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貴方の運命、占ってもいいですか?

この話は本編の第三章・第八十一話読了後に読むことをお勧めします。

(いや~まさか依頼で他国に出向く日が来るとはなぁ)


現在から数カ月前、アランは学園で依頼を受けてリフレイム皇国の皇都に来ていた。

今回の依頼はとある犯罪組織を鎮圧するというものだ。

組織の規模としてはそこまで大きくないものの、近頃リフレイム皇国の各地で魔導器や魔法書の模造品を作り、違法な商売をしているらしい。さらにここ数日で皇都にその犯罪組織が入ってきたという情報が上がったためアランに話が回ってきた。

このくらいリフレイム皇国の警備隊や聖装士が解決すれば良いだろうとアランは強く思ったが、既に何名かの警備隊員が殺害されているらしい。

そのため高い危険度があると評価されている。アランにこの犯罪組織の鎮圧が任されたのはこのためだ。


厄介なことに、この犯罪組織についての情報が少ない。依頼を受ける際になるべく情報は貰ったが、相手側が隠れるのが上手いのか、あまり有用な情報がない。アランとしてはこの上なく面倒だ話だ。


「はぁ……せめて拠点突き止めてから依頼回せよ。なんで一から百まで個人が解決しないといけないんだ。こっちはただの学生だってのに」


噴水の周りに設置されたベンチの一つに座り、ため息を吐く。


──まったく面倒な肩書きを受けたものだと思う。『世界最強の弟子として相応しい聖裝士になりたい』という一心で必死に強くなったが、まさか自分がエルデカ王国トップ5に位置する実力者に至っていたとは思わなかった。

最初はその実績から『少しは師匠に相応しい弟子に近づいてる』という実感を得て喜べていたが、今となっては面倒でしかない。


この立場になってからあちこちから依頼が来るようになった。俺がただの学生とは言え、真っ当に考えればエルデカ王国トップ5の実力を持つ聖裝士を野放しにするはずがない。

各国、各地のお偉いさん達も俺という戦力を利用したいと考えるだろう。むしろ本当なら俺を学園などに通わせず、身近な所に置いて自身の安全や権威、武力、政策のために利用したいと考えるのが普通だ。

なにせ俺は『経歴上』は平民出身。グレイやアリシアたちのように家柄や役職という立場的拘束力が存在しない分、人材として扱いやすいのは間違いない。

もちろんふざけた要求が来た時には盛大に跳ね除けてやるが。


「ただ学園生活楽しみたいだけなのに……どうすりゃマシになるかなぁ」


などとアランが呟いた瞬間だった。


「ほうほう、自分の将来に悩みアリと。それはいけません。せっかくの貴重な少年時代、明るく元気に生きなければ損というもの!ですので私が貴方の運命を占って差し上げましょう」


「……は?」


顔を上げる。すると目の前に妙な格好をした女が立っていた。

フード付きのローブを着て体の大部分を隠している。顔もあまり見えなかった。


「えっと……もしかして俺に言ってます?」


「この距離で貴方以外の誰に語りかけるというのですか!私のこと馬鹿にしてます?」


「いや馬鹿にする以前に外見が怪しすぎるでしょ」


遂には見知らぬ人物、それもとびっきりの変人に絡まれてしまった。唐突に現れたおかしな女に流石のアランも困惑せずにいられない。


「それより……運命を占う、でしたっけ。もしかして貴方、占い師とかですか?」


「その通りです。私は占い屋『占い屋』を経営している占い師です」


「へぇ……そうですか」


(なんで二回も占い屋って言ったんだ?)


