第45話 小さな村のゴブリン退治 その3
本日3話目です。
剣を振れば振るうほど、ゴブリンを切れば切るほどその手応えが軽くなっていく。
確実にスキルが影響してる。俺自身、それが何のスキルなのかはイマイチ分かっていないが……。
洞窟を奥に進むと、ひときわ大きなゴブリンが飛び出してきた。ホブゴブリンだ。今日2匹目のホブゴブリン。この洞窟はホブゴブリンに率いられていたのかな。そんなことを思いながら俺は、ゴブリンの首を右手でつかむとそのまま足を払う。仰向けに倒れたゴブリンの顔面めがけて膝を討ち入れる。
グジャャ! ホブゴブリンが息絶える。
さらに立ち上がりながら剣を横に構えてくるりと回る。俺の周りにいた飛びかかろうと構えていたゴブリンたちが、一斉に斬られて緑の血しぶきを上げながら倒れていく。
『経験値を505pt獲得しました。』
『条件を満たした為
スキル『格闘体術』が Lv.7になりました。』
『レベル7になりました。』
戦いにも慣れてきて、結構楽にゴブリンを倒せるようになってきた。
獲得した経験値から考えると、これまで倒したゴブリンは、ゴブリン戦士40とホブゴブリン2、あとはゴブリンがちょっとか。だいぶん退治できたかな。それにしても広い洞窟だな。外から見たのではこの広さは分からなかった。どうやら、自分たちで広げたみたいだ。しかし、ホブゴブリンに率いられた集団でこんなに組織的に動けるのかな。
『条件を満たした為
スキル『空間把握』を取得しました。』
『条件を満たした為
スキル『思考加速』が Lv.2になりました。』
不意にゴブリンたちが突っ込んでくる。俺は、迫ってくるゴブリンの勢いを利用して剣を喉に突き刺す。そのまま足でゴブリンを蹴り飛ばし剣を抜く。と同時に振り向きながら剣を横薙ぎに振る。真後ろにいるゴブリンに剣が達するまでに3匹のゴブリンを両断する。
『経験値を150pt獲得しました。』
俺は周りを見渡すが、動くモノは見当たらない。どうやら、今ので洞窟内のゴブリンは退治できたみたいだ。全部でだいたい50匹のゴブリンの討伐だ。前回の会戦では、止めを刺してくれる従士がいたが、今回は単独だ。我ながら良くやれたと思う。スキルのおかげが大きいな。しかし、いくらスキルがあるからと言っても流石に疲れた。とりあえず、戻ろうか。任務完了だ!
なんて、思ったのはこれのフラグだったのかもしれない。
気配を感じて振り返った俺の目の前には、大柄のゴブリンらしきヤツがいる。
ゴブリンシャーマンより強そうだよ? それってもしかして……。と考えていると
「ウロ エチソ ウィナ ナギエズ ヘネグニン」
「ん? 何か言ってるのか?」
『条件を満たした為
スキル『言語解析』魔人語を取得しました。』
「ニンゲン フゼイガ ナニヲシテオル」
「なに? 話した? なにこいつ。 喋るのか!」
「我ラガ 話スノガ ソンナニ メズラシイカ」
自分の知識ではこいつがなんなのかが分からない。
しかし、俺はこいつがなんなのかは既に知っている。
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【ゴブリンロード】
ゴブリンの上位種
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「我ハ 『ラボラス』 シャクス様ヨリ 名ヲ授ケラレシ ゴブリン・ロード デ アル」
『条件を満たした為
スキル『鑑定識眼』が Lv.2になりました。』
都合が良いことに。『鑑定識眼』のレベルが上がった。本当ご都合主義だな。
俺は細かいことは気にせず、再度スキル『鑑定識眼』を意識して大柄なゴブリンを見る。
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【名前持ちのゴブリンロード】
ゴブリンロードの上位種
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少し情報が増えたな。でも、この情報さっきヤツが自分で言ってたし。っていうかむしろ情報少ないし。
それにしてもゴブリンロードか、しかも名前持ちって……ゴブリン・トーテム無かったよ?
