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魔王さま、勇者は隣にいます。
椅子にドカッと座る勇者。
その隣には、週刊誌を読む魔王さま。
魔王さま、週刊誌に夢中なんだな。と勇者が座る席を見てふと思った。
魔王さまの書類に一通り目を通した。
魔王さまを呼びたいが、勇者が一緒の空間にいるため、
どうしようか迷っていた。
課長…来ないかな…と心で呟く。
「何か困ってるかな」
後ろを振り返ると課長が、立っていた。
「今日は、勇者さまもいらっしゃってて、魔王さまを呼びたいのですが、あの人番号札で呼んでも返事をしないので…」
小声で課長に相談する。
「では、わたしが呼んできますので、八尾さんはそこに座って待っていてください。」
助かったと安堵した時、課長は魔王さまを見つめる。
すると、魔王さまがこちらの受付にきた。
「八尾よ。完璧であっただろう。」
「魔王さま、転出届出てませんよ」
「……またか」
その背後で——
「102番の方ー」
「俺だ」
勇者が立ち上がる。
魔王と勇者、すれ違う。
お互い、一切気づかない。
八尾は、静かに思った。
「……世界、平和ですね」