「ちなみに『占い屋』は店のジャンルではなく店名です」


「……最近の占い師は読心術まで使えるのか」


「よく言われる質問ですので」


だとすれば随分と特殊なネーミングセンスをしていると思ったが口にはしなかった。


「どうしますか?運命、占っていきませんか?」


「占うってどこで」


「私の店です。この近くの路地裏にあります。今は暇だったので出てきましたけど」


「店主がそれで良いのかよ」


店主としてあるまじき態度である。


「はぁ……別に占いに興味はないので。他の人を当たってください」


「そう仰らないでください。ここで占っておけば良い情報が知れますよ?今回は初回ですからねぇ特別に半額でなんでも提供いたしましょう。なので再度検討していただけませんか?アラン・アートノルト?」


「そう言われても……いや、え?」


当たり前のように女が自分の名前を出してきたので、アランは一瞬遅れて反応した。


「なんで俺の名前を……」


アランは聖装士としては有名だが、それ以外はただの学生だ。名が知れ渡っているのは一部の界隈だけであり、ただの一般人、ましてや占い師などが知っているはずがない。


「ただ物知りなだけですよ。大したものではありませんが、私の店に来ていただければ色々教えて差し上げることも出来ますよ?例えば貴方が今制圧を任されている犯罪組織の情報とか」


「…………」


占いに興味は無いが、この女がどんな事情を隠しているのか少し気になった。

別に今回の案件は急いで解決する必要はない。そもそも情報が無いので慌てたところでどうしようもない。

ならば少しくらい寄り道しても良いだろう。


「……分かった。アンタの店に行こう」



***



数分歩いてアランは占い屋に到着した。

店内はあまり広くなかった。十人も入れば満杯になってしまうだろう。

青を基調とした内装、天井から布やカードが吊り下げられている。部屋の中には大机が置かれており、二つの椅子が向かい合うように置かれている。


「さぁさぁ、こちらに座ってください」


女は既に座っていた。言われた通りにアランも女の対面に座る。


「……んで、店に着いたわけだが、アンタは何をしてくれるんだ?」


「そうですねぇ。まずは改めて自己紹介しましょうか。先程もお伝えした通り、私はこの店の占い師です。そして副業として情報屋っぽい事をさせていただいております」


「あっさり言うんだな。普通なら情報屋なんて法律違反者として捕まるだろ。リスクとか考えないのか?」


情報屋は法律的に許される存在ではない。扱う情報の内容、情報入手の手段など、違反行為に該当する点はいくらでもある。アランがここで皇都の警備隊にこの占い師を告発すればすぐにでも彼女は捕まるはずだ。

だが女は一切焦る様子を見せなかった。


「アートノルトさんはそんな事をする(かた)ではないでしょう?」


女は正確にアランの性格を見抜いていた。

実際、アランは犯罪者を積極的に取り締まって突き出すような正義者ではない。目の前に法律違反者がいると分かっていても、自身の心身を害さない限り基本的には放置する。


「……あまり良い気分じゃないな。自分に関する情報が秘密裏に出回っているのは」


「ただの聖裝士ならこんな事にはなりません。貴方だからこそ、多くの情報屋が探りを入れているのですよ」


「つまり俺は情報屋(アンタら)にとって財宝のような存在ってことか」


「そういう事です。なのでここで貴方の情報を」


「やらねぇよ」


要求も待たずに断った。自分にメリットが欠片もない話に協力する理由は無い。


「そうですか……では仕方ありません。とてもとても残念ですが、本題に入るとしましょうか」


フードで顔は見えにくいが、本当に残念そうな表情をしている事はアランにも分かった。


「改めてご説明しましょう。私に出来ることは二つ。貴方の運命を占うこと。そして貴方の求める情報を与えること。ただし後者は貴方に対価を支払っていただく必要がありますがね」


