全てのものからあなたを隠したい
1本の大きな桜の木の下に、銀色の髪の毛の美しい少年と艶やかな黒髪の美しい小女がいる。
桜吹雪の中、ネイクは心の奥に不安感を残しつつも目の前のリルネットの唇に集中することにした。
ネイクは首を傾け、美しく笑うとその唇をリルネットの唇に押し当て、舌をリルネットの舌に絡み付かせた後、唇をチュッと吸い上げた。
リルネットの柔らかな体がピクンとなったのを感じる。
少し手に入れると、どんどん手に入れたくなってしまう。
どんどんどんどんどん貪欲になるようだ。
唇を離した後、リルネットの紫色の瞳をじっと見つめる。
その美しい瞳の……瞼に…頬に顎にと軽くついばむようにキスをした。
桜の木の枝に白い鳥が止まり、ネイクの肩に桜の花びらが落ちた。リルネットがその花びらを取り、にこりと微笑む。
リルネットにお礼を言った後、ネイクは先程、桜に留まった白い鳥をじっと見つめた。
その後、軽く舌打ちをし、リルネットを自分のマントの中に包み込むように入れ、その鳥から隠すようにして、その場を立ち去った。
────リルネット達が立ち去った後────
桜の木の下に、金髪、金目で体格の良い美麗な全裸の少年いた。
先程の鳥は、この少年である。
(相変わらず美しく愛らしいお方だ…リルネット様。)
少年は全裸である。
(あの蛇がずっとまとわりついていたとはね…。)
2人が去った後をじっと見つめる。
全裸で……!
(しかし、少なくとも2年間は一緒にあの方と過ごすことが出来るのだ。あの方に少しでも恩返しが出来ると良いのだが…。)
鍛え上げられて引き締まった裸体を、暫くそのままにしていたが、パチンッと指を鳴らし学園の制服に身を包む。
その制服には、紫色のブローチがついていた。
────リルネットは、ネイクのマントに包まれたまま馬車に乗り、帰宅の途についていた。
馬車が揺れる。
ネイクのマントの中は温かく落ち着く処であった。
ネイクの心臓の鼓動がトクントクンと聞こえる。
リルネットはネイクのマントの中にうずくまり、その落ち着く音を目を閉じて聞いていた。
──ネイクは何やら嫌な予感を感じ取っていた。
(僕の勘はよく当たる…。が、しかし今はリルネットとの、この良き時間を大切にしなくてはね。)
マントの中にスポリと収まっているリルネットを柔らかな眼差しで見つめる。
(可愛い……。)
(可愛くて可愛そうな僕のリルネット。
僕はね、いつもリルネットの慈悲深さに助けられているのだよ。
だけども、嫌だと感じても全て受け止め微笑む君……。
だから、慈悲だけではなくてね、本当の君の意志で決めて欲しいと思う。
しかし、どんな手を使ってでも、慈悲深さを利用してでも…
僕と一緒にいて欲しいと、どうしても願ってしまうのだよ。)
────馬車は正門から離宮へと向かう────
離宮に行くまでの通路の両脇には、いつものように様々な紫色の花が咲いている。
「ネイク様。ここはとても綺麗で好きです。」
ネイクのマントの中から美しい声が聞こえてきた。
「フフッありがとう。僕も気に入っているよ。」
リルネットの「好き」という言葉を噛み締めながら、にこりとリルネットに微笑んだ。
離宮に到着すると、専属侍従のルイジア。クマゴーレムのルネが出迎えてくれた。
ルイジアは、リルネットが到着すると、お嬢様~!と駆け寄りヒシッと涙目になりながら抱き締めた。
ルネは、ネイクを抱き締め、ヨシヨシしてくれていた。
──(ここに帰ってくると、ホッとする。)
リルネットは実家では味わうことのなかったものを、感じた。
今思うと実家では、ホッとすることがなかったようだ。
そもそも実家にいる時は、殆ど公爵邸の図書室か薬草の研究室にいることが多く、外出することはなかった。
ネイクがいなくなった3年間は特に引きこもっていた……。
が、一時だけ実家を離れたことがあった。
辺境の地…バラス…。
数年前、魔物が大量に発生した地域だ。魔物は領主とその息子が率いる騎士達により討伐されたが、領民達には、甚大な被害が出てしまった。
それを耳にし、居ても立ってもいられずに転移魔法でバラスを訪れたことがあった。
その一時だけであった……。
後は外出は殆どしていないのだ。
────ルイジアが、リルネットを横から抱き上げ部屋に連れて行き、制服からワンピースへ着替えさせてくれた。
白い小さなクマゴーレム達が、美味しそうな夕食を頭に乗せて、うんしょ、うんしょと運んでくれた。クマゴーレム達の愛らしい姿に心が和む。
ネイクとリルネットで食卓を囲んだ。
色々な料理が運ばれたが、特に温かなシチューは絶品であった。
身体も心も温まるのである。
ネイクが時折しょんぼりしていた為、リルネットはネイクの美しい口元にシチューを運び、美味しいシチューを食べさせた。
ネイクは、一瞬驚いた表情をしたが、にこりと微笑んでくれたのであった。
♢♢ある邸宅の1室にて♢♢
金髪で巻き髪、ピンク色の瞳の少女が豪華なソファーで足を組んでいた。
「久しぶりにお会いした!!ネイク様!なんてなんてかっこいいの!
冷たい眼差しも、す・て・き!
なのになのに、、何なのあのエセ紫目が!
気にくわない気にくわない気にくわないわ!」
狂気じみた雰囲気の少女は、傍にあったライラック色の花を、ぐしゃりと、握りつぶした。
少女の制服にも、紫色のブローチがついていたのであった。
…………。
────熱く…続く…────
変態一口メモ
桜の木の下にいた少年は、敢えて全裸でいたみたいです。
満開の桜と花吹雪
そして、鍛え上げられた肉体でありました。
♢おしまい♢
お読み頂きありがとうございます。
学園生活が始まり、様々なキャラの様々な気持ちがどう物語を動かしていくか……。
お楽しみに……。
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どうぞ宜しくお願いします。




