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第48話 滞在した5

 翌日やっぱり、俺にへばり付くように寝ている可愛い寝顔のサリア。人見知りが一転して、人懐こくなったな。

 お勤めが終わったのか、コーマも現れて素早く全裸になってベッドに潜り込んできた。


「ウフフ、おはよう。もう少し寝ようか」


 急がないし、コーマに付き合ってもう一眠りしたよ。

 ゆっくり起きて、皿食屋に行く。今日は、サリアもいるから一番人気の店に入った。

 注文や支払いは、他の客やコーマを確認するように後ろで見て覚えていた。でも、今回は俺の奢りでコーマに支払ってもらったよ。

 俺も皿食を持ってテーブル席に着く。みんな揃って食べ始める。うん、美味いな。

 コーマは、お代わりするのに激しく食べ始める。いつも思うけど、ゆっくりでもいいのにな。食べ方としては汚くないし、美人の早食いも絵になるかな。

 一方サリアは、一口一口を、ゆっくりじっくり噛みしめて、眼を輝かせながら食べている。

 驚きの表情で感動しているね。


「ラサキ、美味しい、美味しいがや。こんなに美味しい料理があるなんて知らなかったがや」

「良かったな、他にも美味い皿食屋があるから楽しめるよ」

「もっと早くラサキに会っていれば、皿食も……ううぅ」


 おいおい、こんな事で泣くなよ。俺がいじめているみたいで、みんな見ているしさ。

 気にせず食べ終わったコーマが俺を見る。


「ラサキ」

「ああ、行っといで」

「ありがと、好きよ。ウフフ」


 皿食のお代わりに行く。食べていたサリアが顔を上げコーマを見る。


「ラサキ。コーマは何しに行ったかや?」

「うん? ああ、お代わりだよ。まだ食べるんだって」


 急に血相を変え、皿食をかき込むサリア。両頬が膨らんでいるし、そんなに急がなくてもいいのに。


「お代わりしていいから、よく噛んでゆっくり食べなよ」


 頷きながらも急いでいる。コーマが皿食を持って来たから尚更だ。両頬に、料理を頬張ったままお代わりしに行ったよ。

 初めてだから焦っているのかな、すぐに慣れるよ。そして、サリアもお代わりして食べ終え、満足している二人。

 飲み物を飲んで、一息ついたら皿食屋を出る。

 今日はサリアに町を案内した。商店や武器屋、防具屋、露店を見て回った。サリにとって、初めて見る物なので、全てにおいて感動していたね。

 一緒に見て回っているけど、歩いている時は、腕を組んでいるコーマに負けまいと、反対でサリアもベッタリとしがみ付いて来る。

 嫌じゃないよ、むしろ嬉しいくらいだ。でも、今はいいけど、ファルタリアが帰って来たらどうなるのか。

 ファルタリアの場所にサリア……どうしたものか。

 コーマは俺を見て、また薄ら笑みを浮かべている。


「ウフフ、ラサキも大変ね。こっちは私よ、私がいる時は、他の人はダメだからね」


 サリアも食いついて来た。


「何かや? コーマがそっちなら、私はこっちがや。アハハー」


 あー、もう考えるのも疲れた。どうとでもなれ、その時になったら考えよう。

 その日は、サリアも堪能したのか興奮している。良かったよ楽しんだようだね。

 コーマも特に文句も無く、サリアと相性もいいのかいつも以上に楽しんでいた。神と魔女って人よりは近いのだろう。

 それはそれで良かった。


 夕方に、一人用のベッドとテーブル用のイスを購入して、運び賃を払いすぐに家に運んでもらった。

 部屋の隅に置いてもらったら、めざとくサリアが、そこは誰かや? と言って来たので、サリアだよ、と答えたら何故だか泣き出してしまった。

 余りにも号泣しているので、くっ付けましたよピッタリとね。それで納得してもらいました。

 大きくなったベッドは、四人がゆったりと寝られる程だけど、どういう順で寝るのか……。

 その夜は、皿食が感動した事や町の事で、和やかに談笑して就寝した。


 翌日も、コーマとサリアが引っ付いて気持ちは良かったけど、心のモヤモヤが取れない。

 昨日、サリアを案内している時に、ギルドに寄ってフェーニ達の討伐依頼を聞いたら、今日帰って来るとの事。

 ファルタリアは、サリアを見てどう思うかな。あー、胃が痛くなってきた。

 今日も皿食を堪能し、町を散策してサリアを喜ばせたよ。楽しんだ後は、コーマは消えている。