「対価ってのは何だ?金か?」


「金銭、もしくは情報です。我々の業界では情報も立派な資産ですから。その場合、情報の等価交換になりますがね」


「なら金を払う。だから俺が求める情報を教えてくれ」


「いいでしょう。では何が聞きたいですか?ちなみにお金は前払いになりますのでご了承ください」


「……そうだな」


聞きたいことは決まっている。犯罪組織の拠点だ。

おそらく彼女は犯罪組織の拠点の場所も分かっている。だが直に拠点を聞いていいだろうか。

同じ情報でも、その価値は相手や状況によって変化する。高価値なものに高い金額が設定されるのは、商売では当然のことだ。


「ちなみに聞くが、俺が探してる犯罪組織の拠点の場所って把握してるか?」


「してますね。対価をお支払い頂ければ、教えることもできますよ?」


「ならその場合金額はどうなる」


「そうですねぇ……情報の価値を考えると、百万セルクといったところでしょうか」


「高っ!それって情報屋では普通なのか?」


「万単位の金額はザラにあります。ですが百万単位の金額になるのは、かなり高価値な情報だけです。まぁ今回は初回サービスということで半額にして差し上げますが、それでも五十万。高い買い物ですねぇ。捜査費用として依頼元に言えばある程度お金を出してもらえるかもしれませんが、これだけの金額を簡単に出せますでしょうか」


「流石に難しいだろうな……ってか、そこまで俺のことを把握してるのか」


「当然です。商売人たるもの、顧客の情報は常に把握していなければ」


「意識が高いようで何よりだよ」


この状況では『犯罪組織の拠点の場所』という情報は高い価値がある。女はその価値に見合う価格を設定したまでだ。

高価になることはアランは想定していたが、これは少々高すぎる。

依頼元から捜査費用を出させるにしても、この高額を出させるには依頼元への説明が不可欠だ。それではアランは自分が情報屋という違法な商売に頼ったことがバレてしまう。それで罪にかけられでもしたら面倒だ。


「……よし、決めた。占い師さんよ、近頃の皇都での違法商品……特に魔導器や魔法書の模造品の流通経路を教えてくれ」


「おやおや、随分妥協されましたね。()()()()の情報で良いのですか?」


「良いよ。少し手間はかかるが、これだけあれば数日で組織まで辿れる。組織のメンバーを捕らえてちょっどばかし尋問する必要があるがな」


「尋問とは、穏やかではないですねぇ。それこそ法律違反なのでは?少なくともリフレイム皇国やエルデカ王国では、過度な尋問行為は違法行為に該当するはずですが」


「バレなきゃ良いんだよ、バレなきゃな。それにアンタは今、『その程度の情報』と言ったな。つまりこの情報にはその程度の価値しかないってことだ。商売人ともあろう者が、まさか『その程度』の商品に高い値なんて付けないよな?」


「……ふふっ考えましたねぇ」


アランの考えは正しい。金額を下げるために、彼は敢えて価値の低い情報を買うことにした。

さらに女に『そんな情報』という商品の価値を低いものと決めつける発言を誘発させることで、情報の価値を下げた。


「いいでしょう。では半額割引き込みで、金額は四万セルクになります。これでもかなりサービスしてあげたんですよ?ありがたく思って頂きたいですねぇ」


「はいはい。感謝するよ」


そうして金額を払い、アランは占い師から欲しい情報を聞いた。






───そして約二十分後。


「……話せる情報はこのくらいですね。どうですか?満足していただけましたか?」


「知りたいことは十分知れたさ。まぁここからが本番なんだが……ったく、マジで面倒くせぇ」


「心中お察しします」


不満を顔に出すアランと哀れむ占い師。

何はともあれ、情報は手に入った。用が無くなったので、アランは退店するべく席を立つ。


「もう帰られるのですか?」


「そりゃ知りたいことは知れたし。これ以上居座る理由無いし。逆にまだ何かあるのか?」


「ありますよ。ありまくりですよ。この店の名前が何か覚えていらっしゃいますか?」


「占い屋……だよな」


やはり店名がジャンル名そのままであることは違和感しかない。


「そうです。この店は占い屋。そして私は占い師。人の運命を占うのが仕事です。故に私はお客様であるアートノルトさんの運命を占う義務があるのです!」


「いや義務では無いだろ」


「そういうわけですので、アートノルトさん。もう一度席についてください。貴方の運命を占って差し上げましょう」


「いや別にいらな──」


「まぁまぁ今回は特別に無料で行いますから。時間も取らせません」


「えぇ……なんでそこまで執着するんだ」


「正直に申しますと、私が貴方の運命に興味がある、というだけの話です。貴方は異端者にして暴虐者。矛盾した性格を(あわ)せ持つ異常者です。そんな人がどのような運命を辿るのか。占い師として、探求せずにはいられません!」


