第十六話 買い物
アリスがハンターを始めてから二週間が過ぎた頃。
蒼が住んでいる倉庫の中が、一部だけアリスのもので埋まっていった。
棚に並べられたいくつものぬいぐるみ。
ふかふかのベット。
キッチンに置かれた高級高性能フードプリンター器など。
ほとんどなにもなく、シンプルの倉庫の中が少しずつ可愛らしく、人間らしい生活の場所へとなっていた。
「……アリス」
「ん?なに?」
目頭を指で揉む蒼は、机の上で日記を書くアリスに声を掛ける。
「流石に買いすぎるよ。貯金はしてるの?」
「え~ダメ?」
「いや……ダメではないけど。どれもアリスが稼いで買ったものだし」
「うん。採取系や運搬系、調査系とか頑張ってできるようにしたんだ!偉い?」
「ええ、偉いわ。でもね……稼いだら、すぐに使うのは直しなさい」
「買い物は心の癒しだよ~?それに蒼が買わなすぎるんだよ?」
ブーブー!と頬を膨らますアリスに呆れて、蒼はため息を吐く。
「あ、今日は最新のフードプリンターが販売される日だった蒼!急いで闇市に行こう!」
「ちょ、ちょっと!」
ボールペンと日記を片付けたアリスは蒼の手を引っ張って、大型トラックに向かった。
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「ふん♪ふふ~ん♪」
秋葉原の闇市にやってきたアリスは、鼻歌を歌いながら街の中を歩いていた。
持ち歩いていたカートの中には、いくつものぬいぐるみや可愛らしい服などが入っている。
色んな店で買い物をするアリス。
彼女の隣を歩く蒼は、呆れた表情を浮かべていた。
「アリス……フードプリンターを買うんじゃなかったの?」
「うん。そうだよ?」
「なんで他のものも買うの?」
「欲しくなったから。それが理由」
「あのね……」
「あ、見つけた!今、私が気に入っているフードプリンター屋さん」
アリスは蒼と共に、少し豪華なお店に入る。
店の中には綺麗なスーツを着た男性の店員がいた。
「いらっしゃいませ、アリスさん。今日は最新のアレですよね?」
「そう……アレ」
ニッと笑い合う男性店員とアリス。
男性店員は棚から大きなフードプリンター器を取り出す。
「こちらが百種類の料理を作ることができる最新のフードプリンター器、『山田』です!もちろん……味は最高クラス」
「おお~!」
アリスは目をキラキラと輝かせる。
「お値段はなんと八万五千六百円です」
「買いま―――ぐへぇ!?」
アリスが勢いよく「買います!」と大声で言おうとした時、近くにいた蒼が彼女の首根っこを引っ張る。
「ちょ、なにするの!?」
「フードプリンター器なんていくつもあるでしょ」
「なに言ってんの!?百種類の料理が作れるフードプリンター器なんて持ってないよ!?せいぜい五十種類のやつだよ!」
「八万以上するのよ?」
「大丈夫。ちょうど全財産である八万五千六百円は持ってるよ」
「全財産……」
蒼は口を閉じることができなかった。
「とにかく買うからね。すみません、それください~!」
「あ……ちょ!……まったく」
結局、最新のフードプリンター器を買ったアリス。
そんな彼女に呆れて、蒼は深いため息を吐いたのだった。




