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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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異08系統 サッパビア温泉〜トラヴィトン渓谷〜タルリナ樹海〜王都北門

2023年2月1日にカクヨムで公開したものです。

 バスって変なタイミングでダイヤ改正する時ありますよね? なんで1月30日から変えるんでしょう? 電車と一緒で3月とかで良くないですか?

 あっ、愚痴ってすみません。(私は誰に謝っている?)


 運行予定表と腕時計を確認し、そろそろ時間かなとエンジンをかける。

 発車時刻の五分前。バスを乗り場まで動かし、それから前扉を開けた。


「お待たせいたしました。異08系統、王都北門行きです」


 待っているお客さんに向けて、車外放送スピーカーで呼びかける。


『ピンポンパーン。大変お待たせ致しました。このバスは異08系統、タルリナ樹海経由王都北門行きです。発車までしばらくお待ち下さい』


 自動音声が流れる中、早速四人組の集団が乗り込んできた。

 勇者っぽい男一人と美少女三人。なろう系ハーレムパーティー?

 まあこっちの世界に来てからはこういう客もちょくちょく乗せているので、特に気に留めることもない。


 しかし次の瞬間、私は耳を疑った。


『ピピッ』


 今の音……。ICカード!?

 物凄い勢いで振り向いた私に、勇者が首を傾げる。


「あれっ、これ使えなかったか?」


 彼が見せているのは、スマホに表示されたモバイルSuicaの画面。

 めちゃくちゃ久しぶりに見た。もはや懐かしいのレベル。


「ああっ、大丈夫です。使えますよ」


 笑顔を向けると、勇者もニコリと笑った。


「俺もまさか異世界でSuicaが使えるなんて思わなかった。残高3000円くらいあったから使い道が出来て良かったよ」


 どうやら彼も転生者らしい。

 もしかして探せばこの世界に日本人って意外といるのか?


「さすがは勇者様、支払い方法も美しいわ!」

「すまーとふぉんを完璧に使いこなす勇者様、素敵です!」

「是非とも私にも、使い方をご教授下さい!」


 後ろではしゃぐ取り巻き美少女三人も、続けて車内へ。

 とことこと勇者様を追いかけていくので、慌てて呼び止める。


「あの、お客さん。一人220ゴールド、お支払い頂けますか?」


 彼は自分の分しか払っていない。3000ゴールドあるなら払ってやればいいのに。


「わわっ、ごめんなさいっ! 私が三人分払うわ」


 戻ってきた正ヒロインっぽい子が、謝りながらきっちり660ゴールドを硬貨投入口に入れる。


「これでいい?」

「はい、大丈夫ですよ」


 頷きかけると、彼女は他の二人に先を越されまいと勇者様を追いかけた。


『発車致します。お掴まり下さい』


 発車時刻になったので扉を閉め、バスを発進させる。


『本日も埼京交通バスをご利用いただき、誠にありがとうございます。この車は、異08系統王都北門行きです。次はエンタール吊り橋南詰。お降りの方はブザーでお知らせ下さい』


 走り始めて間もなく、一番後ろの席で転生勇者と美少女三人がいちゃいちゃし始めるのがミラー越しに見えた。


「勇者様がドラゴンを倒す姿、とっても素敵だったわ!」

「最後の一太刀を振り下ろした瞬間、ときめいてしまいました!」

「人間に擬態して温泉に浸かっているドラゴンを見抜くなど、一体どんな技を用いたのです?」


 どうやら勇者はドラゴンを倒したようで、異常なほどに持て囃されている。


 転生者にはやっぱりチート能力があるものなのだろうか?

 だとしたら、なぜ私には何も無い。私だって転生者なんだが?

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