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その4
迷った末に、結局Kからの電話に出ました。
「よかったら今から飲みに行かない? 結構いけるクチだったよね」
「サシで?」
「そう」
飲みの誘いでした。
内心では、バンドの付き合いだけにしておきたい、という気持ちがありました。
ですが、ここで断って面倒になるのも避けたく、結局応じることにしました。
――何せ、元“副番”です。
待ち合わせは、私の地元の居酒屋チェーンでした。
どうせなら先に飲んでしまおうと思い、約束の時間より早めに店に入りました。
その日は、夏の暑い夕暮れでした。
ジョッキの生ビールをほとんど一気に飲み干すと、少し気持ちが落ち着きます。
続けてウーロンハイを頼み、お通しをつまみながら時間を潰していました。
やがて、ピンポーン、と入店を知らせるベルが鳴ります。
何気なく入口の方を見ると、サングラスに派手なピンク柄のアロハシャツ、ブルージーンズに雪駄という出で立ちの男が、こちらへ向かって歩いてきました。
Kでした。
――ああ、やっぱり、これまでの自分の知り合いにはいないタイプだ。
私はそう思いながら、タバコに火をつけました。
「おう」
Kはそう言って、向かいに腰を下ろしました。
その瞬間、胸の奥にあの感覚が、またわずかに蘇りました。