「なんだそりゃ……」


どうやら情報屋としてだけでなく、占い師としても意識が高いらしい。


「どうです?占いたくなってきましたか?」


「いや、別に……うーん」


アランは少し悩んだ。

女の言う通り、今は急いではいない。占いを受けるくらいの余裕はある。

無料なら何も気にすることはないはずだが、情報屋に何かを知られるというのが、やや怖い。

占い結果など情報屋としては何の役にも立たない事は分かっているのだが。


「……分かった。受けるよ、その占い」


最終的に了承し、アランは再び椅子に座った。


「では早速占いを始めましょう。今回はカード占いです。私、カード占いが好きなんですよね〜」


近くに置かれた棚からカードを取り出すと、女は机上にカードをシャッフルして並べた。


「一枚、好きなカードをめくってください。カードの上下も含めて占うので、上下は変えないようにしてくださいね」


「はいよ」


言われた通り、アランは適当にカードをめくった。

カードには絵柄が描かれている。アランには絵柄の意味は何も分からなかったが、女はそれを見て暫く考えていた。


「ふむふむ。なるほどなるほどぉ。これは面白いですね〜」


「なんだよ。そんな変な結果だったのか」


尋ねたアランに女は結果を答える。


「結果から言いますと、アートノルトさんは『近い内に自分の過去を尋ねられる』でしょう」


「尋ねられる?どういう状況だよ」


「そこはアートノルトさんが自由に想像してください」


女はニコニコしながら答えるだけだった。


そうしてアランは女と別れた。ここで得た情報によって順調に捜査を進めるのだった。




***




そして、数日後。


「な、なんだお前!なんなんだよ!?」


薄暗い部屋に響く絶叫。床には尻もちをついている中年の男がいた。

男の顔は恐怖に染まっている。彼の目の前には、返り血を大量に浴びている少年が無表情で立っていた。


「さっきも言っただろ。お前たち犯罪組織を制圧するよう依頼を受けた者だ」


呆れ気味に答えるアラン・アートノルト。持っている剣をその場で振り、刃に付いた血を払い落とす。


「はぁ……いけないな。数が多かっただけに汚れ過ぎた。あとで洗うのが面倒だぞ……これ」


呑気に今後の心配をするアラン。この時、彼の足元には何人もの死体が転がっていた。

上半身と下半身を分断された者、首を切断された者、心臓を撃ち抜かれた者、頭部から胸部まで縦一直線に切り裂かれた者など。

物言わぬ骸と化したソレらは、ただ血を流しながら床に這いつくばっている。


「おっと、それよりお前を捕まえないといけないんだった。お前がこの組織のトップなんだろ?」


「し、知らない!俺は──ゔッ!」


真実を吐けば自分も殺されると思ったのだろう。虚言を吐こうとした男をアランは容赦なく蹴り飛ばした。


「そういう嘘は求めてないんだよ。俺はお前がトップであることを確認してるんだ」


男の顔面を踏みつけ、アランは脅しをかける。ここまでされて、虚言を吐く度胸は男には無かった。


「そう、です……俺が、この組織のトップ、です……」


「おーそうかそうか。一応本人から確認取っとかないと後々面倒だからな。話してくれて助かる」


アランは笑った。返り血の付いた顔で、口端を上げて笑みを浮かべる。

男にはそれが人ならざる者の顔に見えた。陳腐な表現をするなら、悪魔という表現がもっとも適している。

その時。


「ボス!無事ですか!?」


廊下から足音が聞こえた。直後に誰かがこの部屋に入ってくる。

五人の男たちだ。犯罪組織の一員だろう。彼らは室内の惨状を見た瞬間、表情を強張らせた。


「なんだ、まだいたのか。潰しても潰しても湧いてくるな……まるで害虫だ」


再びアランの顔が無表情に染まる。新たに現れた男たちはその様に恐怖しながらも、アランを殺そうと武器を構え、魔法を発動しようとした。

