表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/191

/////




 まただ。また目の前で君を――!




 最後に見たのはやわらかな笑みで……それは、オレに過去を思い出させた。

 あの時はそう。自分がしばらく家に立ち寄らなかった日。

 数日ぶりに会ってみようと足を向ければ、遠くに人だかりが見えた。何があるのかと人に紛れれば、これから処刑があると聞いた。

 ――罪人は女。怪しい術で村に厄災をもたらしたんだと。

 興味があり人をかき分ければ、処刑台に向かって歩かされる女が見えた。

 いつの時代も、人は好き勝手に罪をなすりつけるなと思えば――その女は見知った顔だった。

 馬に乗った騎士が鎖を持ち、女の手首に枷が付けられている。

 罵声と石が飛び交う中、そいつと目が合った。




〝――アナタは逃げて〟




 声なんて聞こえない。でも、オレにはそう言っているように見えた。

 処刑台には大きな柱があり、その下にはたくさんの薪がある。これから始まるのは火あぶりだと、容易に想像がついた。

 途端、群衆をかき分け女を――フェイをさらった。鎖を引きちぎるさまに、悪魔だとか色々言ってるが、今は構っている暇はない。ひとまずフェイの家に向かえば、なんて無茶な、と言われてしまった。




『お前が死ぬことなんてない! どこか遠くにっ!?』




 ガクッ、と足から崩れる。

 なにが起きたのかと思えば、それは弓矢で。引き抜いて見れば、それは銀と刻印が彫られた代物だった。




『――やはり魔物と繋がっていましたか』




 それを飛ばしたであろう人物が近づいてくる。

 続けざまに数発、同じ矢が放たれる。なんとか避けたものの、オレの体はいつものように早く動いてはくれなかった。




『これには悪魔封じが施してある。――魔女もろとも消えろ』




 オレが思うように動けないのは、さっき受けた矢が原因らしい。じわじわと侵食する熱に、オレはフェイを抱えたまま倒れこんでしまった。

 フェイを背にして庇えば、すぐそこまで矢の持ち主が来ていた。




『人の力を侮りましたね。――さて、どうしましょうか』




 嫌な笑みを浮かべる男。

 オレの足からは未だ出血が続き、これ以上進むのは難しい。どう逃げようか思案していれば――目の前に、フェイが立ち塞がった。




『彼は関係ありません。私だけでいいでしょう!』




 両手を広げ、オレを庇っていた。

 そんなことするな! 逃げろ! と叫んでも、フェイはそこから一歩も引かない。




『いいでしょう。あなたはいい素材になりそうだ。――さぁ、こちらに』




 来い、と手を伸ばす男。それに頷くフェイは、男の元へ歩み出す。

 約束を守るとは思えない。だから逃げろと言うのに、フェイはそれを無視して進んで行く。

 男は剣を抜き、そして――フェイの心臓を貫いた。




 オレはそれを――ただ見ているしか出来なかった。




 最後に見たのは、オレに微笑みかける姿で――球体に飲み込まれる美咲ちゃんも同じく、微笑みながら球体に姿を消した。




「あああぁぁーーー!!」




 今度も守れなかったのかと、オレは、鬼哭きこくめいた叫び声をあげた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