表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/174

異27系統 ニサーラ井堰〜クォーホック陸橋下〜ツヴァキニ町〜アヴァカネ関所東口

2023年6月14日にカクヨムで公開したものです。

『次はキャミヌマータダンジョン入口。お互い様の国づくり、孤立解消大作戦実施中。ご近所で気がかりな高齢者にお気付きなら、お近くの騎士団詰所へご連絡ください。皆様のちょっとした気遣いが、国民の絆を強めます。王国騎士団でした』


 普段よりもお客さんは多いのにやけに静かな車内に、ウィーンウィーンというワイパーの音と屋根に打ち付ける雨の音だけが響く。

 毎日の雨とジメジメした空気に、乗客全員の心までどんよりとしてしまっているようだ。


 そしてそれは、運転手である私とて例外ではない。


 何か気分が乗らないし、体が重いし、気圧のせいで頭も痛いし。

 けれど雨の日の運転はいつも以上に気を付けることも多くて。


 交差点の手前で一時停止。左右を確認。


 お客さんの命を預かっているのだから、しっかりしないと。

 気を引き締めてハンドルを握り直し、ゆっくりとアクセルを踏む。


『次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 降車ボタンが押された。

 次のバス停はこの交差点を越えてすぐの場所にある。


 アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルに踏み替える。

 なるべく揺れないよう徐々に減速して停車。


「ご乗車ありがとうございました」


 後扉を開けると、吊り革に掴まって立っていた男性一人と後方の二人掛け座席に座っていた女性二人がバスを降りた。

 他に降車する人はいなさそうなので、アナウンスしつつ扉を閉める。


「発車します」


『発車致します。お掴まり下さい。次はツヴァキニ町。スリジエ医院はウェネドス灯油店脇の道を入り徒歩3分。1つ目の交差点にございます。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 次の停留所でも、数人がバスを降りる。


「発車します」

『次はシカーマスアン町交差点。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 その次の停留所でも、また一人がバスを降りた。


 そうして、段々と車内が閑散としてきたバスは終点へと辿り着く。

 この辺りは雨が降っておらず、雲の隙間から微かに陽が射し込んでいる。


『ご乗車ありがとうございました。次は終点、アヴァカネ関所東口。お忘れ物ございませんようご注意下さい』


「ありがとうございました。終点アヴァカネ関所です」


 降車場に停めて、前後の扉を開ける。


 その後、お客さん全員が降車するのを見届けて扉を閉めると、(本来は乗合馬車用の)待機スペースにバスを移動させた。


「さてと、忘れ物は無いかなぁ……?」


 一旦エンジンを切った私は、運転席から立ち上がって車内点検を開始。


 前方の優先席や一人掛け座席には何も無し。

 続けてステップを上って後方の二人掛け座席へ。


「あっ」


 そこであるものを見つける。


「また傘だ」


 バスや電車における忘れ物ランキング上位常連。傘。


「今は降ってないし、多分戻ってこないだろうなぁ……」


 雨が止んでいると、傘を忘れたことに気付くのは難しい。すぐに気付いて取りに来てくれれば良いが、このバスはすぐに折り返してしまう。

 恐らくはこのまま営業所に持って帰って、保管することになるだろう。



 皆さん、雨の日はくれぐれも傘を置き忘れることのないようにお願いしますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