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私は悪を犯す、故に、世界は救われる  作者: 神月佑奈
第一章

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第一章 : 感覚共有

「はい、じゃあ今日はノクスと共有の練習ね!」


レイさんの軽い声が、森の開けた場所に響く。


夜のうちに雨でも降ったのか、朝露の残る草地で、空気は少し冷たい。

集中するにはちょうどいい時間帯だ。


「共有……ですか?」


「そ!結ちゃんの魔力をノクスに流すだけじゃなくて、感覚も繋ぐの」


なにそれ……難しそう。


足元を見ると、ノクスがこちらを見上げていた。


『簡単にできるぞ』


「え?」


『大丈夫だ』


相変わらず言葉が短いんだから。


でも、その一言が妙に安心できるのは優しさが見えているからだろうか。


「どうやればいいんですか?」


そう聞くと、レイさんは、簡単だよ!と教えてくれる。


「魔力は常に共有している状態にあると思うんだけど、それを、意識がたどるだけ!」


意識がたどるとは......?


『魔力の流れを意識するんだ。いつも以上にな。』


なるほど、それならできそうだ。


「じゃあ、やってみます。」


しゃがんで、ノクスに手を伸ばし、黒い毛並みに触れる。


そのまま、意識を集中させ、体の奥に流れている魔力を、そっとノクスへ流す。


その魔力の流れを強く意識する。


「……っ」


一瞬、視界がぶれたと思った次の瞬間。


「……え?」


突然景色が変わった。


身長が縮んだ?


いや、違う。


「これ……」


『俺の視界だ』


ノクスの声がする。


同時に、風の匂い、土の湿り気、遠くの気配が鮮明に流れ込んでくる。


人間の感覚とはまるで違う。


「すご……」


思わず声が漏れる。


「お、できてるねぇ!上手上手!」


視界には居ないが、レイさんが楽しそうに言う。


「最初からこれは優秀だなぁ♪」


「でも、ちょっと……酔いそうです……」


そう言っても、レイさんはなにも反応しない。


「あれ?レイさん?」


そう言うと、ノクスが反応する。


『この間はお前の声は俺にしか聞こえないんだ。あくまで意識を共有しているだけだからな。』


「なるほど......この間は私の体はどうなって?」


そう言うと、ノクスが方向転換し、レイさんが見えるようにしてくれた。


そこには、目をつぶっている私をお姫様抱っこしているレイさんがいた。


『あぁなるんだ。まぁ...仮死状態みたいなもんだよ。』


なるほど、そうなるのか。


私は何となく酔いそうだったので、意識を手放した。


すると、ふと目を開けたときには目の前にレイさんが居た。


「あ!お帰りぃ!」


「ふぅ......ただいまです。なんか、酔いそうでした。」


「それは慣れ!」


軽いなぁほんとに。


まぁ、それがレイさんか。


『無理に深く繋ぐな』


ノクスの声が静かに響く。


『浅くでいい』


「……うん。ありがとう。」


練習すれば上手く出来るようになるかもしれない。


「これができれば、偵察とかも容易にできるようになるんだ。」


心臓が少し強く打つ。


偵察、ということは戦闘......。


まだ実感はないけど、本当に戦争の世界なんだな。





「……疲れたぁ……」


小屋に戻って、私はそのまま床に倒れ込んだ。


「お疲れ~」


レイさんはいつも通り軽い。


体は重いけど、不思議と嫌な疲れじゃない。


すると、ノクスが胸の上に乗ってきた。


「うわ、ちょっと……重い……」


『軽い方だ』


「絶対嘘でしょ……」


でも、不思議とどかそうとは思わない。


むしろ、あったかくて疲れた体に染みる。


猫飼ってる人たちってこんな感覚なのか。


そっと撫でると、さらさらの毛並みで触り心地がいい。


「……ノクスってさ」


『なんだ』


「初めてあった気がしないんだよね。」


少しだけ気になっていたことを聞く。


ノクスは少しビクッとした後、数秒程沈黙になる。


それから。


『......初めてだよ。俺と会ったのは。』


「……え?」


『そもそも、お前の世界に俺はいけないんだぞ。』


「まぁ、それはそっか。」


『ああ』


即答されるけれど、ちょっと複雑な感情になる。


嘘をつかれている気はしないけれど、何かを隠されているように感じる。


「……そっか。」


その違和感は、考えても分かることはなかった。

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