だが、


「ど、どうなってやがる!?魔法が使えな──」


「そりゃ俺が無効化してんだから使えるわけねぇよ」


一人目。言い終わるより早く、男の喉に剣を差した。そのまま横に振り抜き、男の首を切り開く。

切られた男はその場に倒れた。数分後には死ぬだろう。


「……え…?」


男たちは驚愕から硬直していた。

彼らも犯罪組織の一員だ。暴力は何度も行なってきた。それこそ人の死体を見たことも、人を殺したことも多々ある。

だからこそ驚愕してしまったのだ。

二十歳にも満たないような少年が、まるで息をするかのように、あっさりと人の命を奪ったことに。


「ぎ、がァ…ゥ゙…ッ!」


二人目。硬直している間に、腰の右側から左肩にかけて、内臓や骨もろともアランに深く切りつけられた。負傷で怯んだ瞬間にアランは男の腹を蹴り飛ばす。男は力無く倒れ込んだ。こちらもすぐに死ぬだろう。


「ひ、ひィ……!」


三人目。怯えた男が逃げ出そうとした。だがアランは剣を投擲し、男の頭部を串刺しにする。

すぐに男は倒れ込んだ。その時には死んでいた。


「う、あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!」


四人目。ヤケになった男がナイフを手に背後からアランに突撃した。

アランは後ろに回し蹴りを放つ。放った蹴りはピンポイントにナイフを持っている男の手に当たった。

衝撃で男の手からナイフが離れる。痛みから男は蹴られた手を抑えている。隙だらけだ。


「《灼熱砲火(ニトロバスター)》」


アランの周囲から熱線が複数放たれる。男は抵抗する間もなく熱線に当たった。

右腕が焼け落ちた。心臓に穴が空いた。右の横腹が大きく抉れた。頭部が丸ごと消し飛ばされた。

立ち尽くす死体を、アランは邪魔そうに腕で祓いのける。死体は壁に叩きつけられて動かなくなった。


「あとは、お前か」


最後の一人は放心して動けなくなっていた。アランが近付いてもなお、何一つ抵抗する様子を見せない。


「哀れだな。こんな犯罪に手を染めなければ、命を散らさずに済んだものを」


先程弾いたナイフを拾い上げる。それを男の頭に突き刺した。最後まで何もすることなく、男は静かに死んだ。


「よし。邪魔は入ったが今度こそ終わり……だよな?まぁいいか」


アランは改めて組織のトップである男に向き直る。

男の絶望はさらに深化していた。目の前で部下が無惨に殺されてしまったことで、完全に反抗する気力が失せてしまった。


「怯えなくても殺しはしないさ。組織のトップだけは、捕らえて連れて帰れっていう依頼だからな。逆に他はどうでもいいから、殺させてもらったが」


「お、お前……」


怯えながらも、男は声を絞り出した。


「今まで……どれだけ、殺したんだ……」


「……驚いた。まだ口を開く気力が残ってたか」


アランは無表情で男に近づき、男の顔面を鷲掴みする。


「《麻痺電流(ショックボルト)》」


男の体に電流が走る。感電した男は一瞬で気を失った。


「悪いが答える義理は無い。聞きたいことがあるなら、皇国の警備隊と話してくれ」


アランは立ち上がり、改めて自分の姿を見る。


「うわ……汚な」


服が血だらけだ。こんな服で外に出たら真っ先に警備隊に捕まる。拠点を出る前に着替えなければならない。

そんなことを考えていると、あることを思い出す。


───結果から言いますと、アートノルトさんは『近い内に自分の過去を尋ねられる』でしょう


占い師が言っていた通り、確かに過去の殺害人数を聞かれた。占いなんて信じていなかったが、案外デタラメというわけでも無いらしい。

気絶した男の襟首を掴み、男を引きずりながらアランは拠点の外を目指して歩いた。

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