 見ていたサリアも気にしてはいない。面倒事が嫌いなコーマは近くで見ているのかな。


 日も暮れる頃、フェーニ、ミケリ、ルージュ、ファルタリアの順で並んで帰って来た。ルージュも様になっているし、もう立派なパーティだな。

 遠巻きに見ていた俺は、ギルドで待とうとしたけど、夕方以降の汗でむせ返るギルドは好きじゃないし、サリアも可哀そうだ。

 サリアの事は、フェーニ、ミケリ、ルージュは後回しにするとして、まずファルタリアには話をしないとな。

 結局、家で待つ事にした。

 居間の椅子に座って待つ俺とサリア。


「なあ、サリア。ギナレスの町を楽しんだら、樹海にある自分の家に帰るんだろ?」


 俺を見つめながら、言っている事が信じられないのか驚愕の表情になるサリア。


「ええぇ? ラサキは私が嫌いかや? 私は優しいラサキが好きだがや。ずっと一緒にいたいがや」

「自分の家はどうするんだよ、精霊や妖精達が寂しがるだろ」

「私の寿命は一五〇〇年ほどあるがや。折角ラサキと知り合ったがや。その数十年はラサキと過ごしたいがや。妖精達にも話をしたら、喜んで見送ってくれたがや」


 両手を胸辺りで組んで、涙目になって懇願するサリア。ダメだ、と言っても樹海の時みたいについて来るだろうな……負けたよ。


「そうなのか、だったらサリアの好きにしていいよ」

「本当かや? 嬉しいがや。ラサキ、好きだがや」


 椅子を立ち、サリアが笑顔で俺に飛びついて口づけしてきた。俺が座っているから丁度いい高さだったよ。

 少女と口づけして、いいのかな――三五七歳だからいいか。

 簡単に避けられたけど、可愛そうだし、素直にされるがままでした。

 あー、でもやっぱり俺アウトだなアウト、どうするんだよ。

 それに今後は神のコーマを筆頭に、フォックスピープルのファルタリア、エルフのフェーニ、キャットピープルのミケリ、魔法使い見習いのルージュそして魔女のサリア。

 この大所帯どうするんだよ、レムルの森に帰ったら収集つくのか? あー頭が痛い。

 そこに、ファルタリアが扉を開けて帰って来た。


「あー! ラサキさーん。ただいま帰りましたー。会いたかったですよぉ。んーーーーっ」


 長い長いキスが俺を襲った。

 嫌なじゃいよ、好きだけど吸い付きが長かったな。吸引の音がしそうだったよ。納得したファルタリアが離れる。

 一呼吸したファルタリアが、椅子に座っているサリアと眼が合う。


「ラサキさん? この子は誰でしょうか」

「紹介するよ、魔女のサリアだ」


 立ち上がり、ファルタリアを見上げてからお辞儀をするサリア。


「サリアですがや、ファルタリア。よろしくですがや」


 釣られるようにお辞儀を返すファルタリア。


「ファルタリアです。よろしく? お願いします」


 説明したよ、しっかりとね。魔女に会いに行く事は話してあったけど、連れて帰って来るとは予想もしていなかっただろうから、隈なく、事細かく、納得の行くように全部話した。

 ファルタリアは、いつもの可愛い笑顔になるけど羨ましそうにしている。


「サリアさんはいいですね、羨ましいです」

「何がかや?」

「肉奴隷の首輪をしていますね」


 ファルタリアが、人差し指を口に当ててサリアの首輪を見つめていると、気持ちを感じ取った嬉しそうなサリア。


「いいですやろ? コーマに教えてもらったがや。アハハー」

「証明書が無かったから仕方が無かったんだよ」

「羨ましいですよぉ」

「肉は知らなかったがや。知って良かったがや」


 そんな事で羨ましがるなよ。それに、余計な事言うなよ全く。


「では、これから仲良くして行きましょう」

「仲良くするがや。ラサキの肉奴隷仲間がや」

「そうですね、エヘヘ」


 二人には、その言葉を人前では言わない事を忠告した。

 コーマも現れて椅子に座っている。

 四人でテーブルを囲み、ファルタリアの話を中心に和やかに談笑して就寝。

 あ、その前に、部屋に行こうとしたファルタリアを呼びとめた。久しぶりに、尻尾をモフらせてもらった。隣に座り、どうぞ、と赤ら顔になって尻尾を向けてくるファルタリア。

 いやー、気持ちいいし、癒されたよ、やっぱりいいな。

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