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第49話 指導してもらった

 就寝前に、やっぱりひと悶着ありました。

 コーマの位置は絶対として、ファルタリアとサリアが話し合っている。

 言い争いでは無いけれど、もともとファルタリアの位置にサリアが入ろうとしている訳だから、見た目は少女だけどファルタリアより年上なんだから、とサリアをなだめて渋々納得していた。

 ファルタリアは自分の位置を取り戻して嬉しそうだ。で、サリアの位置はと言うと、俺の足の間に決まった。

 もう、どうでもいいけど、股間には頭を乗せるなよ。


 翌日は、仲良く四人で皿食を美味しく食べて満足し、フェーニ達と会う。コーマは皿食を食べたら消えている。

 まだ面倒らしい。

 昨日ファルタリアから聞いた事だけど、ルージュの剣術も上手くなっている。まだ一人では厳しいけど、戦闘能力も上がってきているらしい。

 これで魔法が使えれば一気に強くなるな。

 フェーニ達の家に着くと、可愛い笑顔で出迎えてくれた。俺が二人の頭を大雑把に撫でれば、嬉しそうにしている。

 サリアが仲間になった事を報告して、二人に紹介した。ファルタリアも中に入ったので、フェーニとミケリも、サリアとはすぐに打ち解けていた。

 ただし、魔女、と言う事は秘密にしている。

 フェーニ達は、ルージュと同じようにサリアも鍛錬するのか聞いて来たけど、サリアはその必要は無い、とやんわり誤魔化した。

 その後はフェーニとミケリの討伐や、戦い方などを和やかに談笑したよ。フェーニとミケリの、可愛い笑顔を見ながらの楽しいひと時は、瞬く間に過ぎていく。

 フェーニ達は、ギルドに討伐依頼を見に行くと言い、ファルタリアも同行した。

 一方ルージュは、今後、フェーニ達と別行動になる事を伝えておいた。次からの討伐は三人で行ってもらおう。

 自分勝手な事を言っているけど、快く了解してもらったよ。優しいな、三人に感謝しよう。

 三人と別れた後、ルージュに会いに行く。ルージュは討伐から帰って来たばかりだから、今日一日は家で休んでいる、とファルタリアに聞いていた。

 ルージュは俺の予想通り着く頃に、知っているかのように家から出てきた。そして、先に話しかけて来る。


「ラサキさん、こんにちは。お陰様でファルタリアさんに、剣術を教えていただいています。フェーニさんとミケリさんにも優しくしていただいています」

「それは良かったな。俺、ルージュの上達はファルタリアから聞いているよ。頑張っているね」


 そう言いながらルージュの頭を撫でると、はにかんだ可愛い笑顔になった。

 でもすぐに、存在に気づいていた俺の後ろにいるサリアを見る。


「その方は、魔法使いの人ですか?」

「わかるのか?」

「はい、何となくですけど、強く大きな力を感じます」


 俺はサリアを魔女とは伝えず、樹海に住む魔法使い、と紹介した。この事は、サリアには事前に言っておいたので問題は無い。

 サリアの堂々とした態度に、ルージュが少し萎縮して怯えた表情になる。


「ル、ルージュです。は、初めまして」


ルージュに対して、胸を張っているサリア。


「サリア、ヴァリシッサだがや。ルージュ、よろしくがや。サリアでいいがや」


 一通りの挨拶と自己紹介も済み、三人で俺の家に行く。

 家に着いたらさっそく魔法の練習だ。ここなら誰にも見られないし、サリアの家で使った魔法とか教えれば、発動の切っ掛けにもなるしね。

 テーブルの椅子に座るルージュの後ろに、サリアが回り込み立つ。


「安心するがや。ルージュに魔力量を調整した魔法発動の切っ掛けを教えるだけだがや」


 強張った表情のルージュに、安心させようと、俺が先にサリアに教わった魔法について説明して、ルージュの気が和らいだところへサリアの補足説明が入った。

 サリアがルージュの肩に両手を乗せ、魔法の発動方法なのか俺には理解できない何かを伝えているようだ。

 ゆっくり頷いてルージュは魔法を唱える。


「氷の矢よ、壁に突き刺され」


 手をかざして魔法を発動した。ルージュの手の先に一つの魔方陣が展開され、中から氷柱が勢いよく飛び出して壁に突き刺さり消える。

 いとも簡単に魔法を発動で来たルージュは、自分で自分を驚いていたけど、当たり前のように胸を張るドヤ顔のサリア。

 あ、普通はルージュの後頭部に胸が当たるのだけれど……いや、何でも無いよ、それは関係ない事だ。

 何かを掴んだルージュは、炎の矢や生活魔法も教えてもらった。

 サリアが、より具体的に本来の魔法の性質を説明して、吸収するように理解しているルージュ。要領のいいルージュにサリアが興奮している。


「ラサキ、ルージュは魔法と魔力に恵まれている上に理解力が高いがや。あたいには及ばないけど、魔力調整も簡単に、さらに強い魔法が使えるようになるがや」


 魔法の感を掴んだルージュも、飛び切りの笑顔になって喜んでいる。


「ラサキさん、サリアさん、ありがとうございます。本来の魔法と言う物を理解しました。これなら、応用も出来ます」


 今教わって使った魔法の魔力量を聞いたら、極微量で使ったかどうかもわからない程だと言う。

 やっぱり魔女のサリアに、直接教えてもらっ方が早くて確実だったな。結果オーライだよ。

 サリアが仲間になる、と言う代償はあったけど悪い事でもないし可愛いし、ルージュの魔法が完全になったからいいかな。

 ルージュの魔法鍛錬は、サリアにお願いしてしばらく続いた。呑み込みの早いルージュは、サリアの説明と手助けもあって、魔法を次々といとも簡単に発動させていた。

 ルージュの才能は凄いな。

 他の攻撃魔法も、サリアがテーブルの周りに魔法結界を張って、極て小さい延焼魔法や爆裂魔法も発動した。

 もう完全な魔法使い、ではなく二人目の魔女が誕生したようだよ。

 サリアも、教えがいがあったのだろう、ドヤ顔で満足している。


「これからは、ルージュが自分で思い描いて鍛錬するがいいがや。あたいの教える事はもう無いがや」

「サリアさん、ありがとうございました。ううぅ」


 感極まったルージュは、うれし泣きをしている。今のルージュを見て、当初教えた俺も安心したよ。後は本人に任せるとしよう。

 ルージュはしっかり者だけど、念のために、人前では勿論誰かに見られないように、と言って聞かせた。


「魔法は理解しましたから、今後はラサキさんと一緒の時だけ鍛錬します。エヘヘ」


 嬉しそうなルージュの将来が喜ばしいよ、素直にそう思う。何しろ魔法が使えるようになったのだから、魔法剣士の誕生だ。

 堂々と魔法が使える場所があればいいのに、とつくづく思う。しばらくは我慢させて内緒にしないとね。

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