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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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異15系統 王都北門〜ロースティア五街区〜ワドクリフ一街区〜王都西門

2023年3月22日にカクヨムで公開したものです。

「ねえ聞いて。今日のお昼頃にね、小さい女の子とその母親を乗せたんだけど」


 仕事を終えて営業所に戻った私は、同僚の遠町とおまちはやてと人見ひとみこころに話しかける。


 これは今日の日中に王都の中心地を走る路線を担当していた時のこと。



「大人一人と子供一人で」


 五、六歳くらいの小さな女の子を連れた母親が、まとめて330ゴールドを運賃箱に入れる。


「ほら、奥の座席まで行って」

「うんっ!」


 支払いを終えたお母さんに言われて、女の子がトコトコと車内後方の二人掛け座席へと駆けていく。

 二人が着席したのを確認して、バスを発車させる。


『次はデオガルド商会前。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう』


 私が車内放送の操作ボックスのボタンを押すと、次の停留所を案内する自動音声が流れる。


 すると、小さな女の子がびっくりした声を上げた。


「ねえママ、精霊さんがおしゃべりした!」


 精霊さん?

 何のことだろうとハンドルを握りながら首を傾げる。


「精霊さんの声、初めて聞いた!」


 すごいすごいと喜んでいる小さな女の子に、母親が言う。


「レーナちゃん。今のは精霊さんが喋ったんじゃなくて、人間の声を魔法で保存したものだよ」

「えっ、そうなの? 精霊さんがおしゃべりしたんじゃないの?」

「うん、違うよ」


 なるほど。あの女の子は自動音声を精霊の声だと勘違いした訳か。

 正確には魔法ではないけれど、事実を知った小さな女の子はミラー越しでも分かるくらいがっくしと肩を落としていた。



「ってことがあったんだ」


 私がエピソードを話し終えると、こころが微笑みながら言った。


「可愛い勘違いなのです」


 続けてはやてが口を開く。


「あっ、そういう勘違いならウチも昔してたで。バスで流れる『毎度堺アーバンバスをご利用いただきまして誠にありがとうございます』の『毎度』を『ありがとう』の『まいど!』やと思い込んでてな。えらいノリ軽いし、何で二回も感謝しとんのやろってずっと思ってたんや。で、それを友達に言ったら大笑いされてしもて。あん時はめっちゃ恥ずかしかったわ」


 笑いながら思い出話をするはやてに、私はふと問いかける。


「それ、いつ頃の話?」

「えっ? 高校生の時やけど?」


 それは昔じゃない、つい最近だよ……。しかもなぜその歳になるまで気が付かない。


 あまりにもバカすぎる同僚に、私とこころは呆れてため息をついた。

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