フュージエクスプレス81便 フュージ山五合目〜王城前
2024年9月25日にカクヨムで公開したものです。
今年は三連休が二回で、シルバーウィークと呼べるような大型連休は無い。
しかし、有給休暇を使って平日を四日休みにすれば、なんと十連休にすることができる。
日本とは違ってこの異世界では、かなり多くの人や仕事を休んでいるらしい。
標高の高い山ではもうすぐ登山シーズンも終わりを迎えるため、山の中腹にある高速バスの発着所には長い列が伸びていた。
「お待たせしました、81便の王城前行きです」
はやては一度バスを降りて、お客さんのチケット確認と荷物の積み込みを行う。
「では、チケット拝見しますね。……はい、おおきに。ではそちらのリュックの方お預かりします」
登山用具が入っているのだろう、大きなリュックをよいしょっと持ち上げて、荷室に収納する。
「お次のお客様、どうぞ」
そしてまた、同じ作業を繰り返す。
何度も何度も、繰り返す。
結果、乗客四十人分の荷物を積み込んだ頃には、すっかり息が上がってしまった。
「はぁ、はぁ……。なんでこんなに苦しいんや……。普段なら全然平気やのに……。歳取ったんかな……」
深呼吸をしてみても、なかなか息が整わない。
ウチの身体は、一体どないなってしまったんやろか?
運転席に戻りながら考えて、そこでふと気付く。
せや、ここめっちゃ標高が高いんやった!
酸素が薄いから苦しかったんや!
納得。身体が衰えていたわけではなくて安心したわ。
「発車時刻となりましたので、扉を閉めさせて頂きます。シートベルトのご着用をお願いします」
理由が分かってすっきりとしたはやては、清々しい表情でバスを発進させた。




