第23話 カトリーナ・オルドイーニ
「あなた日本人ね。」
彼女は部屋に入るやいなや、そう切り出した。
驚いた俺は、
「何で分かるんだ?!」
思わずそう答えていた。
失敗した。そう思ったときには時既に遅し……。
これは自分が日本人であることを認めているようなものだ。得体が知れない相手にちょっと軽率だったかもしれない。
「だってあなた今、日本語しゃべってるじゃないの。」
彼女にそう言われて、俺はハッとした。
「ステータス・オープン」
そうつぶやいて、俺は自分のステータスを確認する。
『言語解析』が日本語を選択したままだ。さっき、ステータスを確認してた時、日本語を選択したままだったんだな。
てことは、その状態だと俺は日本語をしゃべってるって事になるのか。
だから、彼女が来たとき彼女の言葉が片言だったのか。選択してない言語は片言になるのか。
それにしても、どうして彼女は……
「驚いたわね。しかも、召喚勇者なのね。」
そう言われて、俺の方が驚いた。
なんだ? 彼女は俺が勇者だって知らなかったのか?
で、それが今分かったって?
何でだ?
分からないことが多すぎる。
いったい何者なんだこの女は!
そう考えていると……
「私は、カトリーナ・オルドイーニ 。」
彼女はそう名乗った。
この女、心も読めるのか?
いかん。完全にペースを握られている。ここは、主導権を取り返さないと……
「で、何の用ですか?」
俺は、平静を装って彼女にそう言った。
「あら、ホントに何も聞いてないのね。私は今晩あなたのお相手を仰せつかってここに来たのよ。勇者様。」
「へっ?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
「お相手……と、言うと?」
「世間話をしに来たわけではないのは解るでしょ。お相手と言えばもちろん夜伽よ♡」
マジか……
ちょっと待ってくれ。色々ありすぎて何から対処すれば良いのか分からないぞ。
「夜伽って、主人が飽きることがないように臣下が付き添うって……」
「そんなわけ無いでしょ。ただそばに付き添うだけで私は来ないわよ。あなたも、分かって言ってるんでしょ?」
腕組みをしながら、彼女はあきれたように俺を見る。
腕を組むと胸が……いやいや、今はそれどころじゃない。
「そうれはそうと、色々聞きたいことがあるんだが……。」
「なぁに?」
少し甘えた声で返事をするカトリーナ。
「ここに来るように言われたとき、俺が勇者だってこと聞かされたか?」
「いいえ〜。」
「じゃぁ、なんで俺が勇者だって分かったんだ?」
「あぁ。それね。だって、あなたさっき『ステータス・オープン』って言ったじゃない。
それって、召喚勇者の固有スキルのはずよ。」
そこか!
『ステータス・ウインドウ』は勇者特有のスキルじゃないかって考えてたはずなのに、俺としたことが軽率だったな。
あれ? でもユニークスキルに『ステータス・ウインドウ』ってなかった気がするけどな。
あとで、確認だな。
しかし、狼狽えすぎだな俺。
でも、それもこれもこの女が悪い。
なんてったって、エロ過ぎる。
エロい上に、童顔の巨乳じゃないか。
こんなの、俺じゃなくてもキョドっちゃうぜ。
「で? どうなのよ。」
「どうって?」
「するの? しないの?」
「え〜っと……間に合ってますので、結構です。」
「へっ?」
今度は彼女が素っ頓狂な声を出す。
「それ本気? 私を目の前にして断る男なんて久しぶりに見たわ。」
「いや、それずいぶんな自信ですね。まぁ、分からないでもないですけど……」
よし! 何か知らんが主導権がこっちに来たっぽいぞ!
この調子だ。がんばれ俺!
「まぁ、確かにおぼこい感じはするけど、何も知らないってことはないでしょ?」
何を言うか! 今でこそ俺はなぜか17歳だが、実際は27歳だからして女の1人や2人や3人や4人は……チクショー! 経験が多いからって偉いってもんじゃないんだぞ!
あ、ダメだ、俺とした事がまた動揺してしまったではないか。
「もちろん。わかってますよ。」
俺は余裕を見せて答えてやった。
「あら、あんまり経験ないのね。」
!!! 何で分かるんだ!!!
「そ、そんなことないですよ。イ、イヤだなぁハハハハ……」
「いいわよ。別に見栄張らなくても。大丈夫。私に任せておけば天国への階段を上らせてあげるわよ♡」
お前はツェ○ペリンか!
「とにかく今はそんな気分じゃないので、どうか気にせずお引き取りください。」
「え〜。私だって、遊びに来てるんじゃないのよ。そんなすぐに、おいそれと帰る訳にはいかないわよ。」
う〜ん。俺も男だから興味が無いと言えば嘘になるが、こんな得体の知れない女と寝るのはちょっと躊躇するな。いや、めっちゃ興味津々ではあるんだけどな。
「それじゃ、色々と聞きたいことがあるんだけど。話につきあってくれないか?」
「なにそれ? そういうので来たんじゃないんだけど……う〜ん。……でも、いいわ。私もあなたに興味があるから。」
そういうと、彼女は俺の手を引いてベッドへと連れて行った。
「いやいや。そうじゃなくって……」
「なに狼狽えてるのよ。立ち話するわけ? とりあえず、ここに座りなさいよ。」
「あぁ、そういうことか。」
「あなた、本当にあんまし経験無いみたいね。これは、調教しがいがあるわ。」
そう言いながら、上目遣いで俺を見る。
「調教ってなんだよ。おれはMっけは無いぞ。」
「強がってるのも今のうちよ。男なんてみんなMっ気持ってんだから。で? 何から知りたいの?♡」
くそっ。未だに主導権は彼女に握られたままだ。
貞操の危機を感じながらも、俺は彼女に向き合って聞いた。
「とりあえず、おまえは何者だ?」
「あぁ、それね。やっぱ気になるわよね。
私はカトリーナ・オルドイーニ。特別な客が来たときに城に呼ばれるの。」
「いわゆる娼婦ってやつか?」
「まあそう思ってもらってても良いわよ。でも、あなたが聞きたいのはそういうことじゃないんでしょ?」
「分かってるんならもったいぶらないで、さっさと言えよ。」
「怖い顔しないで。優しくしてくれないと言わないわよ。」
俺は、黙って彼女の言葉を待つ。
「ふふふ……仕方がないわね。そうね……。
私はカトリーナ・オルドイーニ。
あなたと同じ日本からの転移者よ。」
ある程度予想はしていた。
しかし、彼女の口から発した言葉は予想以上の衝撃を俺に与えたのだった。
評価・ブックマークを是非よろしくお願いいたします。
読んでいただいてる人数が、少しずつではありますが増えてきているのが嬉しいです。
結構書きためられてきたのですが、1日1話ペースと2話ずつあげるのとではどちらが良いのでしょうか?
ご意見いただけると嬉しいです。




