鍵括弧を連続させることについて
はじめに
本作はあくまで、「なろうで執筆を始めてみた初心者」が迷った際の情報まとめとして書いています。
私自身は文系では無いので、文系バリバリの方には劣ります。
なのでマサカリはやめて下さいね。
心をおおらかにしてお読み頂くか、無理そうならブラウザバックをお願いします。
こんにちは、あるいはこんばんは。
鍵括弧が連続しているのに、話者が同じという書き方をしている作者が多数見受けられます。
あくまで「鍵括弧が変わると話者が切り替わる」のはセオリーであって絶対のルールではないとは言え、読者はそのルールで読む人が多く、読みが迷子になってしまいます。
今回は鍵括弧の切り替えと話者について掘り下げてみました。
◆お品書き
・暗黙のセオリー
・思っている以上に伝わらない
・集団の場合の具体例
・多人数がいる場での効果の違い
・地の文での繋ぎ
・さいごに
──◆暗黙のセオリー
まず大前提として、作者が作品の中のルールを決めて良いのは変わりません。
セオリーを知った上で、それとは違う道を突き進むのは作者の自由です。
ただ、意味もなく暗黙のセオリーがある訳ではないので、必要とするケースを知った上で無視するかを判断した方が望ましいと思います。
《会話文を鍵括弧で表現し、鍵括弧が連続する場合は話者が切り替わる》
読者は暗黙として上記のルールで読んでいます。
説明もなく無視していると、読みが難しくなったり、最悪伝わらない可能性の方が高いです。
──◆思っている以上に伝わらない
登場キャラが二人、且つ完全に口調が違うケースだけ「推察可能」になります。
曖昧さが残る文脈の場合、読者はかなり深く読み込まないと話者が特定できません。
例を示します。
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今日は三連休の初日。とても心地よい陽気に連れられて外に出ると、お隣の佐藤さんに出会った。
「こんにちは」
「今日は凄く良い天気ですね」
「おや、田中さんもお出かけですか?」
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読者は以下のように推察します。
最後のセリフは佐藤だろう。すると主人公が田中と思われる。
その場合、「こんにちは」は佐藤のセリフと推察するのが一般的です。
しかし、一部の作者独自ルールでは田中のセリフとなっていて、読みが混乱します。
この例では意味のない挨拶ですが、作中の重要なセリフの場合などは訳が分からなくなるのです。
──◆集団の場合の具体例
集団の場合の例を示します。
例)キャラABCDの四人がいる状況下の例文。
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Aは剣を高らかと掲げた。
「私は真実が知りたい!」
「ここに集う者の気持ちは同じであろう?」
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これを読者視点でどう読むかにかかってきます。
作者はAが連続で喋っているつもりで書いていたとしても、読者は文脈の流れやセリフ回しでBCDでは無いと確証が得られて初めて「Aだろう」に辿り着きます。
Aが連続で喋っていることを迷わずに済む方法例①
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Aは剣を高らかと掲げた。
「私は真実が知りたい! ここに集う者の気持ちは同じであろう?」
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Aが連続で喋っていることを迷わずに済む方法例②
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Aは剣を高らかと掲げた。
「私は真実が知りたい!」
一度言葉を切り、Aは皆を見渡していく。
「ここに集う者の気持ちは同じであろう?」
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地の文の補足もなく別の鍵括弧で台詞が分割されていると、読者は解読作業が必要になります。
すると、そこに意識を割かれてしまうため、物語にのめり込みにくいのです。
──◆多人数がいる場での効果の違い
私の作品から引用して例を示します。
例)ナーロッパ貴族の園遊会の会場にて
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王子派に挨拶を済ませ、第一王子に否定的な派閥の面々にも挨拶をしていく。
「殿下は平民の地位向上と、我々との垣根を取り払うと訴えていると噂を聞きました。そういった妄想にふけるお年でも無いでしょうに。レザンヌ様がしっかり手綱を握ってくださると将来が安泰ですな」
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発言者を分けて反派閥の人数が多い演出も可能ですが、ここでは人数の正確性よりも発言者との関係性を重視して一人に喋らせました。
【補足】
※大勢で捲し立てるように会話をされるケースは違うと感じたため
※挨拶をしている主人公は侯爵令嬢のため、同格以上の爵位で無ければ内容には若干違和感が生じる。侯爵位以上が沢山いるのも違和感があるので一人の発言としてまとめ、「派閥の面々というくらいだし、他にも人数はいるだろう」と推測させるだけにしました。
台詞は同じで大勢で捲し立てているように見せる例は以下。
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王子派に挨拶を済ませ、第一王子に否定的な派閥の面々にも挨拶をしていく。
「殿下は平民の地位向上と、我々との垣根を取り払うと訴えていると噂を聞きました」
「そういった妄想にふけるお年でも無いでしょうに」「レザンヌ様がしっかり手綱を握ってくださると将来が安泰ですな」
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こちらだと不特定多数が会話相手となり、読みも恐らく別々の人だろうと推察する人が多くなります。
地の文で正確に細かく書く書かないは、作風や台詞に込められた意図にもよります。
ここでは、良く知らない貴族から言いたい放題言われていることだけ伝われば良かったので、一人に限定して描写もそぎ落としました。
──◆地の文での繋ぎ
鍵括弧を分けた上で話者を引き継ぐ場合、地の文で補足するのが一般的かと思われます。
例)最低限の例
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今日は三連休の初日。とても心地よい陽気に連れられて外に出ると、お隣の佐藤さんに出会った。
「こんにちは」
一拍置き、言葉を続ける。
「今日は凄く良い天気ですね」
「おや、田中さんもお出かけですか?」
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例)描写を追加した繋ぎの例
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今日は三連休の初日。とても心地よい陽気に連れられて外に出ると、お隣の佐藤さんに出会った。
「こんにちは」
笑顔で声を掛け、そのまま空を見上げて続ける。
「今日は凄く良い天気ですね」
「おや、田中さんもお出かけですか?」
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可読性や台詞の間を意識して鍵括弧を分割する場合、上手く描写を差し込んで自然に話者を読み解けるように工夫をした方が望ましいです。
──◆さいごに
冒頭でも述べましたが、どのようなルールで書くかは作者の自由です。
ただ、せっかく面白い物語を難解にしてしまい読者離れに繋がるよりは、「どうしてセオリーが存在するのか」の基本に立ち返ることをオススメします。




