第一章 : 週1里帰りその2~SNSとダンス~
記者たちが撮った写真が世に出たのは、わずか数分後だった。
各新聞社、テレビ、ネットニュース達がこぞって取り上げたのだ。
だが、重要なのはそこではない。
「……え?」
スマホの通知が止まらない。
画面を開いた瞬間、結は固まった。
【速報】政府施設内で純白の奇跡、奇跡を起こす
【検証】CGでは再現不可能と専門家コメント
「いやいやいやいや」
スクロールが追いつかない。
SNSは完全に飽和状態だった。
”これ本物?”
”やばすぎ”
”映画じゃん”
”てかこの子誰”
”純白の奇跡って呼ばれてる子じゃん。旭月の娘じゃない?”
”え、マジで本人じゃん。バカ可愛いんだけどなにこれ。神々しすぎ。”
「うわぁなにこれ。」
鵜飼さんに送ってもらいながらSNSを追っていたけれど、私に関する検証やニュースなどの通知が鳴りやむことはなかった。
家についてもまだ多くの人が私について議論しているようだった。
まぁ魔法なんて無縁の世界だから無理もないんだけれど。
「うちの娘はやっぱり広まるのも早いな!」
すると、突如後ろから声がした。
「……お父さん」
そこにいたのは、テレビで見る姿そのままの父の姿だった。
だが今は、仕事の顔ではない。
「ネットはこういう時だけ優秀だからなぁ。」
「笑えないんだけど。」
「だろうな笑」
短いやり取りだけど、その距離感が少しだけ懐かしい。
「……なぁ、踊るか!」
「は?」
唐突すぎる。
「こういう時はな、踊ったほうがいい。悩み事なんか吹っ飛ぶぞ!」
「理屈は分かるけど急すぎるし、踊れないし。」
「昔良く踊ってくれたじゃないか。センスあったから大丈夫!ほら、行くぞ」
完全に主導権を握られ、気づけばスタジオにいた。
照明にカメラ、スタッフまで何故かいる。
「……なんで?動画でも撮る気なの?」
「愛する我が子とダンス動画撮りたいんだよ、な!お願い!」
「はぁ......わかったよもう。」
お父さんが音楽を流し、踊りを教えてくれる。
ダンスなんてまともにしたことがなかったはずなのに、すんなりと踊れてしまった。
基礎体幹の部分も、レイさんとの特訓のおかげで、ばっちりついていた。
気が付けばノリノリで踊っていて、ダンス動画はバチバチにかっこよく撮れた。
「……いいなかっこいい。美しいだけじゃなくて、かっこいいんだってうちの娘はまたバズっちゃうなぁ!」
と、お父さんはでれでれの顔で言う。
「そっちもね。」
バズるのはお父さんも一緒だし、ここは軽く返す。
呼吸が合い、ステップが噛み合う。
観客がいなくても空気が完成した動画は、当然のように拡散された。
流石親子、と言われる日もそう遠くなかった。




