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竹林の道を進むと見える屋敷。もはや信用出来るのは一人だけだと、上条は蓮華の元を訪ねていた。門の前に着くと、門番は上条の姿を見るなり開け放った。
相変わらず、平穏な雰囲気の屋敷。ここは外とは違い、気の流れが心地よかった。
「――事が急変したか?」
「察しのとおり。あの二人は信用が置けなくなりましたので、蓮華さんに頼ろうかと」
「怖い顔をしよって。少しは気を静めろ。色を変えたままだぞ?」
指摘され、上条は徐々に力を抑え始めた。
そして美咲のことだけでなく、叶夜と雅に起こった変化を説明した。美咲のことは多少予想していたのか、驚く素振りは見られない。だが叶夜に関しては、目を見開いて話を聞いていた。
「消した部分が――再生し始めていたのか?」
「確認したわけではありませんが、立ち去る前に見た手は、骨組が出来上がっていたように思います」
「いくら手だけとはいえ、そのように回復する存在が王華にいるとは――」
「実験の成果でしょう。アナタと同じような存在を欲していましたから」
一瞬、蓮華が眉をひそめる。思い当たる節があるのか、顎に手を当て思案しているように見える。
「――雅とやらから、連絡は無いのか?」
「えぇ、全く。まだ自我を失うことは無いでしょうが、最悪、発症した彼等を相手にすることになりますね」
「ならば出るぞ。行く場所など、あちらの世界以外あるまい」
廊下に控えていた女中に、いつものを、と言い何かを取りに行かせた。蓮華が頼んだのは、お護りのような巾着袋。じゃらじゃらっとガラス玉のような音がする中身は、数珠が二つ入っていた。
「これを付けろ。冷静に戦えなくてはかなわぬからな」
渡されたのは紫色の数珠。左手に付けるのを見ると、蓮華も自分に透明な数珠を付け歩き始めた。
「――――予知のことだが」
竹林の中、蓮華は足を止めた。
周りに誰の気配も感じないことを確認し、続きを告げる。
「当たっておれば、シエロが現れるぞ」
上条にとって、またしても驚くことを告げた。




