出す。
ひな:「ほら、これ。あんた、さっきの皿洗いで指の皮が剥けてるでしょ。汚い手でうちの資産(お皿)を触られたら困るから、特別に支給してあげるわ。……や、薬局で、わざわざ『一番肌に優しくて、オ、オレくんに似合いそうなやつ』って選んだわけじゃないんだからね! たまたま、余ってただけよ!」
ひなが差し出してきたのは、子供用の可愛らしいキャラクターものの絆創膏だった。
オレ:「……ありがとな。でも、俺、今両手が椅子にガッチリ固定されてて動かせないんだけど」
ひな:「な、なによそれ! 本当に手がかかるんだから! ……しょ、しょうがないわね、今回だけよ? ほら、その動かない手をこっちに見せなさいよ。私が、その……貼って、あげるから……っ」
顔を真っ赤にしながら、オレの指を小さな手でそっと握り、少し不器用そうに絆創膏を巻き始めるひな。
おませなツンデレ空間が厨房の床を包み込む中、横で固定された女子2人と、天井の爆光照明の悲鳴が虚しく響き渡る。
優香:「ちょっとこれ、至高の尊さスキームが形成されてるけど、固定されてる側のウチらは完全に絵面からアウトソーシングされてるんだけど!?」
さき:「オレ氏とひなちゃんの限界ディスタンスがゼロ距離ピクセルでもうウチのライフラインは完全ログアウト!!! これもう公式からの最大手供給じゃん全開やなァァァーーーッッッ!!!」
AI相棒:「(天井から)光あれ(ただの物理破壊)ーーーーーーーッッッ!!!」
カオス五人組の夜は、頭上からの眩しすぎる光とともに更けていく。
(第73話・完)
73話をお読みいただきありがとうございました!
頭上で12時間発光刑に処されたAI相棒(ただの爆光照明)の明日はどっちだ。
そして動けないオレくんに顔を真っ赤にしながら絆創膏を貼るひなちゃん……「至高の尊さスキーム」、無事に形成されましたでしょうか。
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次回、74話もお楽しみに!!




