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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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82/202

異72系統 西タカスィマダーラ〜スギャ村〜ウォーティエ町〜メグ廊

2024年6月26日にカクヨムで公開したものです。

『次は西スギャ村。タイソー大学前でございます。ヨギマ五等級ダンジョン、ニサーラ井堰方面はお乗り換えです。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 先日、突然に国王選が始まった。

 現国王が退位するにあたり、次の国王となる人物を決めるのだという。


 ただ、出馬するための供託金は3億ゴールド。到底一般人に払える額ではない。


 そのため、現国王にいる三人の子供のうちの誰が良いかを決めるだけの、つまるところ出来レースになると思われていた。

 ところが。


「まさかあんな若い踊り子が出馬するとはなぁ。名前何つったっけ?」

「確か、えーっと。ああそうだ、スピカだスピカ。ふざけた名前だよな」


 優先席に座っていた高齢の男性二人の会話が静かな車内に響く。


 そう。この異世界でも絶大な人気を誇る天才アイドル天川《あまかわ》スピカが、好調な勢いそのままに国王選に立候補したのだ。


 意外すぎる人物の電撃参戦に、世間もメディアも大騒ぎ。

 しかし騒いでいたのはその意外性に対してだけで、誰しもが当選の可能性などゼロに等しい泡沫候補と見ていた。


 だがスピカは、そんな予想をあっさりと裏切った。

 第二王子であるオーブと、ライブに協賛してくれた商会という、強力な後ろ盾を用意していたのである。


 これによって、従来のファンである若者に加えて組織票も獲得できる見込みがつき、スピカの当選の可能性が一気に高まっていた。


「でもどうせ、次の国王はセト王女で決まりだろ?」

「いくら若者に人気があるっつっても、ザカリの信者には敵わないだろうよ」



 バスの前面下部(ヘッドライトの間)には、投票日を知らせる幕が掲げられている。


【メー王国次期国王選挙 投票日7月7日】


 この国の行方を左右する決戦まで、あと二週間。

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