その3
さて、私の高校時代の友人がドラマーとして連れてきた男を、ここではKと呼ぶことにします。
Kは目つきが鋭く、どこか一癖も二癖もありそうな印象でした。
これが、最初に抱いた印象です。
もっとも、ドラムの腕はそこそこでしたし、言葉遣いも普通で、私のことも「さん付け」で呼んでいたので、ひとまず安心したのを覚えています。
最初のスタジオでのセッションを終えたあと、私たちは三人で居酒屋に入りました。
軽く自己紹介を済ませ、「じゃあ、これからよろしく」という流れで飲み始めます。
三人とも酒はいける口で、かなりのペースで飲んでいました。
場も和み、酔いが回ってきた頃でした。
不意に、高校時代の友人が言い出したのです。
「コイツね、中学のときに、副番ハッテたんだよ」
私はだいぶ酔っていましたが、その一言で、最初に抱いた嫌な感じが、ぐわんと蘇りました。
「へぇ、そうなんだ」
何でもない顔でそう返しながら、内心では「やっぱりな」と思っていました。
その日はそのまま解散しましたが、帰り道でも、あの嫌な感じは消えませんでした。
――それから一週間後。
私の携帯が鳴りました。
相手は、Kでした。
私はすぐには出ず、しばらく鳴り続ける携帯を眺めていました。
液晶には、Kの名前が表示されています。
胸の奥に、あのときと同じ感覚が、じんわりと広がっていきました…




