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体が――軽い。
ゆらゆらと漂う感覚。
水の中にいるようなその感覚に、またここに来たのかと思った。
『全てが終わるまで――オレが繋いでやる』
何処からか、声がする。
次第にはっきりと、耳元で聞こえはじめた。
『だから安心して、お前はお前のやりたいことをしろ』
やりたいこと――?
言われても、そんなことは思い付かない。あるのは、模倣された日向美咲にある強い思い。みんなを護ると、それしか知らない。
『余計なことは考えるな。――そろそろ、目覚めてやれ』
すぅっと、体が浮上する。
徐々に光が強くなり、目の前が、真っ白に染まった。
――――――――――…
――――――…
―――…
「美咲――私が分かるか?」
景色に、色が付いた。
そこで見えたは、心配そうな表情を浮かべる蓮華さんだった。
「?――――彼、は」
「彼? 誰のことを言っている?」
あぁ、そっか。
ここに、彼は存在しないんだった。
「気にしないで下さい。あのう――自分は、何故寝かされているんですか?」
「熱が出て倒れたのだ。今日は、ここに泊っていけ」
額に、蓮華さんの手が置かれる。
ひんやりとして――とても心地いい。
「ゆっくり、体を休めろ」
目を閉じると、意識はすぐに、眠りへと落ちて行った。
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「それで――具体的に、アナタは何をしたのですか?」
笑顔で聞くリヒトさんだが、目の奥が笑ってない……。
「何かした、と言うより――」
もう、キスまでしたなんて言えない……。
「…………」
「まぁ、深く追求しないでおきましょうか。先程、日向さんの中にいた彼が言っていた言葉ですが――アナタ自身、変化は感じますか?」
「変化というか――美咲ちゃんの前世だった時の記憶が見えるんです。オレはその時には目覚めてましかたら、関りがあります」
今ではあまり覚えていないが、あの時の感情は覚えてる。
悔しくて、悲しくて。
絶望的な感覚が、心を支配していた。
「彼の話しが本当だとするなら、アナタは前世の日向さんを知っていることになります。それがどう作用するかは分かりませんが、一先ず、今日は近付かないよう」
いいですね? と、念を押された。
言われなくてもわかってる。
今の状態で会いに行くほど、オレも危険なことはしない。
またあの瞳で見られたら、キスしていまいたい衝動に駆られそうだし。
「――お邪魔してもいいかしら?」
戸の向こうから、女性の声がする。
リヒトさんが返事をすると、入って来たのは、紅色の髪をした知らない女性だった。
「初めまして。私はシエロ。あなたが――ミヤビくんね?」
やわらかな物腰で、その人は言う。
近くに来ると、まじまじオレを見つめてきた。
「――――」
「あのう……一体何を?」
「あ、ごめんなさいね。力が使えるかと思って、ちょっと、あなたの先を見ていたの」
「先って――オレの未来、ですか?」
「えぇ。でも、まだ調子が出ないみたい」
「当然です。アナタは長い間、あの箱の中にいたのですから――どうか、無理をしないで下さい」
「大丈夫。そこはレンにも釘をさされてますから。――少し、ミヤビくんと二人でお話をしたいのだけど、いいかしら?」
「はい、オレは構いません」
「ありがとう。リヒトは、別の部屋に行ってて」
頷くと、リヒトさんは部屋を出て行った。




