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まただ。また目の前で君を――!
最後に見たのはやわらかな笑みで……それは、オレに過去を思い出させた。
あの時はそう。自分がしばらく家に立ち寄らなかった日。
数日ぶりに会ってみようと足を向ければ、遠くに人だかりが見えた。何があるのかと人に紛れれば、これから処刑があると聞いた。
――罪人は女。怪しい術で村に厄災をもたらしたんだと。
興味があり人をかき分ければ、処刑台に向かって歩かされる女が見えた。
いつの時代も、人は好き勝手に罪をなすりつけるなと思えば――その女は見知った顔だった。
馬に乗った騎士が鎖を持ち、女の手首に枷が付けられている。
罵声と石が飛び交う中、そいつと目が合った。
〝――アナタは逃げて〟
声なんて聞こえない。でも、オレにはそう言っているように見えた。
処刑台には大きな柱があり、その下にはたくさんの薪がある。これから始まるのは火あぶりだと、容易に想像がついた。
途端、群衆をかき分け女を――フェイをさらった。鎖を引きちぎるさまに、悪魔だとか色々言ってるが、今は構っている暇はない。ひとまずフェイの家に向かえば、なんて無茶な、と言われてしまった。
『お前が死ぬことなんてない! どこか遠くにっ!?』
ガクッ、と足から崩れる。
なにが起きたのかと思えば、それは弓矢で。引き抜いて見れば、それは銀と刻印が彫られた代物だった。
『――やはり魔物と繋がっていましたか』
それを飛ばしたであろう人物が近づいてくる。
続けざまに数発、同じ矢が放たれる。なんとか避けたものの、オレの体はいつものように早く動いてはくれなかった。
『これには悪魔封じが施してある。――魔女もろとも消えろ』
オレが思うように動けないのは、さっき受けた矢が原因らしい。じわじわと侵食する熱に、オレはフェイを抱えたまま倒れこんでしまった。
フェイを背にして庇えば、すぐそこまで矢の持ち主が来ていた。
『人の力を侮りましたね。――さて、どうしましょうか』
嫌な笑みを浮かべる男。
オレの足からは未だ出血が続き、これ以上進むのは難しい。どう逃げようか思案していれば――目の前に、フェイが立ち塞がった。
『彼は関係ありません。私だけでいいでしょう!』
両手を広げ、オレを庇っていた。
そんなことするな! 逃げろ! と叫んでも、フェイはそこから一歩も引かない。
『いいでしょう。あなたはいい素材になりそうだ。――さぁ、こちらに』
来い、と手を伸ばす男。それに頷くフェイは、男の元へ歩み出す。
約束を守るとは思えない。だから逃げろと言うのに、フェイはそれを無視して進んで行く。
男は剣を抜き、そして――フェイの心臓を貫いた。
オレはそれを――ただ見ているしか出来なかった。
最後に見たのは、オレに微笑みかける姿で――球体に飲み込まれる美咲ちゃんも同じく、微笑みながら球体に姿を消した。
「あああぁぁーーー!!」
今度も守れなかったのかと、オレは、鬼哭めいた叫び声をあげた。




