第38話 設定がありました。
俺はステータス・ウインドウを開いてみる。
「ステータス・オープン」
ピロン♪
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タダノ ヒデオ
♂ 17才
種族:人族
職業:勇者
ランク:E
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レベル:3
HP 20/20
MP 0/ 0
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加護:超美少女女神アストレア
称号:異世界人・召喚勇者
属性:なし
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【スキル】【アイテム】
【設定】
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「どこだ?」
「下の方に【設定】ってないですか?」
「ん? 【設定】? ……あ! ホントだ、あるよ【設定】え? こんなのあったっけ?」
「はい。はじめからありましたよ。」
「気づかなかった……って言うか、そういうのちゃんと教えといてよね。」
「はい。ごめんなさい。」
「なんか、心がこもってない謝り方だな。で、これってどうやって開くの?」
「頭の中で【設定】って考えてください。」
「わかった。【設定】。」
ピロン♪
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サウンド設定_______
【BGM】
▶0 1 2 3 4 5
【効果音】
0 1 2▶3 4 5
【ボイス】
▶0 1 2 3 4 5
メッセージ設定____
【速 度】
0 1 2▶3 4 5
【音 量】
▶0 1 2 3 4 5
表示設定_________
【スキル】
【地 図】
【アイテム】
_____________
《オプション》
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「マジだ。てかBGMまであんのかよ。それって必要なのか?」
「まぁ、私が作ったシステムではないのでそこは何とも……。あの……ヒデオさん。ちょっと、いいですか?」
「ん? なに?」
「いちいち声に出さなくても、頭の中で考えるだけで大丈夫ですよ?」
「ん? 何のことだか分からないのだが?」
「ヒデオさん『ステータス・オープン』も『設定』も声に出てます。それ、声に出さなくても頭の中で考えるだけで大丈夫なはずです。」
「なに! マジかそれ! 確かにこれって勇者の特殊スキルだろうから、人前では使い辛いよなって思ってたんだよ。」……実際リサにはそれでバレたし。
「説明不足でごめんなさい。」
「駄女神それは違うぞ。説明不足ではない。説明してないんだ。」
「はい。重ね重ね申し訳ございません。」
「まぁ。これで何とかできることが分かったからもう良いよ。それにしてもさ、もうちょっとコンタクト取りやすくなんないのかな。神様なんだから、頭の中に直接話しかけるとかさ。できんじゃないの? そう言えば、前なんか声聞こえたし。」
「うっ……それを言われては申し開きできないのですが、人間と神との直接回線はよほど特別な時でなければ開いてはいけないんですよ。(ってこの間上司に釘を刺されたし)前回のはちょっとしたミスで……」
「またか、ちょっとしたミスが多すぎるんだよアストレアちゃんは。ヒヤリハットを大切にね!」
「はい。申し訳ありません。」
なんか、こうやって話してるとクレーマーと苦情処理係みたいじゃないか。
「あのぅ、直接の会話はなかなかできませんが、もう少ししたら、私の変わりに色々とアドバイスができるモノを送ることができますのでもう少しお待ちいただけますか?」
「もう少しってどれくらいよ。」
「私の準備もあるのですが、受け手側の準備も必要なのでなんとも……。」
「あ、また俺のせいにしようとしてるな。」
「そういうつもりでは……。」
「じゃぁ具体的にはどうすれば良いの?」
「え〜っと、説明がかなり複雑で難しいんですけど……。おいおい分かると思いますので、それまでお待ちいただけますか?」
「待ってばかりでなんか釈然としないなぁ。もういいよ。待つよ。いざとなれば教会で信託すれば何とかなるんでしょ?」
「えぇ、まぁそうなんですが……」
「なに? 嫌なの?」
「いえいえいえ! 決してそんなことは! ……。」
「あ、そうだ。異世界ではあんまし勇者って良い立場じゃなさそうなんだけどさ。」
「え〜。そんなことはないと思うんですが……。」
「まぁ、それは良いとして、【職業:勇者】って悪目立ちしすぎない? これ、何とかならないかな。」
「それなら、プレートの表示だけ変更しておきましょうか?」
「え? そんなこともできるの?」
「女神ですから……・。」
「で、どう致しましょうか? ヒデオ様のステータスから言うと「剣士」「剣闘士」「戦士」「従士」「拳闘士」「武闘家」から選ぶことができそうですが。」
「それって、一度決めたらずっとそのまま?」
「そんなことはないですよ。そもそも、職業を変わることもできますし。本来は勇者なんですから。」
う~ん。積極的に戦いたいわけじゃないから『剣闘士』とか『拳闘士』はなんだかイメージが違うんだよな。『従士』は何となく下っ端みたいだし、この中からなら『剣士』か『武闘家』かなぁ。でもなぁ、俺ってそもそも剣士じゃないし……。
「あのさ。「武闘家」ってあるけどさ「武道家」ってのはないのかな。」
「武道家ですか? そうですね。え〜っと、大丈夫そうですよ。」
「そっか。じゃぁ「武道家」でお願いするよ。」
「分かりました。では。」
そう言って、アストレアが右手を掲げて俺に向ける。すると、首にかけていたプレートが青白く輝いた。
光が収まってプレートを見てみると【職業:武道家】に変わっていた。
「オッケー。これなら大丈夫だな。ありがとうアストレアちゃん。」
「あの、ヒデオさん……そろそろお時間の方が。」
「え? なに? これって時間制限があるの?」
「はい。すみません。」
「え〜?! 折角コンタクトしたのに〜。まだ、聞きたいこともあるのに〜。」
「なので、連絡方法は至急何とかしますので、お待ちください。では……。」
「あ〜!!! ちょっと待って! 何勝手に切ろうとしてるの? アストレアちゃんやる気ある?」
「いえ。本当に時間が……。」
「しょうがないなぁ。じゃあさ、最後にさ、ひとつだけ。」
「はい。なんですか?」
「なんで信仰している神様がアストレアでなくてパレス神なの?」
「あぁ、これも説明が難しいのですが……この世界の神の名がパレス神で、私はその担当女神なんです。例えて言うと、株式会社創造神で提供している商品がパレス神で、その会社のバルゴ支店長がわたしって感じですかね。」
「なんだか、わかりやすいような余計にわかりにくくなってるような……って言うか、神を商品扱いしても良いの? まぁ、何となく分かったから良いよ。てか、もうどうでもいいよ。」
「どうでもいいなんて……はぁ……。では、ヒデオさん。お時間ですので今日のところはここで……」
アストレアはため息を吐きながら、神託の終了を促す。
「しょうがないなぁ。わかったよ。次はちゃんと連絡してよね。」
「……では、失礼します。」
アストレアは、そそくさと退散するかのように消えていった。
気がつけば、元の神託部屋に戻っていた。俺は、台座に取り付けていた勇者の証を手に取り、首にかける。
はぁ。色々わかったけど解決したって言うより、なんか新たな疑問が増えたって感じだな。あれ? 何か聞き忘れてる気がするなぁ。ま、いっか。大事なことならそのうち思い出すでしょ。
「それにしても大丈夫か? 支店長。」
新たなアストレアの呼び名を手に入れたところで俺は、教会を後にしたのであった。
「あ〜!!! 通力のこと聞くの忘れてた〜!!!」
往々にして、終わった直後にこういう事って気づくものである。
大事な事を忘れたときって終わった後直ぐに思い出すことが多いのですが、なぜででしょうね。
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