僕の紫目のリルネット
ドキドキ図書室デートから、一週間程が経過した
あれから、ネイクはルシファスをだしに使う為に暫く泳がせていた……。
ネイクはフーッと溜め息をついた、
が……そろそろ消そうか考えていたのであった。
この1週間、毎日毎日飽きもせず、ルシファスはリルネットに、嫌がらせをしていたのであった。
まず登校すると、リルネットの机に対する嫌がらせがあるのだ。
毎朝懲りもせず、机にそれはそれは稚拙な言葉が並んだ落書きがびっしりと書いてあるのだ。
まぁ……そんな机の落書き程度、僕もリルネットも瞬時に消せるのだ……けれどね。
また、朝になると落書きがびっしりと書いてある……それの繰り返し。
そして、学園での生活中、隙があればリルネットの足を引っ掻けようとしたり、後ろの席から物を投げつけてくるのだ。
まぁ、そんなものリルネットは全て回避できる。何なら、あの虫けらが投げたものが、そのまま自分に当たるということもあるのだがね……。
………魔法薬学の薬の調合の時も、あいつは劇薬を混ぜていた!そのまま気付かず、劇薬を調合していたら、とても悲惨なことになったてあろうね……。
リルネットは薬草に精通しているからね。そんなもの直ぐに見破っていたのだけれど。
そして、リルネットはそんな出来事があってもどんなに酷い奴にでも……微笑むのだ…リルネットは…………あいつにも微笑んでいた、いつもいつも。
なんだか最近はあいつの矛先が僕ではなくリルネットになっている気もしているのだ……。
──今日の授業は、初めてのドラゴンの授業だった。
学園には1頭の大きなドラゴンがいた。
王国の聖騎士が使用していたもので、人に慣れていて温厚なドラゴンだ。ドラゴンの扱いに慣れるのも大切なことである。
生徒は皆いつもの制服から、乗馬服のような物に着替えた。
いつもの制服も良いものだが、ぴったりと足のラインの見える服も良いものだ……。
ネイクは、リルネットのすらりとした足をチラリと見た。
…………そんなリルネットに見惚れている者が、他に2人いた。
1人は、金目、金髪のエイル・ローランドだ。
(いつ、どんな時もどんな服に身を包んでいても、この方は何と麗しいのだろうか……。リルネット様……。)
もう1人は………………。
なんと!……ピンク目のルシファス・メルセデスだった。惚けた顔でリルネットを見つめる。
ルシファスは自らの金髪の巻き毛をクルクルクルと指に絡ませていた。
この1週間数々の嫌がらせをリルネットにしてきたのであったが、全てことごとく失敗に終わっていた……。
全てなかったことにされる。そして、恐らく全て私が仕出かしたことだと知っておられるのだ。
なのになのに、あの方…………リルネット様は!!
微笑んでくださるのだ!
とてもとても美しくこんなに嫌がらせをしている私にも慈しむように。
あの方は美しい……どんな酷いことをしたものにも美しく微笑む。
あの隣の蛇とは大違い!
一時はあの冷酷なネイク様を素敵だとおもっていたけれど……。
とんだ勘違いだったわ。
あぁ、リルネット様……。リルネット様にどんな酷い仕打ちをしたら…………。
いくら穏やかなドラゴンといっても、大きくて威圧感があった。
ゴクリ……ルシファスは緊張していた。
今日は、私と美しいリルネット様の大舞台よ。
事前にドラゴン舎に忍び込み無味無臭の薬草をドラゴンに塗り込んでおいた。
それを私が持つ魔法石と反応させると、温厚なトラゴンでも理性を失い荒れ狂うのだ。
一瞬の隙をつく。あの蛇が少しでもリルネット様のそばを離れた時!そう!今よ!
ルシファスは、ギュウッと魔法石を握りしめ、呪文を唱え……唱えようとした!
唱え……唱えれ……ない!何で?
リルネットが美しい紫色の目で、ルシファスを見ている。
あっ…!
リルネットがピタリとルシファスの目の前にいつの間にか来ていた。
そして、ルシファスの両頬を軽くペチンッと叩き、リルネットの白く柔らかな手でルシファスの頬を包み込んだ。
「ルシファス様、いけません。これ以上はルシファス様も傷ついてしまいます。」
ルシファスをじっと見つめ…………。
その後はいつものように全ての者にするように、慈しむように微笑んだ。
ルシファスはその場にヘナヘナと座り込み、涙を流した。
リルネットはそんなルシファスの背中を、さすっていたのであった。
♢
ドラゴンの授業は、見るものによっては何事もなく、終わっていった。
♢
ネイクとリルネットは、放課後いつものように馬車に乗り帰宅の途についていた。
ネイクは後悔していた。
ルシファスを暫く泳がせていたこと。
リルネットは無論無傷ではあったが、、、、。無傷たからといって良いわけでもないであろう。
もうあいつは、リルネットに酷いことはしないだろう…………が、あいつもリルネットに向けるのだ。
恍惚とした表情で尊ぶような眼差しを!
金目だけでなく、ピンク目も増えた形となった。
フーッとネイクは深く溜め息をついた。
リルネット。どうしてだろうね、リルネットの周りに平然といるやつらは過去にリルネットに酷いことをしたやつらもいる。
なのに、君は全てを飲み込んで…………。
慈しみ微笑むのだ。
フーッと、また深い溜め息をつく。
ふと気がつくといつからか、リルネットがネイクを穴があくかのように、じーーっと見ていた。
(なっ!リルネットのこんな熱い視線に気がつかないなんて!僕は馬鹿だ!)
ネイクは、そっとリルネットと視線を絡める。
「…………。ネイク様、ごめんね。
私はそれでもルシファス様がネイク様を熱く見つめるよりは、余程良いと思ったのです。」
リルネットには、今までになかった新たな感情が芽生えていたようだった。
嫉妬…………。
ネイクがその感情を増幅させた。
「僕こそごめんね、リルネット。
いつも愛している。」
じっと見つめ合い、深く口づけをしたのであった。
これからは、焦らず少しずつ少しずつ2人で物語を築いていこう、、、
この大きな鳥籠で……。
僕のリルネット。
紫目の可愛くて可愛そうな女の子。
── 終わり ──
お読みいただきありがとうございます!
初めての作品でなんとか一旦完結しました。
気に入って頂けましたら、ブックマーク、評価等して頂くと嬉しいです!
次の作品ははっちゃけた短編を執筆するつもりです!
また、お会いしましょう!




