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聖剣

「マスター……」


振り返ると金髪青目の少女が立っていた。年のころは12,3歳といったところか。


「君はだれだ?」


俺がそう問うと


「ユグドラシオン」


と答えた。


「ユグドラシオン?あの?」


「そう」


「そうか。だが俺は君のマスターじゃない」


「?」


「そ、そうだ、お前のマスターはこの俺だ!」


割り込んでくるレオン。


「貴方は私のマスターじゃない」


「は?」


「あなたは適合条件を満たしていない」


「適合条件だと?抜いた時にちゃんと光っただろうが!」


「あれはただ台座から引き抜かれたから目覚めただけ」


「なんだと!?」


とりみだすレオン。


「いいか俺は勇者だ。聖剣を持つのは勇者だと決まっている!」


「あなたは勘違いをしている」


「何?」


「まずあなたは勇者ではない」


「は?雷魔法を使いこなすこの俺が勇者じゃないだと?」


そう、雷魔法は勇者のみに使える魔法だ。だが……


「勇者の条件は聖剣に認められること。雷魔法が使えることじゃない」


「なんだと!?」


聖剣にこう言われてはレオンも狼狽するしかない。


「じゃあお前が俺を持ち主だと認めればいいだろうが!!」


「あなたは適合条件を満たしていない。そしてもう一つ勘違いをしている」


「何だってんだよ!」


「私は聖剣じゃない」


「はぁ!?」


根耳に水だった。その場の全員が驚いた顔をしている。——一人を除いて。


「じゃ、じゃあ本物の聖剣は何処にあるっていうんだ!?」


叫ぶレオン。それは当然の疑問だった。


ユグドラシオンがある方向を指刺す。その先にいたのは――


「セティが?」


「……」


セティは無言だった。


「私は聖剣アルセティオールを模して造られた。聖剣の代替品」


ユグドラシオンが言った。


「この魔剣女が本物の聖剣だと!?ふざけるなよ!!」


「セティ本当なのか?」


「……昔の話よ」


セティが口を開く。


「でたらめを言うな!そもそもお前がユグドラシオンというのが嘘なんだろ!?」


「この少女からは確かにユグドラシオンの気配を感じます。あなたも分かっているでしょう……」


と聖女セシリア。


「じゃあ何か!?俺は勇者でもなんでもなく聖剣は偽物。本物の聖剣はそこの魔剣女で、カイルが本物の勇者だってか!?」


レオンが叫ぶ。静まり返る周囲。


「おいおい、ガルドなんとか言ってやれよ。こいつらに」


「レオン悪いが……」


剣士ガルドが答える。なんとも言えない微妙な表情をしていた。


「……このことは王に報告させてもらいます」


聖女セシリアが言った。


「俺も行こう」


ガルドが言った。


「アンタたちちょっと薄情じゃないの!?散々勇者の恩恵にあずかっておいて!」


魔術師フィーネが言った。そういえばこいつら付き合ってるんだったな。


「魔王を倒せる可能性があるから一緒に冒険していたんだ。肝心の魔王には魔法が通じず、聖剣は偽物、奴は魔法すら使ってなかったんだぞ?」


と、ガルド。


「そ、それは……」


たじろぐフィーネをよそにこちらに近寄ってくるガルド。


「……カイル。今まですまなかったな」


「いや、いい。俺が役立たずだったのは本当のことだ」


「……そうか」


「カイルも私たちと一緒に来ますか?」


聖女セシリアが言った。


「どうするセティ?」


「やめておくわ。面倒くさい」


「そういうことなんで俺たちは遠慮する」


「分かりました、王には私から伝えておきます」


そう言い残すと二人は去っていった。


「俺たちも帰るか……」


「そうね」


皆それぞれ町に帰り、後にはレオンとフィーネだけが残された。



「くそ……なんなんだよ……」



元勇者のつぶやきだけが妙に響いていた。

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