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17.魔道具化①

「ガソリン足りるかなあ」


 出発準備を始めたところ、私はふと気になって運転席の窓からガソリンメーターを覗いた。こんなことになるなんて考えてもいなかったので、ガソリンを満タンにしていなかった。残量としては、半分程度である。


「これで東京ー京都間を往復できるとは到底思えないんだけど」


 私がそんなことを言うと、遥があっけらかんと答えた。


「魔法で動かせばいいじゃん」


「え?」


「ガソリンを使わずに魔法でエンジン動かせばいいんじゃないの?」


「そんなこと出来るの?」


「やれば出来そうじゃない?」


 遥はそう言って、少し離れた場所にいるロランスを大声で呼んだ。


「ロランス様!」


 ドヴィック、アナイスと何やら話していたロランスは、遥の呼び声に反応してこちらを見た。


「あらあら、何かしら?」


 そして、ロランスは魔法で瞬間移動してきた。

 ロランスの素早い移動に驚きながら遥は真剣な顔つきで聞く。


「この車を魔法で動かすことできませんか?」


「あらあら、困ったわね。できなくはないと思うけれど、私はこの乗り物がどうやって動くのか仕組みが分からないから何とも言えないわ。ただ、方法としてはこの乗り物を動かすものに魔力を込めて、それ動かすようにイメージしたら良いわ。例えば馬車は馬がキャビンを引くでしょう。つまり馬車を動かすものは馬。この乗り物にも馬の役割をする場所があるのはないの?」


「エンジンですね」


「あらあら、エンジンというものが私には分からないけれど、それならば、そのエンジンに魔力を込めて動かすイメージしたらいいわ」


 私はボンネットを開け、そしてエンジンを指した。


「これがエンジンです。これを動かすイメージしながら魔力を込めればよいですか?」


「ええ、やってみて」


 ロランスに言われるまま私はエンジンに手を当てて、浄化魔法の要領で魔力を込めた。すると先ほどと同じように手から光が出てエンジンを包んだ。問題はこの先だ。エンジンはどうやって動くんだっけ…なんか空気とエンジンを混ぜて爆発させてピストンを押し下げてクランク回すとかそんなだった気がする。だからピストンを動かすイメージをすれば良いはず。昔、動画で見た気がする。このエンジンの形状から見てピストンは4つっぽい気がする。外側の2つが下がった時に内側の2つが上がって、内側の2つが下がった時に、外側の2つが下がる…。

 そう考えながら魔力を込めると、突然車が前にゆっくりと動き出した。


「待って待って待って待って」


 轢かれそうになった私は慌てて手を放して車の外側に逃げた。

 すると車が止まった。 


「すごいじゃん!」


 遥が興奮した風に言う。

 うん、凄い。これは私が小さい頃夢見ていたタイプの魔法だ。こういう魔法も使えるんだ。


「あらあら、マルセル見た? ほらね、才能があればこのように簡単に使えるのよ。あなたは諦めて剣士として、彼女たちをサポートしてあげなさい」


 マルセルは「諦める?」とロランスの言葉に引っかかった反応をしたけれど、素直に答えた。


「かしこまりました」


 なんだか話が進んでいるが、ロランスに確認したいことがある。


「あの、これってつまり、ずーっとエンジン動かすイメージをして魔力を注ぎ続けないといけないということでしょうか?」


「あらあら、そうね。今の動かし方ならばそうね」


「違う動かし方があるのですか?」


「魔道具化をすればいいわ」

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