第37話 女神交信
11/12 記述を一部訂正しました
「さ、では祈りましょうか。アストレアちゃん出てきてね。」
俺は、一応勇者の証を手に握り、跪きながら手を胸の前に合わせて祈ってみる。
すると、……
……
……
……
……何も起こらない。
「う〜ん。何がいけないのかな? 信仰が足りないのかな? てか、そもそも俺信者じゃないしな。」
ひとりブツブツと呟きながら、女神像を見ていると……
あれ? 女神像の台座の所に小さな楕円形の窪みがあるな。ひょっとして……。
こういうときは、この勇者の証を入れ込んでみると、バッチリ填まったりして。俺は女神像の台座に近づき、勇者の証を首から外してその窪みにはめてみる。
カチッ!! と音がして勇者の証がその窪みにはまる。
おぅ! マジではまった。
やっぱこういうのはテンプレなんだね。
っていうか、勇者の証って使い道がある道具だったんだね。
と、独りで考えていると突然周りが真っ白な光に包まれた。気がつくと何もない真っ白な空間に俺はいた。直ぐに来たことがある場所だというのが分かった。
「あ、ひさしぶり駄女神。」
そこには、独り駄女神が立っていた。
「だれが、駄女神ですか!」
頬を膨らませながら、超美少女駄女神がプンスカする。いやぁ。怒った顔のアストレアちゃんもかわええな。
「それにしても、よく神託に気づきましたね。」
「いやぁ。色々アドバイスもらったおかげで何とかね。あれ? でも、会話がかなり明瞭なんですけど。神と人は周波数が違いすぎるから、普通に話せないって聞いたんだけど。」
「よく知ってますね。普通はそうですけどあなたは別ですよ。だって私の加護を受けた勇者ですもの。」
なるほど、やっぱ勇者は神とか教会系では優遇されてるんだな。
すまし顔でアストレアが
「で? どうされましたか?」
「で? どうされましたか? じゃねぇよ。なに、ず〜っと放置してんだよ。色々やらないといけないこととか、伝えないといけない情報とかあったでしょうに。」
俺は、左手を腰に、右手でアストレアを指さしながらそう捲し立てる。
流石に、ちょっと罰の悪そうな表情をするアストレア。
「うぅ、確かにそれは……でも、私だって一生懸命やってはいるんですよ!」
おいおい、逆ギレかよ。
「でも じゃありません。努力は大事ですが、結果はもっと大事なのです。」
俺もちょっと説教臭く言ってやった。
「そういう時はなんて言うの? ほら、な・ん・て・言・う・の?」
「……ごめんなさい。」
「そう。分かれば良いんだよ分かれば。そうやって、始めから素直に謝ればいいんだよ。俺だって鬼じゃないからな。」
「はい。すみません。」
これでは、どっちが神でどっちが人間なのかわかんねぇな。
とか考えながらも……イヤイヤ、ここは遊んでる場合じゃないな。聞くことちゃんと聞いとかなきゃ。次いつ会えるかもわかんないんだし。と、考えているとアストレアの方から話を切り出してきた。
「で、今日はどのようなご用件ですか?」
「あぁ、色々聞きたいことがあるんだけど……いっぱいありすぎて何から聞いたら良いのか分かんねぇや。あ〜、一番聞きたいヤツ思い出した。スキルってさ普通常時発動しないものなの?」
「ええ。そうですよ。普通は発動させたいと思ったときに発動するはずですけど? ヒデオさんは違うんですか?」
「いや、それアストレアちゃんに聞かれてもさ。ま、いいや。具体的に言うとね。『臭覚強化』がさ、発動して欲しくないときに発動するから結構厳しいんだよね。」
「例えば? どんな時ですか?」
「そうだな、この間の戦闘の時、レベルアップした『臭覚強化』にやられて気絶した。」
「あぁ、なるほど。それは、スキルの使い方がまだ未熟なのにレベルが上がっちゃったからですね。」
「なにそれ俺のせいって事? でもさ、未熟なのにレベルってあがるの?」
「普通は使いこなせてないうちはレベルは上がらないのですが、ヒデオさんの場合、超アゲアゲ設定なので簡単にあがっちゃったんでしょうね。スキルに『早熟成長』ってありませんでした?」
「ねえよ。そんなもん。」
「あれ?」
小首をかしげながらキョトンとした顔をして固まるアストレア。
「あれ? アストレアちゃんまた何かやらかした? 何か忘れてるのか? て言うか、それって結局、駄女神のせいって事じゃないの?」
「え〜?! それ私のせいですかぁ? 私は良かれと思ってしただけですよぉ。」
「でも、結果的には良くないじゃん。」
「そうかもしれませんが……」
「しかもなに? 『早熟成長』って。そんなスキル無いんですけど。」
「あ、それは、上司に確認しておきます。」
「なんだよそれ。まぁ、いいよ。別に。それよりもさ、スキルってレベル下げるとか機能停止するとかできないの?」
「レベルを下げることはできませんが、発動の調整は使う方次第なんですけど……」
「あ、逃げる気だな。」
「そういうわけじゃ……」
「じゃぁどうしようもないの?」
「そのうち使いこなせるようになりますので、それまで頑張ってください。」
「マジかよ。もう、仕方ないなぁ。」
これ以上突っ込んでも仕方がなさそうなので、次の質問に入る。
「あ、あとさ。スキルの獲得とかレベルアップとかの時のさ ピロン♪ とか トットゥルー♪ とかさ、結構うざいんだけど。」
「いや。あれは天声と言ってですね。と〜ってもありがたいものとされてるんですけど。」
「でも、ウザい。」
「じゃぁ。音声切ってください。」
「は? 音声切る? なにそれ。できんの? そんなこと。」
「はい。ステータス・ウインドウで可能です。」
「え? マジで?」
「はい。マジです。」
そんなことができるとは、夢にも思ってなかったよ。言ってみるもんだな。
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今日は次話を18時にアップします。