なんだかよくわかんないけど、悪い予感しかしないな。これって最悪のパターンってやつじゃね? まぁ、こうなるフラグは至る所に立ってたもんな。
俺は、剣を構えてゴブリンロードに対峙する。
ゴブリンロードが、その手に持つ巨大な大剣を横薙ぎに振ってきた。俺はそれを剣で受け止める。
「グハッ!」
激しい衝撃を感じたと思うと俺は勢いよくはじき飛ばされ、そのまま壁に打ち付けられる。
『条件を満たした為
スキル『物理耐性』が Lv.3になりました。』
『条件を満たした為
スキル『苦痛耐性』を取得しました。』
『条件を満たした為
スキル『傷病回復』を取得しました。』
『条件を満たした為
スキル『体力回復』を取得しました。』
「ゲホッ……。」
流石に痛い。腕は千切れそうに痛く、口からは血が溢れる。
その血を服の袖で拭いながら俺は立つ。振り向いたそこには仁王立ちしたゴブリンロード。
「ニンゲン フゼイ ガ ナマイキダナ」
「今までこそこそ隠れてたヤツには言われたくねぇな。」
俺は、くじけそうな自分をごまかすために強がりを言う。
「オマエゴトキ ニ……」
会話につきあってやる義理はない。俺は、大きく一歩を踏み出し横薙ぎに剣を振るう。
ゴブリンロードの腹に一撃を見舞う。
「やったか!」
が、今までのように一撃では沈んではくれない。
「ガッ! キサマ ヤハリ ニンゲン ダナ ヒキョウモノ」
「魔物に卑怯者呼ばわりは、されたくないんだよ!!」
俺は再びゴブリンロードに飛びかかると、一心不乱に剣を振り続ける。しかし、ゴブリンロードは俺の打ち込む剣をすべて受け止める。
なんだこいつ。たかが魔物だと思っていたらちゃんと戦えるんじゃないかよ。今までのゴブリン戦士やホブゴブリンなんて襲いかかってくるばかりでまともに戦えるヤツなんていなかったのに。
隙を突いてロードが大剣を振り下ろす。
ガキッ!!
受け止めるだけで精一杯の重い剣だ。体格差が効いている。俺は、剣をはねのけると後ろに飛び退く。そこには既に倒したゴブリンの山がある。ふと、俺はその山の中にあるモノを見た。
ゴブリンロードは、チャンスとみたのか、強く蹴り出して一気に間合いを詰めてくる。
ゴブリンロードの斬撃。俺は左手に持つ剣で受け止める。そう、左手の剣で。その手には先程飛び退いたときに拾ったゴブリンの剣がある。直後、俺は右の剣でゴブリンの腹から肩口に向かって力任せに斬り上げる。
ズシャッ!!!
ゴブリンロードの体が斜めに切りつけられる。
『条件を満たした為
スキル『二刀剣士』を取得しました。』
ゴブリンロードは切りつけられた勢いで体制が崩れる。俺は2本の剣を平行に構えて袈裟懸けに斬る。更に逆からも斬る。俺は、容赦なくそれを繰り返す。
「ニンゲン ゴトキニ!」
ゴブリンロードは、蹌踉めきながらも大剣を振り下ろす。
すんでの所でそれを躱すと、ゴブリンロードの大剣は地面に突き刺さる。
その瞬間を使って、俺は剣に気を込めながら、渾身の力で地面を蹴り上げ間合いを詰める。
ゴブリンロードが眼前に迫ってくる。俺は、そのまま横薙ぎを放つ。
剣は淡く碧い光を纏い、ヤツの躯を両断した。
『経験値を180pt獲得しました。』
『条件を満たした為
スキル『会心一撃』が Lv.3になりました。』
「マサカ コンナハズハナイ……」
ゴブリンロードは、お決まりの台詞を吐きながら崩れ落ちた。




